ドラゴン退治 セレン編
ルージュの作戦通り俺は動くことを決め、動きを確認する。毎日鍛錬を怠ってないこともあり、身体は軽く、馴染んでいる。
「さて、とりあえず••••••」
俺は動く前に確認することがあった。
「ステータス解放」
ステータス画面を開くため詠唱をした。直後、俺の目の前に複数の画面が現れ、俺のステータスを正確に表示していた。俺は時々だがステータスを開いて、成長具合を見ている。自分の成長具合がわかるというのは何というか、自分を優越感に浸してくれるという点で嬉しい。
「意外と伸びてるな」
ステータスを見ると思いのほかレベルが上がっていた。
名前 セレン・ディクトリア 5歳 Lv.54
HP 830 MP ∞
能力値
チカラA 体術A 剣術A 速さA 魔力S 魔法S 運B
まもりA 自然治癒B
スキル
広範囲探知 言語理解 身体強化・絶 魔力無限
完全模倣 効率栽培 神の眼 記憶蘇生
神の加護
武神の加護 剣神の加護 風神の加護 魔神の加護
七福神の加護 守護神の加護 女神の加護
「【自然治癒】に関してはほとんど怪我してなかったから上がらないのも無理ないか」
【自然治癒】は傷の治りを速くするための能力だ。レベルが上がれば自然とレベルは上がるらしいのだが、やはり実際に怪我をして治癒をする方がレベルは上がりやすいのだ。つまり、傷を負わない限り【自然治癒】は発動しない。俺は今まで傷を負ったことがない為この能力を発動させたことはない。
「まあ、いいか」
今は早くドラゴンを退治しないと!俺はステータス画面を閉じると再びドラゴンに向けて歩み寄った。
「まずは足の破壊だな」
最初の指示は足の破壊だ。足を破壊してドラゴンの動きを防ぐというものだ。動きを防ぐだけでも一気に流れをこっちに持ち込ませることができる。
「となると有効なのは氷系か風系だな」
この二つの属性は攻撃魔法でもあるが同時に動きを止める役割もある。氷はそのまま対象の相手を凍らせて動きを封じる。風は時には風牙となって相手の局部を切り裂き、またある時には対象の相手を風の渦に閉じ込め動きを封じるなど、使い方は様々だ。
「とりあえず、様子見で風の中級魔法使ってみるか」
まあ、とりあえず様子見だ。ドラゴンが俺の魔法にどこまで耐えるのかが知りたい。その後で改めて対策を練る。
風の中級魔法=【風牙流】は鎌風を飛ばす魔法だ。大抵のものならいとも簡単に切り裂ける。だが今回は相手が相手だ。この魔法でも切り裂くのは難しいのかもしれない。その場合は上級魔法を使うつもりだ。
「よし!いくぞ!」
俺は今ちょうどルナがドラゴンを躱し、ドラゴンが再びルナの元に突進を試みようとした瞬間に、
「ルナ!ドラゴンから離れろ!」
ルナに警告した。巻き添えを防ぐ為だ。万が一あたったとしても防御魔法をつけている為大丈夫なのだが、念には念をだな。
「わかった!」
そういうと同時にルナはドラゴンから一気に離れた。あの動きを見る限りまだまだ大丈夫なようだ。
「やるか。ーー【風よ 我の敵を断ち切れ】」
俺は詠唱を唱え【風牙流】を唱えた。唱えるとともに現れた鎌風が対象のドラゴンに向かって一直線に襲い掛かった。さて、これがどこまで通用する?そう思ってドラゴンの様子を窺っていたが、
「グギャオォォォォォォォーーーーー!!!!!!!」
俺が放った【風牙流】はドラゴンを真っ二つに切り裂いた。
「••••••え?」
俺は様子見で打ったつもりだった。確かに【詠唱型】にして威力を高めていたがそれでもたかが風の中級魔法で一撃で仕留めてしまったとなると流石に困惑する。
「まずい••••••どうしよ••••••」
こんなにも簡単に倒せてしまったのだ。無理もないだろう。ルナとルージュの方を見てみると、2人とも多少驚いてはいるもののすぐにいつもの調子を取り戻し、ルナは
「やっぱりすごいねーセレンって」と茶化すように、ルージュは「さすがはわたしの兄さんですね!」と感嘆していた。それを見ているとなんだか深く考えるのもバカらしくなってきた。
「結果オーライってことでいいのかな?」
少し鼻落ちないが、退治できたのならばいいだろう。後で2人にはお礼を言っておこう。
こうして俺たちの初めてのドラゴン退治は無事に終わりを迎えた。
間が空きましたすいません。
ドラゴン退治完結です。
また新たな話に入っていきます。
お楽しみに!