正木 京介
『♪♪』
「ふぁ~~~」
スマホのアラームが、楽しい楽しい夢の世界(可愛い女の子とイチャラブハーレム世界)から強制送還の知らせをつげた。
時刻は午前四時すぎ。
まだ人の活動する気配が無い中、布団という魔道具より身体を起こし、今日も変わらない現実の活動時間が始まる。
わりと新しい(洋室8畳1Kロフト付きで風呂とトイレが別、さらにインターネット完備の家賃3万)賃貸ハイツに暮らしている俺こと正木 京介はいつものように安物のインスタントコーヒーとカロリー●イトを身体に補充し、変わらない一言で部屋を出る
「いってきま~す」
まっ、独り暮らしだから返事なんてないんだけどね。
正木 京介
年齢 19歳
趣味 山歩きとバイク
隠れ趣味 ゲーム、マンガ、アニメ、ライトノベル全般
職業 フォークリフト乗り、アルバイト
黒髪のソフモヒベッカムヘアーに身長172センチと平均的。
ごく普通な見た目なのだが、脱ぐとすごい。ライザッ●並の筋肉質で体脂肪率一桁台だが中身はオタク。
外見と中身が見事にアンバランスな人間である。
さらに、高校時代は『ちょい悪な俺ってカッコいい』という男子なら誰しもが描く世界観を素でいっていたせいで、ほぼ周りからはアニメやマンガ、ライトノベルを熱く語れるような友人はいなかった。
入学当初は
「俺の妹がこんなに●●なわけがない!」
って直球ど真ん中にボールを投げたところ
「お前、妹いないだろ?(笑)」
なんて暴投が返って来たり
「エ●マンガ先生って面白いらしいで!」
って勇気を振り絞って宣伝してみたところ
「いや、マンガより現実の方がいいに決まってるやん(力説)」
「で、ですよね~(泣)」
みたいな会話になってしまうというコントを繰り広げていた。
(ちくしょう!伏見つ●さ先生はサイコーなのに!!)
さらに悪いことに先輩に誘われラグビー部に入部(学校の中でのイメージはかなり悪い)した為、不良レッテルを貼られ、大好きなアニメ話を全力でするということにはかなりの勇気を振り絞らないといけないような状態になってしまっていた。
それでも、多趣味なうえに友人もそこそこ多かった為、高校生活はそれなりに楽しむことができた。
ちなみに、母校は公立の進学校だった為、当然ほとんどが大学、短大、専門学校への受験を選ぶ中、俺が選んだのは、何ともスペシャルな職業!カッコいい制服を着ることができ、衣食住はタダで年二回のボーナス有り、さらに、身1つだけで大丈夫!みんな未経験者からのスタートだから安心!しかも特別国家公務員というスゴい称号を得ることができ、一般人では、絶対に体験出来ない(無許可で体験しちゃうと次の日のテレビで一躍有名人)銃を打つことが出来てしまうという職業だ。
ここまで説明すれば分かるだろう!そう、俺が選んだ職業は
『陸上自衛隊』だ!!!!
なぜ陸上??と言う人もいるかと思うが、俺は泳げないから海では落ちたら即死亡。
空は機械的な頭と視力が良くないと無理。
となると、無駄に頭を使わずに海で溺れることもなく体力自慢な俺には陸しか残らなかったのである。
余談だが、学校の先生方からはメチャクチャ反対された。
「どーしてッスカ??」
と質問すると
「卒業生の就職進学欄に、未だかつて無い職種欄ができちまうからだよ!」
とのことだった。
つまり『自衛隊入隊1名って進学校にあるまじき黒歴史が経歴として永遠に刻まれるから勘弁してください。お願いします』ということらしい。まっ、全力で拒否したけどね。
そして、試験(中学生レベル)と面接に合格し一年と半年陸上自衛隊に入隊し、規則正しい生活
6時起床(ラッパ音が流れる)→ランニング→腕立て→朝飯→腕立て→穴堀り、射撃、徒手格闘→腕立て→昼飯→腕立て→地雷敷設撤去、蛇腹鉄条網敷設撤去、穴埋め、行軍、斥候訓練、山中訓練中ect→夕方5時作業終了(もちろんラッパ音が流れる)→腕立て→晩飯→腕立て→洗濯、裁縫、掃除、ベットメイク、靴磨き、アイロン→腕立て→夜10時就寝
という腕立てにやたらと愛される生活を過ごした後、駐屯地という監獄を出所し今は晴れて夢の独り暮らし継続中のフォークリフト運転マン&アルバイト生活に至るということだ。
ちなみに、自衛隊行くと料理以外の女子力スキルマスターになれる。なぜなら、自分のことはすべて自分でやらなければならず、ちょっとでも手を抜くと地獄の腕立て(仲良し連帯責任でお仲間も一緒に楽しもう)コースか、部屋の中に突然の嵐が発生しゴミ屋敷化コースを経験したあと
「おまえのせいで!」
という視線と言葉の嵐にさらされてしまうからだ。
貴重な10代後半をヤロウばかり、おっと女性自衛官もいたことはいたよ。ただ、うん、やっぱり環境が人を変えてしまうんだろう。入隊当初は普通の女の子でしたとも!ただ、日に日にたくましくなっていく彼女達とは最終的に同性という感情しか沸かなくなった。
精神的にも言葉遣い的にもね。
人間変わろうと思えば変われるものなんだなって悲しい意味で経験させられましたとさ。めでたしめでたし。
そんな感じに生きて来た俺、正木 京介は今日も早朝から仕事場に向かう為、相棒400ccバイク ゼファー(ZⅡ仕様)のエンジンを吹かし(ご近所様すいません)颯爽と駆け出すのだった。
季節は冬。
早朝のバイク通勤はバイク好きな俺でも辛いんだよ~!
ここまで読んでくれた皆様ありがとうございます。自衛隊ネタは私が入隊した時の経験を元にちょくちょくと入れていこうと思います。え?よさこいは??と思われた方、京介がよさこいに出会うのはしばらく先になります。もう少し我慢して下されば幸いです。よろしくお願いします。