入院生活
学校が開始して四週間目。
しかし実質的に二週間しか登校していないジャンは、出席日数や成績ににわかな不安を覚えていた。
騎士たちからの処遇の通達は未だ来ないし、修道院に運ばれてきてほどなくして目を覚ましたジャンは暇ばかりを持て余していた。ちょうど眠っている時にユーリアが来たという話だったが、それ以降見舞いに来てくれている様子は無いという。
「……はあ」
「どうしました? 溜息なんて」
包帯を取り替えてくれている、修道女見習いの少女がそう声を掛けた。
最後に腕の包帯を金具に引っ掛けて止め、拘束。彼女はそこで軽く腕を叩いてから、終わりましたよ、と告げる。そうして道具を片付けながら、言及した。
「どうせまた、学校だとか、他の人の事を考えていたんでしょう?」
まったく、と腰に拳を当てて、呆れたと言わんばかりに肩をすくめた。前髪まで隠す修道服姿だが、澄んだ目元に潤う瞳が常に煌き、また顔の小ささや輪郭の丸さから幼さが強調されている。背丈が低く、色々と仕事をするのに大変そうだが、一生懸命なその姿に胸を打つ何かがあるのは確かだった。
応援したくなる少女だが――そんな少女の説教に、ジャンは苦笑しながら上着を羽織った。
「あのですね、スティールさん。一言言わせてください」
そこから始まる一言は、実質的には二言にも三言にもなる長く続く説教だ。それは心から怪我を心配するが故の彼女の心遣いであり、またこの修道院の中でも最も歳が近いという事から妙なまでに湧いた親近感からの言葉だった。
そして世話をしている、という事からいつも妹扱いだったところを逆転的に年上然とした振る舞いをしているのだ。
「確かに誰かの心配をするのは良いことです。自分を省みないその真摯なる態度がスティールさんの魅力でもあります」
意外にも高評価だった。
しかし、が、と続く言葉に不安を禁じ得ない。
「今は正直楽観できる状態じゃないんですよ? 痛みを感じてないって言ってますが、それはマヒしていて、かつ神経系に異常があるという事です」
彼女が言うとおり、目覚めてから痛みが完全になくなったというわけではないが、それでもその感覚は随分鈍くなっているし、全身も以前のような肌から感じる鋭敏な反応は無い。特に右腕の二の腕からが顕著で、動かすことはできるが、痺れているようにまるで自分の腕であるような感覚ではないのだ。
それは彼自身、無茶が祟ったと諦めてはいたが、修道院では皆が一様に口をそろえて「治らないことは決して無い」と説明したから、少しばかりは希望が湧いた。
もっとも、元に戻るという可能性は未だ分からないのだが。
「本来ならば他人のことより、自分のことをもっと心配して労るべきなんです」
枕元の壁に立てかけられている一対の松葉杖を一瞥して、彼女はまた一つ、肩を落とすように嘆息した。
「内臓系に負担や怪我が無いことだけが救いですよ。ご飯をいっぱい食べて、いっぱい寝て休むのが完治の近道ですし」
「あれってクリスの手作りなんだろ? いやー、うちの妹には負けるけど、お陰で食欲は十分あるさ」
「修道院に居る限り、料理は自分でしなくちゃですし。でも、ありがとうございます……ちょっと、嬉しいです」
彼女はそういって微笑んだ。
やはり大人ぶるより、歳相応に居るほうが十分可愛らしいことを再確認してから、ジャンはゆっくりと上肢を倒して仰向けに寝る。
「ほらほらっ、食べてすぐ寝ると牛になっちゃいますってば! 散歩いきましょーって! お外!」
痛みが鈍い事を良い事に、クリスは包帯の上から力を込めて脇腹を掴み、前後に揺する。
ジャンはわざとらしく、くすぐったそうに身を捩ってから「分かった分かった」と繰り返し、彼女を跳ね除けて身体を起こした。
「ったく、いくら患者が居ない上におれの担当だからって、そんなに面倒見なくたっていいだろ? 学校が終わればサニーだって来るのによ」
「ダメですよ。筋系が結合したって弱ってたら、リハビリがもっと困難になります。わたしはですね、いいですか? あなたの担当である限り、あなたの健康のために尽力しなくちゃダメなんですっ! 先輩方がそう力説してました」
「受け売りかよ」
「いいんですよ、だってわたし、まだ勉強中ですし」
開き直るように彼女は笑って、寝台から足を放り出し前屈みになって床に足をつくジャンの介助をしながら、松葉杖を手渡した。
修道院の中庭は、自然で溢れる心癒される空間だ。空気は澄んで、また周囲の喧噪から隔絶された場所。ジャンはそこのベンチでくつろいでいた。
右腕の感覚の鈍さを確認しながら、背もたれに身体を預ける。
――痛みが鈍いということは、既に回復しているからではないのか? そう疑問を呈しながら、クリスが雑務に追われて修道院内に駆け込んでいったのを見送りながら、サニーから持ってきてもらった多面体を取り出し、右肘の魔方陣を軽く意識して掌に魔力を込めてから、目の前の芝生へと放り投げる。
通信用の多面体は空気中の魔力に反応して、”通信”を開始する。耳に当てて声を聞く、一般的な”電話”のようなものだと思っていたジャンは、初回始動時には驚いたものだ。
白い魔石は透明であり、太陽光を吸収して、広い角度で跳ね返す。そうして半透明の人型の影が、等身大で魔石の上に現れた。
人影にノイズが入り、ブレる。それが幾度かあってから、「テス、テス」と人影の中から声が響いた。
『聞こえるか、ジャン?』
気易い男の声。ジャンは頷き、肯定を言葉で示す。
男は肩をすくめるように、「そりゃよかった」と呟いてから疑問を呈した。
『どうしたんだ、こんな時間に……っとスマン。そっちは今、昼間か?』
「ええ、ちょうど昼下がりです」
『そうか。こっちはちょうど夜中でな。言ったっけ? 今本国で、協会に戻った所なんだ』
「そうでしたか……すいません、迷惑なら――」
『いやいや、んなこたぁねーよ。どうせ後は寝るだけだ。明日は魔術開発しか仕事ねーし、好きなだけ話してくれ』
男は笑い、直立姿勢から何かに腰を落としたように身を屈め、大きくのけぞった。足を組み、そしてグラスを手にして、随分とリラックスした体勢でジャンを促す。
彼はそれに頷いた。
「実は、ですね――」
神妙な面持ち、と言っても影でしか相手には伝わらない。だが声色でそれを判断したウィルソン・ウェイバーは、両肘で膝を打ち、前屈姿勢で言葉を胸に止めた。
話すのは、現状としてどうしようもない怪我のことではなく。
まず始めに、今回問題になり、”未確認の異種族とされている”存在の特徴や、北方から来た”偵察兵”の存在。加えて、少しばかり気になった魔術開発の事を訊いてみる。
まず未確認とされている異種族だ。あれほど目立つ外見をしていて、さらに近辺の森に生息していたとなれば未確認である筈がない。ならば一体何者なのか……その存在を隠蔽されていると考えれば、最も適切かもしれないが、”なんなのか”という疑問に対する答えにはならない。そしてまた、この数日間考え続けては見たが、答えが一切見つからないものであった。
そして偵察兵。北方の出で、さらに氷雪系の魔術を得意とするとなれば……この大陸での最北端であるヤギュウ帝国である可能性が高い。だが、その帝国がわざわざ少数精鋭で最南端たるこのアレスハイムを偵察に来たのか。
――今回の自暴自棄で得たのは、大きく考えてこの二つの疑問だ。
『あー、そりゃあアレだわ。厄介だなってか――異種族の専門家っつーお国柄なのに知らねぇってなると、言っていいもんかなあ?』
ウィルソンはどうしたものか、と頭を掻く。もし国家的に隠蔽されているのならば、下手に漏らし、それが彼個人の仕業だと判明したら……彼は思わず身震いさせる。
「お願いします。おれの交友関係なんて、国が知るはずないでしょう? それにこの多面体の通信を傍受できる筈がない」
『いや、魔法で――ああ、いいや。分かったよ、熱意に負けた。話してやるから耳かっぽじって良く聴けよ?』
「お願いします」
『今の一般的に生息している異種族は、動物の奇形みたいな連中だよな? 狼とかさ』
「……はい。確かに」
『そいつをおかしいとは思わないか? 異種族は基本的に”溝の向こう側”からやってきたとされてんだ。しかも、溝が出来る一五○年前には一切繋がりが無かった筈なのに。だっつーのに、異種族と動物には、外見的に共通するものがある……なあ?』
「……、それは、どういう意味ですか?」
溝の向こう側とこの世界とは繋がりがなかった。
だが異種族には、外見的な共通点があった。
要約すれば彼はそう説明している。そして思わせぶりなもったいぶる言い方に、ジャンは思わず食いついた。
『もし、お前が一般的に知っている異種族が、本当にもともとこちらの世界の生物だったとしたら?』
「……?」
『溝の向こう側に居る、本来の異種族と呼ばれるべき存在に”何らかの施術”をされた生物だとしたら?』
「それは――」
『つまりだ』
ジャンの言葉を遮るようにして、ウィルソンは”おそらく”不敵な笑みを浮かべ、グラスを傾ける。
『そいつらが、今の異種族共の始祖たる存在の”可能性”がある。溝の向こうの世界で生息する、本当の異種族ってやつだな』
――その予測とも事実ともつかぬ、妙なまでに説得力のある言葉は、されど妙なまでに現実離れしているように聞こえて仕方がなかった。
あの白い連中が固有能力で動物に”ある施術”をして”異種族化”させた……ウィルソンのそのセリフに、ジャンは思わず言葉を失う。
そんな事があり得るのだろうか。そう疑問に思い疑っても、それに反論するための情報がない。それに加え、ジャン自身に言葉巧みに扱う技術が欠けていた。
肉体ばかりを使う生き方だったから仕方が無いとはいえ、否定したい本能を言葉に出来ぬ、胸の奥に渦巻く気持ち悪さにジャンはどうしようも無く、うなだれた。
「……あの、白い連中が?」
『飽くまで可能性の話だ。ありえない、と否定することも出来る。めんどうだが、とりあえず分かってるトコだけ説明するならそういう事だな。俺たちの商業組合でも、そういった事を研究する機関に口が利くから調べてみたりもするが……今んとこの有力説だ。期待すんなよ?』
「参考までに、考えさせてもらいます」
『そうそう、そうに物分りがいいとこは好きだぜ』
しかしな――ウィルソンは困ったような声を上げて間もなく続ける。
『お前さんとこの国は、それどころじゃないんじゃあねーのかって、思うんだがな?』
「……どういう事です? まさか、あの白い連中の登場が、これからの侵攻を――」
そうじゃない。彼は食い気味に台詞を遮って、やや怒気孕む声音で興奮気味のジャンをいなした。
『落ち着け。こりゃ、第三者から見れば明らかなまでに不穏でアブない空気だ。おそらく、事実に近い』
偵察兵の話だ――ウィルソンはそう切り出した。
大きく、胸いっぱいに息を吸い込む。
ジャンはベンチに深く座りなおしてから、周囲から未だ人気が失せていることを確認する。
『どこの国だかは知らねえよ、だがな、少なくともそいつらは目撃者のお前を殺そうとしたんだろ? つまり、奴らにとっちゃ、自分らがこの国に居ることがバレちゃまずいわけだ。そこから繋がることはそう多くはない――つまりだ』
最早おなじみとなる言葉に、ジャンは頷く。
彼は再びグラスの中の酒を呷ってから、口を開いた。
『侵略だろ、常識的に考えりゃ』
「――侵略、ですか?」
『そう。鉱山も豊富で海も近い。それに”溝”も近いから他国に侵攻される心配もない。武力も十分。お前はその国に住んでるから分からないかも知れないが、割と強国だぞ、アレスハイムって。ま、文化の違う”こっち”の大陸もすげぇけどな。蒸気機関から発展してったわけだが、それだけじゃなく、魔術、魔力の観念を取り入れた科学技術ってお陰で、そっちの数十年先の技術を持ってるって話だ。実感はないがな』
侵略、と言う大それた事を言ってみせたウィルソンは、だというのに話をそらすように別の話題を振ってみせる。
――確かに彼が見せる理論は正しいような気がする。
軍事力も高いし、入念な訓練のお陰でいつでも戦闘を行うことができるし、物資の流通もなめらかだ。さらに鉱山に住み着くドワーフのお陰で武器の質は高く、また警ら兵のみでも異種族と対峙できる程の戦闘能力を有している。
特にこれといった特産物は無いが、国としては自立し、また国交も捗っているいわゆる”良い国”だ。
しかし、わざわざ遠征してまで攻めてくる理由というものが、ジャンには分からなかった。挙げた通りの国を我物としたいという気持ちは分からなくはないが、より決定的な、多くの命を犠牲にしてまでも必要とするもの。
わからない――だがそれで当然であるような気もした。
理解する必要など無い。
攻めてくるのならば、受けて立ち、抵抗し、殲滅するのみ。
一五○年前までの、人々の争いが一般的だった時代ではそれが普通だったし、そもそもこれまでそういった事が無いのが異常だったと言える。
『世界が平和だからな。異種族だって、被害に悩まされてるとしたらアレスハイム近辺だけだ。こっちにゃ、魔術の発展しか届いてないし。だから、お前も知ってるだろ? こっちは紛争や冷戦が絶えやしない』
蒸気機関を発明したのは、ジャンらが住むアレスハイムが存在する大陸ではない。大海を挟んだ遥か向こう側にある、同程度、あるいはそれより大きな大陸にあるどこかの国の発明家だ。今から約二○○年前の事であると、義務教育で学んだ覚えがある。
こちらでもそれを流用しようとしたが、異種族や異人種の出現に進展した文化が一度破綻した。それは溝の出現の契機となる”大地震”による施設の壊滅や、慣れぬ異種族の侵攻、さらに異人種との対立による争いの為である。
今では異人種との共存を第一として考えられ、そしてまた、そういった科学技術ではなく魔術的要素をより強調し、そういった特色を持つ文化を進展させようとして――現在に至る。
向こう側では火薬を使用した無数の武器ができたというし、蒸気機関車や蒸気船などが生まれ続けている。そのせいで文化的な遅れを思わせるが、魔術的な技術は恐ろしく進展しているし、科学技術が一般的な向こう側とは対照的に、国民にまでそれらは一般化している。
また軍事力でも同様だ。
向こうではそういった魔術は確かに使用されるが、主ではない。騎士団という概念はなく、アレスハイムで言う警ら兵のみで構成されていた。
各々が火器類を装備し、ごくなめらかな機動と侵攻で敵を殲滅していく――同じ人同士の戦いだからこそ、そういった戦闘術が浸透していた。
――そして、そういった科学と魔術の粋を集めて造られたのが人型移動用武器収納庫と呼ばれる、人造人間だ。
ジャンらが一般的に知る”魔導人形”という魔術によって使役する人型兵器をより高性能にし、人智を与えたような存在である。
『ま、科学があっても魔術も怠っちゃいけねえってんで、魔術開発っつー仕事があるんだ。もとは”そっち”の生まれだからな、有望株の俺が行かなくちゃいかんってわけ』
会話はごく自然的に、ジャンの三つ目の質問に移行した。
「それで、その魔術開発って何をするんですか? 新しい魔術を作る、とか?」
『まあ、そんなトコだ。もっとも、適当なモンを作りゃいいってもんじゃない。軍事的に利用できる、戦略魔術だ――まったく、魔術師ってわけじゃないんだがな?』
戦略魔術。
それは読んで字の如し、戦略的な目的によって使用される魔術だ。戦術魔術と言うものもあるが――いわば大魔術。ジャンらが知り、また使用する魔術をより大規模だ破壊力を重視したものである。
知るかぎりでは都市を壊滅するレベルの破壊力を誇ると言われており、長い間、この大陸では『禁呪』として封じられてきているものだ。
「いや、ウィルソンさんは十分魔術師じゃないですか」
そしてまた、魔術師というのは文字通り、魔術を扱う者だ。
もっとも、魔術を扱えれば誰でもそう呼ばれるかと言えば、そうではない。騎士団でも魔術を主力として戦う部隊があるように、ある一定のレベルがあり、そこに到達することで魔術師という”称号”を得られる。そしてその称号により騎士団の魔術師団もそうだし、冒険者ギルドでの特殊な仕事や、その他の”魔術師でなければできない専門的な仕事”をすることが出来る。
彼が請け負った魔術開発という仕事も、おそらくは専門的な仕事であるに違いない。
『ま、どのみちこの仕事は魔術師じゃなくても出来るんだけどな。連中は俺みたいな”高名”な”元大魔術師サマ”を呼んで立派な仕事をしてるって体裁を保ちたいのさ。今はただの”営業担当”だっつーのによ』
「魔術師じゃなくても? 既存の魔術を、新兵器ないし既存の兵器に加えて実用化させる、みたいな事ですか?」
『まー、そんなトコだな。っと――テメエこらおい、何をしやがる……!』
気楽に背もたれにより掛かり、手酌で再びグラスに酒を入れた所で、闖入者がそれを奪い、力いっぱいウィルソンを蹴飛ばした映像を、魔石は写していた。
そして消え失せた彼の代わりに、今度は線の細い、タスクの影が現れる。
《お久しぶりです、スティール様。その後いかがですか?》
「ああ、タスクさん。イヤ、まあ元気なもんですよ。元気すぎて逆に怪我しちゃいましたけどね」
《スティール様らしい、しかし元気なようでよかった。こちらも、この不抜けた主人が古女房なぞにうつつを抜かして、現相棒たるこの私に目もくれないと来ています。まったく、ただの一度の過ちすらない女が、呆れますよ。それに訊いてくださいスティール様、この間なんて――》
――擬似脳は、基本的に製作者、あるいはモデルとなっている人物によく似た思考や言動を取るとされている。それは、機械的な人工知能では”おもしろくない”という現行技術を超越した力を持つ科学者の意向によっての仕様だった。
ジャンは、愚痴なのか惚気なのかよく分からない彼女の言葉を聞きながら、彼女がもし人間だとしてもウィルソンは大変そうだな――そう思って、静かに浅く座りなおした。
程なくして彼女は満足気にその場から退場し、そしてウィルソンも眠そうに大きく欠伸をして、挨拶もそこそこに通信が途切れる。
ジャンがそれを拾い上げると、タイミングよくクリスがやってきて――太陽は西の空を茜色に染め上げながら地平線へと逃げていく。そうして夜の帳が落とされようと、藍色が後を追い……十月ももう近い。昼が短くなり、夜が早くなるのを実感した。
「サニーちゃん、お見舞いに来ましたよ?」
「……ああ、今行く」
彼は見上げた空でそれを感じながら、肌寒く感じる外気に身震いを一つして、松葉杖に手を掛けた。