信頼できる冒険者
ーーView Change レイーー
僕はレイ、この冒険者ギルドのマスターをしている。僕のことを端的に言うと、僕は冒険者とそこまでの交流がない。何故かと言うと僕はそこまでここの冒険者のことを良しとして見てないんだ。もちろん僕だって理由もなく冒険者のことをそんな風には見ない。理由はしっかりとあるんだ。
それは、ここの冒険者の素行が荒いと言うことだ。以前から問題となっていたのだが、ここの冒険者が起こす暴力による騒動が相次いでいるんだ。それは現在でも変わっていない。だが、冒険者間で起こる騒動は自己解決ということになっているため警備隊は関与はするものの注意程度で済ませてしまう。
僕にはそれが我慢ならなかった。うちの冒険者から騒動を起こした者が出たとなるとうちのギルドの評判も悪くなるのも苛立つ理由だがそれだけではない。問題を起こした奴がその後も悠々と過ごしていることが一番許せないんだ。
冒険者はそんな人ばかりだ。
だから僕は冒険者たちには無闇に関わらないことにしている。必要なことは部下たちに任せて、必要最低限のことを僕はやっている。これが最善と判断したから。
でも、例外はいる。【疾速のゼルバ】と呼ばれている冒険者ゼルバさんがそうだ。彼は僕が見た中で最も冒険者として優秀で誠実な人だ。僕はこのギルドに来てまだ日が浅く、ギルドマスターとしての実績も乏しい。そんな僕に当初からゼルバさんはよくしてくれた。彼は僕が唯一尊敬していて信頼している冒険者だ。
そんな冒険者がこのギルドからもっと増えてほしい......。そんな時だった。あの子たちがこのギルドにやってきたのは。
サリーから2人の子供が冒険者登録の試験を行なった際、ルナという女の子は魔力量【1000】、セレンという男の子は水晶を破壊するという前代未聞な結果が出たという知らせがきた。その2人を冒険者登録してもいいかというサリーの質問に僕は少し迷ったが、2人の冒険者登録を許可した。ゼルバさんの息子さんということもあるが、その末恐ろしい才能を見て見たいという欲が出たためでもある。
結果として、僕の判断は正しかった。初クエストでFランクとは思えない成果を出した2人。そしてその一人はゼルバさんの息子。信頼ができる冒険者。それがまた増えた。まだ子供だがそれでも嬉しかった。ぜひ会ってみたい!そんな気持ちになったのは久しぶりだった。そんなわけで僕はその2人に会うことにした。
彼らに会い、Dランク昇格を言い渡し、村に帰るのを見送った後、僕はギルドに戻った。
「マスター、どうでしたか、あの子たちは?」
受付の仕事が終わったサリーが声をかけてきた。
「うん。素晴らしい逸材だよ。これからが楽しみだよ」
「違いますよ、それもそうですが、彼らはマスターにとって信用に足る人物ですか?」
違った答えが返ってきたのか、サリーが不服そうにさらに質問をしてきた。
「信用に足る......か、そうだな、僕は彼らを信用はしていない。僕は彼らを信頼しているんだ!」
釈然と言い放った。そうだ、僕は彼らを信頼している。それは今後も変わらないだろう。そして、彼らの仕事を陰ながらサポートさせてもらい、彼らの成長する様を見てみたい。信頼しているならそこまでするのはギルドマスターとして当然だ。いくら才能を秘めているとは言え彼らはまだ6歳の子供だ。僕たちがしっかりとサポートしなくてはいけない。成長姿が見たいのはあくまで僕の好奇心だが......。
そんなことを考えながら、僕は普段の仕事に戻っていく。今後彼らにいろいろ教えていくためにこちらも頑張らなくては!
「セレン君、ルナさん、今後ともよろしくね......」
ひとり、これからの同僚に挨拶をし僕は気合を入れて作業に戻っていった。
ーーView Change セレンーー
2日後、俺たちは村に到着した。
村に入り、ルナと別れた後、俺と父さんは家に帰った。家に帰って、いきなりDランクになったと2人に言ったら案の定驚かれた。まあルージュに至っては、『兄さんなら当然でしょう?』と最初は驚いてはいたものの、すぐに平常運転に戻ったが。
こいつ......俺のことを過大評価しすぎじゃないか......?
そんなこんなで無事冒険者登録と初クエストを終えた俺たちはまたいつもの日常に戻っていった。
【レイ・スレッド】年齢24歳
高身長で金髪が特徴的な青年。アルメナの冒険者ギルドマスターをしている。人付き合いが苦手で冒険者ともそこまで接点が無い。ゼルバを慕っていて、立場上は上だが冒険者の知識としてはゼルバの方が上のためたまに指導してもらっている。曲がったことが嫌いで間違ってると思ったことは躊躇いなく発言し、行動に移すタイプ。
今回はレイの視点から書いてみました。
レイが思うことは何かをまとめました。




