第19話 リコVSダスター
「二刀か。私の知識だと、器用貧乏になりがちなスタイルだが」
「あなたは弱い人しか見てきていないようね。本物の二刀を見せてあげる」
啖呵をきったリコは、ダスターに向かって突進し、片方の剣で切り付ける。しかし、ダスターはその斬撃を華麗にかわした。
「その程度の攻撃は食らわないな」
攻守が逆転し、今度はダスターが切り付ける。リコは先ほどの攻撃の隙から、かわすことや二刀で防ぐことはできない。
ダスターは攻撃を高威力にするために、体重を乗せて斬撃を放った。もしリコが真正面から一刀で攻撃を防ごうとすれば、刀ごとへし折られてしまうことになる。
「……ふん」
リコはダスターの斬撃に刃を重ね、そのまま刀身を上に滑らせて頂点に達したところで力強くはじいた。
「なっ……」
「悪いけど、この程度なら簡単にいなせるのよ」
斬撃を反らされたダスターは、大きな隙ができてしまった。すかさずリコは先ほどと同じように切り付ける。今度はダスターもかわすことはできない。
「! ちっ……」
深くはなかったものの、ダスターは腹部に傷を負ってしまった。体勢を整えるために、ダスターは後ろへ下がる。リコもそれ以上追撃はしなかった。
「女の力じゃ一刀で攻撃を防ぎきれないと思った? 戦場で油断してると命落とすわよ」
「……ご忠告ありがとう」
「男って、みんな同じ戦法でくるから対処が簡単ね。歯ごたえなさすぎてつまらないわ」
リコは言葉でダスターを挑発する。戦いがしたいわけではなく、リクトたちのために時間を稼いでいるのだ。
「……そうだな、戦場での油断は禁物だ」
ダスターはニヤリと笑う。先ほどのリコの言葉を復唱しながら。
「何のつもり……」
リコが言い終わる前に、いつの間にか後ろにいたダスターの部下が襲い掛かった。