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02:トキヤ 7歳

この世界の通貨は円にしました。値段は現代の10分の一と考えてください。

 



 トキヤ 7歳


 ―――――――――――パァンッ!


「胴!」


「ぐっ!」


「そこまで!」


 剣士の胴に竹刀による一撃を入れたことで試合終了の掛け声が入る。


「「「「「おお、さすが若様だ!」」」」」


「兄さん!今の一撃あとで教えてください!」


 俺は防具を外すと周囲にいた門下生が声を上げる。

 それと共に弟がキラキラしたそしてその奥には強さを求める意志の炎を燃やしながら俺を見てくる。


「さすがは、右衛大将殿のご子息。中々の腕前ですな」


 対戦相手であった帝都警備隊元警備総官 五条 克也殿は試合の時のプレッシャーが防具を脱ぐと嘘のように消え、さわやかな笑顔を見せる。


「しかし・・・あなたの剣技は―――」


「わかってます。これは、自分の実力がわかっているからこその剣技なのだから」


「そうか、わかってやっているのか。・・・がんばりなさい」


 五条殿は気づいたようだが、俺の剣は軽い。

 なぜならこの肉体は、おそらくだが筋力があがらない。

 力のステータスランクは今の所C。

 生まれてこの方変わっていない。


 Cとは平均男性の1,5倍くらいの力を指し、その上のBは倍の3倍。Aに関しては10倍くらい出る。

 まあ個人差はあり、鍛えれば本来なら上がるはずなのだが僕のは上がっていない。


 この普通の人より少しばかり力が強い剣ではここにいる帝都警備隊修練所の人達が最低でもB+(ビープラスとはステータス上はBだが、Aに近いということ。ステータスには表記されないため、個人的感想に近い)つまり、Aランクの人ばかりだ。


 弟のタツキもA以上の・・・それもSランクのステータスを持っている。





 オダ タツキ (男) 人間(幼児) レベル:8

 力:S

 魔力:S

 生命力:S

 体力:S

 精神:S

 スキル:〈鑑定〉・〈光の剣〉・〈治癒魔法〉





 アビリティ:オールS。

 それは、勇者の証。


 しかし、神の加護によって大人による子供の鑑定スキル使用は禁止されているため、タツキは天才少年の枠で収まっている。

 自分の経験上、今勇者とわかればタツキは友人の一人もできることなく、幼少時を過ごすだろう。


 ・・・ならば、彼を勇者とわからなくすればいい。


 その為に俺が目を付けたのは剣技だった。

 前世に置いて、式神使いである自分を狙いのは定石の一つだった。

 故に自分は剣技を学び、体術も学んでいた。

 3歳で体が少し動くようになってからは各種ステータスが伸びるようにまず文字を覚え、本を読み、様々な訓練方法を試した。


 そしてわかったことがある。


 ・・・自分のステータスは、あがらない。




 オダ トキヤ (男) 人間(幼児) レベル:13

 力:C

 魔力:F(EX)

 生命力:A(EX)

 体力:C

 精神:F(EX)

 スキル:〈鑑定〉・〈式神作成道具生成〉・〈偽装:EX〉・〈霊視〉・〈忍耐〉・〈自動回復〉




 スキルは増えたが、アビリティは一切上がっていない。

 そしてEXについてはまだ何もわかっていない。

 ただ、この世界のランクにEXは無い・・と思う。

 実は、この帝都の地下には禁書館と呼ばれる図書館があり、そこにならばEXランクについての記述のある本があるという情報を手に入れたのだ。




 ※※※




「みんな、先に上がらせてもらうよ。タツキ、どうする?」


「もう少し残って兄さんに教えてもらった技を覚えます」


「わかった。先に変えるからな」


 そう言って俺は道場を後にした。


 ・・・しかし禁書館。この帝都のどこかにあるというだけで何もわかっていない。


「まあ、しばらく自力で探してそのうち父さんに聞いてみるか」


 父はオダ セイジロウ。

 このヤマト帝国 6刃将にして天皇の双剣の片割れ右近衛大将の地位に着く重鎮である。

 また、母はオダ ヒトミ。

 帝国三華族 『ホウオウイン』の次女だった。

 そのため教養深く、魔法の才を持ち、また名と身分を隠し、たまに父と冒険者(討伐、採集、探索などを請け負う何でも屋)をやって性格が豹変して父をこき使い、姿は驚きはしたものの姉御と呼ばれそうな感じで違和感は無かった。


 ・・・ただ、母に罵られる父が嬉しそうだったのには少し引いた。


 それを見て以来、帝都から少し出たところではあるが低レベルモンスターの出現するポイントにてタツキと狩りをしたり採集の依頼を受けたりはしている。


「おじさん、焼き鳥2本」


「あいよ、若様。いつも通りたれ、塩1本ずつな」


「お、わかってるね!」


 自分はこの街はすっかり顔が知られている。


『右近衛大将の天才双子息』。


 そんなふうに呼ばれ、なおかつ冒険者として町の必需品である薬草などの採集を積極的に行い。森の動物の肉をきれいな状態で降ろすのでかなり好評であったりする。


「なあ、おじさん。あそこの屋敷。誰か越してきたのか?」


 ここは中央通りと言って出店や飲食店などの焦点が多く並ぶもっとも人の多い通り。その先には公園があり、子供たちの遊び場になっている。

 その隣に大きな屋敷があり、聞けば三華族の一つが所有する大きな屋敷らしい。

 その屋敷に荷馬車と少し高そうな馬車が止まっている。


「あれ?若様知らないのですか?あれは『ジングウジ』家のもので今日からそのご令嬢が住むらしいですぞ」


『ジングウジ』家。それは旧家の中で最も優れた家として有名な家である。

 母の『ホウオイウン』が魔法の名家であるなら、『ジングウジ』家は魔法、物理ともに一級品であり、ヤマトの西部に拠点を構え忠義に厚い一族である。


「ほら、若様もそのうち挨拶に行くんじゃないですか?・・・っと、はい。15円です」


「はい。・・・そう、だね。まあ、ちょっと見て行こうかな?」


 そういって、俺は屋敷のある方へ向かうのであった。






次回、ヒロイン登場

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