表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

夜雨

梅雨は嫌われがちな季節である。

蒸し暑く雨ばかりの毎日とあれば、自然気分も鬱屈してしまう。

空に輝く月もカサをかぶり、朧に雨の線を銀色に輝かせるばかりであった。

その線を乱す影が一つ。

雨降る月下で木刀を素振りする少年がいた。

男にしては少し長い髪は雨に濡れて額に張りついている。しかしその切れ長の目は、一心に振るわれる木刀を見据えていた。

木刀が振られるたび、銀色の雨が切り裂かれる。一振り一振りが静かで重く、正確だ。機械のようでいて、人間の気迫が乗った剣とでも言うべきか。

少年は何度も何度も、縦に横に木刀を振ると、はた目にも最後の一振りと分かる、今までで最も速く鋭い一閃を振り切って、止まる。

「ツミキ……」

その声は、雨音に紛れて消える。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ