1/108
プロローグ~召喚
暗闇の中、ぼうっと金色の光が灯った。部屋の中央、床に描かれた魔法陣。その真ん中に揺らめく炎。
白い手が炎に触れる。熱くない炎が、手の周りを覆うように輝く。
「……見つかった、か」
黒いフード付きのマントを着た人影が、右手に移った炎の中、を見た。そこに映っていたのは……。
にやり、と空気が笑った。
「間違いない……彼女、だ……」
この少女さえ呼べば、自由になれる。もう、『魔王』に嫁がなくてもよい。
両手を広げる。炎の勢いが増す。金色の龍が暗闇を破るように、炎が空間を溶かしていく。
「我が分身……異世界の少女よ……」
意識を集中させる。薄紙を一枚一枚剥がすように、世界の壁を破っていく。向こうの世界の気配が漏れ始める。
「さあ……来い。我が元へ」




