第20話 行動開始
「……警備兵たちが次々と港の方に行ってるみたいだな」
リコが予期した通りの展開になったので、リクトたちは動き始めることにした。
「どうやって脱出するんだ?」
「このリングルートには北と東の二つの門がある。地図を見る限りだと、ラゼルド王国はリングルートから北東に存在するから、まあどっちの門から出ても特に問題はないと思うけど」
「どっちの方が警備兵が少ないのだろうか」
「んー、俺が仕事をしているときに街を見回った限りだと、東の方が少ないかな」
リクトは街の様子を頭に浮かべた。
「なら、東から脱出しよう。グズグズしていると、警備兵が戻ってくるかもしれない」
「そうだな。リコのためにも、早くここから脱出しよう」
そういってリクトは素早く準備を始めた。
「ミソラ。しばらくこの家には戻ってこないから、大事なものだけ持っていく準備をしてくれ」
「うん……」
ミソラは乗り気ではない。しばらく家に帰ってこれないのだから当然だが。
「あ、そうだ。これも一応持っていこうかな」
リクトは木こりの仕事の際に使用していた斧を取り出した。リクトは戦闘経験がないので、当然家には武器がない。武器になりそうなのはこの使い慣れた斧だけだ。
このまま装備もなしに家を出るのは少し不安だったので、護身用にと持ち出すことにした。
「ラグナ、ノヴァさん、準備できた?」
「ああ。僕は大丈夫だ」
「私も心配ない」
リクトの問いに、二人は返事をする。
「ミソラも大丈夫だな?」
「うん、私は大丈夫だよ」
「よし、じゃあ東門へ向かおう!」
リクトの一言で行動を開始する。
(リコ、お前も必ず生き残れよ……)
そう心で思いながら、リクトは家を後にした。