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グランディア城~金の炎

 何が起こったのか、判らなかった。太陽が落ちてきたかと思うような、圧倒的な金の光。

「く……!」

 右腕で目を隠す。身体全体が圧される。光と熱。グラントは身体一つ半ほど、後ろに飛ばされた。

風が金の炎と黒い霧を渦に巻き込み、全てを吹き飛ばしていく。グラントを縛っていた黒い気配が消えた。


『ぐぁああああああっ!!』

闇の口が光る風に押されて歪む。金の炎が、長い舌を真っ二つに焼き切った。


『巫……女の力……』

『ま……さか……』

 断末魔のうめき声を残し、闇の気配が炎の中に消えた。

(巫女の力!?)

 グラントは左腕を見た。文様が……消えている!?

「ありあ!?」

 グラントは吹き飛ばされないように身をかがめた。目を細めて、光と風の中心を見る。

「……あれ……は……」


 風の中央……そこに、黒髪をなびかせて立つ、一人の少女。金の炎が少女の身体から立ち昇り、風に乗って試合場全体に広がっていく。


 会場全体の闇が、金の炎に焼きつくされていく。石畳に倒れている人の身体を光が包む。肌の色が元に戻っていく。闇の手が光に溶けていく。



 どれくらいの時間が経ったのか、グラントには判らなかった。

 闇が全て消えるのと同時に、金の炎も消えた。風が止む。黒い霧が晴れて、青空が見えた。


 茫然としていたグラントの目の前で、ありあの身体が……ゆっくりと石畳に崩れ落ちた。


「ありあっ!!」

 グラントはありあに駆け寄り、身体を抱き起した。真っ白な顔。ぐったりとした身体。

(……冷たい!?)

 口元に手を当てる。かろうじて息はある。

 グラントはありあを抱き上げ、出口へと走った。

「陛下! 妃殿下!」

 ヴェルナー伯爵が駆け寄ってきた。

「ヴェルナー、ここを頼む! 緘口令をひけ!」

「承知いたしました!」

 ヴェルナー伯爵が兵士達に指示を出す。グラントは石造りの門をくぐり抜けた。


 グラントは城に向かって走った。中庭を抜け、中央入口から中に入る。

「陛下!?」

「アーリャ様!?」

 グラントの腕の中で気を失っているありあに、サリが叫び声をあげた。

 駆け寄ってくる家臣たちに、グラントは叫んだ。

「侍医長を呼べ! 早く!」

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