第6話 ノヴァ
「ノヴァ、無事か!」
ラグナは声を荒げながら名前を呼んだ。
「ラグナ様、私は無事です」
ノヴァと呼ばれた青年は、顔を青ざめながらも返事する。
「まだ顔が青いじゃないか。無理をするな、お前は怪我も重症なんだ。今はゆっくり休め」
「申し訳ございません……」
ラグナにそう言われたノヴァは、再び横になった。ノヴァの安否がわかり、ほっとするラグナ。リクトはノヴァがまた眠りについたのを見届けてから、ラグナに話しかける。
「ノヴァさんっていうのか。目を覚ましてよかったな」
「ああ」
ラグナは心底安心した、という表情を浮かべている。
「リクト、僕たちのことについては、ノヴァの体調が良くなってからでもいいかな?」
「ああ、全然構わない。ところでラグナ、君はもう体は大丈夫なのか?」
不意に、リクトはラグナの体の調子を聞いた。
「ああ。完治とまではいかないけど、普通に動かせるようにはなったよ」
ラグナは軽く体を動かして見せた。少し痛むのか、まだ動きがぎこちない。
「なら、この街を案内するから、一緒に見て回らないか?」
「え?」
「気分転換にもなるだろうし、リハビリもかねてどうだ?」
ラグナは少し考えた後、
「じゃあ、お願いしようかな」
と答えた。
「よし、じゃあ着替えたら呼んでくれ。あ、着替えは俺のやつでいいかな? ラグナのはすべて洗濯中だし、背丈もあまり変わらないから俺のでもサイズは合うと思うけど」
「ああ、かまわないよ」
「よし、じゃあ外で待ってるよ」
そう言ってリクトは部屋から出て行った。
「……この先僕は、一体どうすればいいのだろう」
その問いには、誰も答えることはできない。