子宮Ⅲ
あなたを身籠っています
わたしも"おんなのこ"、所謂女性が好きでして。
柔らかな肢体、子を産み育てるための器官、機関、内部に備わった楽園、
黒、すべてを受け入れる柔らかさを持つ、肉、
わたしの好きな要素が詰まっていて、今も心に思うは腸の中の楽園のこと、
そしてその中で生み育てられ、守護される神秘の世界のことを。
女の肢体の、抱擁性、隠密性、神秘性に、育って、同じぐらいに大きくなればと、
また神秘性に腹を孕ませ膨らませて、中で何が起こっているのか、本人すらわからないそれが、
危険性、危うさでもあり。
ひたすらに身を傾ければ破滅が待っているが、その破滅も愛おしきものと思わせてしまうほどの。
そしてどうか、その神秘の世界が永遠に謎で溢れていますように!
構成物質であった、天上の雲が、赤い塊になる仕組みも、
侵入者を受け入れ、その一部を取り込んで、自らの子とせんとする仕組みも、
すべて、すべて、科学で明かされること無かれ!
それらは、赤裸々と出されていいものではないのだから!
天箱舟は卵子。隕石は精子の暗喩。
何度も隕石は天箱舟に衝突すれど、天箱舟は地上を守るための防御としても機能しており、
中々受精を果たさない。いいや果たさない方がいいのかもしれない、地上の人間にとっては。
天箱舟が受精を果たせば、また地球から美しいものが消えていってしまう。意味のある不妊。
孕みたがる惑星たちは、万有引力によって隕石を呼び起こし、
自らを破壊させる事で受精を果たそうとするのだ。
命は卵子の周りに集う細胞たち、いずれ老朽化して、老衰して、いずれ死していくもの、
その意思に宇宙も地球も何も関係がなく、ただ皮膚が剥がれ落ちていくが如く、葉がひらり落ちていくが如く予定されている死、アポトーシスによって命は死ぬ。
死の定めからは何人たりとも逃れることはできない。
だから繋いでいくしかない。それがどのような形だとしても形成され愛されたことに変わりはない。
肉体を持たない者たちは、肉体を持つ者の愛により昇華され、肉体を持つ者の道しるべとなるだろうと。
生と死は常に裏表であり、表裏でなければならないから。
死して生あるのみ、生きて死あるのみ。