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07:迷宮前

 



 翌日、僕は迷宮の前にいた。


「父さん、タツキ。来てくれてありがとう」


「当然だ・・・その、黙っていてごめんな」


「ホント、驚いたよ。去年僕達に剣術を教えてくれたおじいちゃんが『ジングウジ家』の元当主だなんて・・・前にはそんな出来事なかったのに、やっぱり兄さんは」


「タツキ?」


「なんでもないよ、兄さん。・・・でも、兄さんの惚れた人が3年前にオオサカ(ジングウジ家の本拠地のある西の都市)で開かれた武闘大会の帰りに誘拐から救ったことは」


「はは・・・まあ、一目ぼれだったからね」


「そうだよな、トキヤ!私も母さんに一目ぼれだった!」


「もう、あなたったら・・・」


「おいッ!照れ隠しの火球はやめてくれ!」


「・・・あのー、皆様そろそろいかれませんか・・・?」


 マスターの声に全員がはっとする。


「あ、マスターいたん…じゃなくて。そうだよね、いこうか」


「マスターさん、影うす―――いや―さすが、隠密部隊長!」


「あの!帰っていいですか!?」


 あまりの言われように涙目でそう問いかけるマスター。


「まあ、まあ。・・・我が子が命かけて素板女のために行動起こそうとしてんだっ、それを止める気かぁ?ぁあ!?」


「旦那様、顔が怖いですよ・・・そうですね、帰ればこの方の命が無いだけですから?」


 鬼を数百倍怖くしたようなヤクザ顔でマスターを脅す父に、その気になれば社会的にも殺すことのできる母の脅し。・・・マスターはもう涙目だ。


「ああ、もう、なんで『鬼神』と『氷姫』はこんな・・・親バカなんだ・・・」


「はあ・・・それはそうと、そこの少女。出てきなさい」


「!」


 すると岩陰に隠れていた少女が申し訳なさそうに出てくる。


「オリガさん!」


「・・・オリガ、そうか。彼女の―――」


 トキヤとタツキが彼女の名を呼ぶ。

 タツキはどこかで、彼女にあっているのかな?


「・・・トキヤ様。昨日は誠に申し訳ありませんでした」


 彼女はそう言ってまだ日も昇らない冷たい地面の上で土下座をする。


「オリガさん!?」


「トキヤよ・・・女の子に土下座させるのは・・・」


「トキヤ、母さんは悲しいわ・・・」


「待って、違うから!?オリガさん!?どうして??」


 すると彼女は少し顔をあげて謝罪内容を話した。


「・・・昨日、あなた様がかの右近衛大将様のご子息とは知らずに、多くの無礼を働きました。・・・あなたがただならぬお方と知ってはいたものの、名しか名乗らなかったので信用できず、今朝がた早めに起きてこうしてここまで見張らせていただきました」


「おう、ストーカーかよ・・・」


 トキヤは思わずこう言ってしまうほどかなりドン引きだ。


「願わくば、私もお供させていただきたく思います」


「・・・」


「トキヤ、君が決めなさい」


 トキヤは困った顔を後ろのみんな見向けるとお父さんであるカツトはそういう。


「・・・自分御戦闘能力は、把握しているね?」


「はい」


「それでも?」


「はい。・・・最悪、盾にして頂いても」


「・・・わかった。・・・ただ、壁にはしない。死ぬ気で付いてきなさい。君に、ステータスの外の力を見せてあげよう・・・。そして、・・・」


「そして?」


「・・・いいや。それは今はいい。タツキ、彼女とペアを組んで死角を無くせ。レベルは一緒で、ステータスもお前に引けを取らない天才だ。彼女から学ぶことも多いと思う。いいな?」


「・・・わかったよ、兄さん」


「うん?・・・やけに効き分けがいいな?」


 普段なら自分の足手まといを何より嫌いとするタツキがオリガをすんなり受け入れたことに意外さを覚えた。


「そう?・・・まあ、今日は兄さんのステータス外の技術が見れるからね。こんなところでごねて返されるのが嫌なだけさ」


「そうなのか?・・・まあいい。いこうか」


 そう言って迷宮へ足を向けるトキヤ達。

 その中でカツキとヒトミはひそひそと話し合う。


「・・・意外だ。トキヤなら止めると思っていたが・・・彼女には何かあるのか?」


「まあ、ステータスの見れるトキヤの事ですからね・・・」


「しかし、タツキも意外だったな」


「・・・ええ。足手まといと言うのがわかっているからなのか・・・それとも」


「どちらも微妙と言ったところだろう・・・おっと、置いて行かれないようにしなくては」


 そう言って二人も息子体の後を追うのであった。








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