新たな学年
俺が学園に入学してから3年が経った。1年目の武闘祭や魔法祭で注目度を集めまくった俺とルナは、Sクラスの中でも一目置かれる存在となっていた。とは言っても距離を置かれているわけではなく、みんな親しく接してもらっている。まぁ、ルナの場合はどんな状況でも気にしなさそうだけどな...。
ともかくだ、この3年で俺たちを含めたSクラスの仲間たちはみんな成長した。魔法の技能や知識はもちろんのこと、武術もまたここ3年で飛躍的に実力が伸びているんだ。やっぱり元がいいから、鍛錬を積めば成長スピードも早いんだなとそう思った。ミリアは特に、剣術に磨きをかけ一番成長が著しかった。
「お〜、今年もたくさん入学してきてるな。やっぱこの近辺の子たちを集めると結果としてこうなるもんなのかな?」
「そうですね。我が国の近辺には数百にも上るほどの街や村がありますから、こうなることは必然かもしれませんね」
始業式を終え、今年入学してきた1年生たちが教室に入っていくのを眺めながら俺は隣にいたミリアと話していた。
「今年のSクラスも...貴族だけか?」
「はい。今年も貴族だけのクラスとなりました。ですが、これは至極当たり前のことでセレン様やルナさんが特別なのですよ?」
やっぱりそうなるよな......。Sクラスというのはつまり、学年の一番上に君臨するいわゆるエリート集団だ。普通そんなエリート集団に属するのは貴族や王族が望ましい。実際、俺たちの学年以外のSクラスは全員が貴族か王族だ。無論今年入ってきた1年も。この現状を見るに、平民がSクラスに入るなど”普通”は無理だ。”普通”なら......。
でも俺とルナは平民でありながらSクラスに入ってる。これは紛れもない事実。そして最初こそ周りからは白い目で見られていたが、今となってはSクラス全員が俺とルナのことを認めている。これもまた事実だ。
「”特別”ね...。まぁ、普通じゃないのは認めてるけどさ。この年で冒険者してるわけだし...」
「確かに普通ではないですね。ただの冒険者ならまだしも......”A”ランクの冒険者であられるのですから」
「......否定できない」
ミリアは少しからかうように言った。そう、今の俺の冒険者ランクは”A”だ。ルナもまた同じ”A”ランクだ。Aランクになったのはちょうど1年前。Aクラスの依頼を着々とこなしてきた俺たちは、とうとう規定のレベルに達したと認められたため、Aランクに昇格となったんだ。その日はルナと馬鹿みたいにはしゃぎまくってたな...。ルナなんて、交換してもらった”銀”のネックレスをぶんぶん振り回して興奮しまくってたもんな......。
今は、少し冒険者稼業は控えめになってる。なぜか知らないが高ランクのクエストが最近出なくなってるからだ。低ランクのクエストを受けても意味がないだろうから、控えめにしてるんだ。
「気にしないでください。貴族だろうと平民だろうと、学園では一切関係ありませんから」
にこやかな表情を浮かべてミリアは言った。その表情に俺の顔も緩んだ。
「ふっ...だな......」
「話が変わりますけどセレン様、あなたはーーー」
「ふったりともー!何してんのー?」
「おわっ!?ルナ!?」
ミリアが何か言いかけた時に現れたのは、さっき話した俺の幼馴染のルナだった。相変わらずの元気さで俺たちの話に割って入ってきた。そんでもって後ろからーーー
「セレン、ミリアさん。今年の1年生はどう?」
「どーせ今年も貴族しかいねー!とか言いてーんだろ?んなの気にする必要ないってのに」
「でも気にしてるのは......セレン君だけみたいだけどね」
「ルナはそんな小さなこと気にするようなタマじゃないだろ?」
俺のクラスメイトで親友とも呼べる仲間たち。トラン、ローレン、ナルメア、デールがこちらに向かってきていた。1年の頃からずっと仲が良く、常に一緒に行動していることが多かった。
「皆さん、ちょうどよかったです。皆さんにも聞いておきたいことがありましたので」
ミリアは後から来たトランたちを見てちょうどいいと言った。さっき言いかけたことと関係があるのか?気になったこともあって、俺はミリアに続きを促した。
「聞きたいことですか?なんでしょう?」
「はい。皆さんは”短期留学”というものをご存知ですか?」
「短期留学?ああ、どっか違うとこに行って勉強する的なやつのことか?」
「そうです。メルゲン学園ではこの学年になると一月の間だけ、Sクラスの生徒は別の国の学園の講義を受けにいくという留学をさせるようです。細かい日程などはまだ出ていませんが、ある程度は把握しておいた方がいいと思い話したのですが、皆さんはこのことは?」
なるほど。そんなことやってるんだな。だが、俺は初耳だな。てか、まだ始業式が終わったばかりだしなんの情報も入ってないのは当たり前なんだがな......。
「私知らなーい」
「僕も初耳ですね...」
「知らねーな」
「留学なんてあるんだ......」
「面白そうではあるけどな...」
どうやらみんなも同じらしい。ミリアはその反応が予想内だったのか、少しほっとして言った。
「それならよかったです。情報が漏れて仕舞えば楽しいことも楽しく無くなってしまいますからね。先生からも説明があると思いますので今はその留学を楽しみに待ちましょう」
ミリアがそう言い切ると同時に授業開始の予鈴がなった。始業式の後とはいえ、この学園ではお構いなしに授業はある。それが鬼畜すぎて最初は泣きたくなったけど、今では流石に慣れたもんだ。俺たちは、話を切り上げ、教室に戻った。
それにしてもいい事聞いた。留学か......。
一気に3年経ちました!そして新章スタートです!
留学のことも気になりますね!




