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玉依手稿  作者: Trakhtn
思想Ⅰ
15/58

世界Ⅱ

「物質」の世界以外にも他に色々とあるはずだ

真実の朝日が昇りかけている。

いいや、世界が昼という場所へ滑り込んでいるのか。

朝日が昇る前に、わたしの箱庭へ、わたしの懐へ潜り込んでおいで。

拒絶しない。何も言わない。早く。時間は止まらず流れ行くのみ。

おいで。おいで。手招きをする


世界の破綻する音は、卵の割れる音に似ている。

さながら箱が破けるような、自ら守ってきた楽園が破られるような。変革。

その変革の意味を自ら探し、失意の中。

探し続けた、求めたものがそこにあるのだから、迷わず進めば、また新しい卵が手に入る。

その器は所々割れた跡があるが、まだ使える。

価値観を乗り換える。

価値観を破壊されて、自分に合うものを探して、新しい価値観を見つけて、乗り換える。

ことの繰り返しであることよ。そうしていくうちに、有限の世界は終わる。

今まさに始まったばかりの世界は、いつの間にか閉ざされてしまう。


次の瞬間、何も知らないわたしが立っていた。


認識する存在の死は世界の死となりうる。

主人公がいないゲームなどありはしないのだから、

各々の視点から見るにしても、それが主人公たりうるのだから、

主人公が死んでしまった以上、世界の観測者はいなくなってしまう形となるが故、

あなたの死は、あなたの世界の死と繋がる。

全ては水の船の上。ぐらつけばすぐに転覆する。

全ては水の船の上に。揺らぎが生じれば全てが飲み込まれる。

世は水の上。水面に浮かべられた、草船のように、その外は幾らでもあり、

この世の全てが全てと限る訳ではない。 この世界はただの箱庭。

わたしもそれよりか規模の小さい箱庭を持っている。

世界はまやかし。視点が消えれば無くなるような一瞬の幻。

そんな中でも、本当に世界が存在しているのなら、我が痕跡を、

我が生きた証をと、思い立ってわたしは腕を切り、

わたしがわたしを傷つけて流した黒い艶のない血で図柄を刻み込む。

記憶の中にわたしを取り入れさせようぞ。そうしてわたしは生きる


これは現在でも言えることなので、過去からは引用しないが、

結局人間は、世界のこと、世界がなぜ存在しているのかなど気に留めもしないのだ。

自身の生存の必須条件は、往々にして触れられることがなく。

触れてはいけない心臓に触れるのが怖いだろうか?この無免許医師に身をゆだねることは怖いか?

今私たちのいる世界なんて、ただの殻でしかない。ただの肉体でしかない。


世界は肉体だ。

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