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はぐれの襲撃

「喰うこともせず、ただ殺し、イタズラに散らかして埋める。これには何の意味があるのだ?」

 人工的な盛り上がりを見せる樹木の下、死骸が埋まるそこを見つめながら呟くのは女性だった。

 透き通るような声音で、熱はなく、限りなく無感情で漏らすように呟いた。

 鋭い爪を持ち、仙骨から伸びる球を連結させたような尾は、サソリのソレだった。

「死ねばいいのに」

 その言葉だけは、声にならない声で呟かれたが、その中で唯一確かな熱を孕む言葉だった。

「ヒトの子よ。その愚かな行い、死を以って……」

 身体の内側から、酷く硬質な細胞が浮かび上がる。身体が闇に飲まれるように黒く染まり上がって、ついなる腕が、気がつけば大きなハサミへと変化していた。

 興奮を表すように尾はいきり立ち、その万年筆の先のように尖る先端からは、黄色い液が滴って――じゅう、と音を鳴らして、地面に積もる葉が溶けた。

「死を以って、償わせてもらおう」

 彼女は振り返り、歩き出す。

 既に死骸は腐り、その惨事が幾日も前であることを教えていたが――構わない。彼女がそう決意する理由は、これだけではないからだ。

 今回がきっかけに過ぎない。

 喰うなら許そう。野生動物が血肉に変えるならばまだ許せる。

 だが――。

 彼女は冷たい目で森の中を見渡してから、静かにそこを後にした。


 その日は学校が休みだった。

 だからこそ、街が少し慌ただしいことに気づくことができていた。

「ふふっ、なにを見ているんですか……?」

 街の外から巨大な鳥――それはアエロだった。彼女が空を舞い、外壁の向こう側から城へと向かうのが見えた。ベランダから身を乗り出して往来を眺めれば、通常よりも数人は多いだろう警ら兵が待機しているのが見える。その中に、大きな戦斧を担ぐ、ねじれたツノを頭の両脇に備えるミノタウロスの女騎士が混じっているのを、彼は見逃さない。

「いや、街が……」

「なーにをしてんのよ、っと」

 背中に飛びつくようにするのはテポンだった。

 彼女はいつしか、いつかの深夜に見たスタイリッシュを取り戻して、ジャンに飛びかかる。元気なのは良いことだが、彼にとっていい迷惑なのには変わりがない。

 首の後ろからにゅっと顔が生えてきて、テポンはジャンと一緒に街を見る。それから「なーるほどぅ」と頷くが、その軽快な発言から、事態をしっかり認識しているかは甚だ疑問だ。

「定期的な軍事訓練かしらね。ほら、今の御時世なにがあるかわからないし」

 ――広大な海の向こう側では紛争が繰り広げられる地域があり、この大陸、国の隣国では今にも内戦が始まりそうな雰囲気だ。

 そしてその国と、海の向こう側の紛争地域の国とはにらみ合いが続いており、紛争さえ治まれば火の粉はこちらに降り掛かってくる、というような恐ろしい状況に囲まれている。

 世界は平和だ、という言葉を、最近聞いたことがない。

 そりゃそうだ。平和じゃないんだから。

 だから、魔法を持つ騎士が求められる。魔術がより簡易に発動できるようになって、争いは被害を大きくする一方である。科学技術より、はるかに有用性の高い魔法、魔術が割合的に多い戦は、それ故にそれまでとは大きく異なる被害をもたらすのだ。

 そして科学は衰退していく。

 世界は、異人種を迎えてから大きく変わろうとしていた。

「だと良いんだけど……」

「戦争とか、無いよね?」

 いつのまにか、下から潜り込んでジャンの脇から外を見るサニーがそう呟いた。

 ジャンの部屋に集まった各々、トロスやクロコ、レイミィ、アオイも同様にベランダに集まる。

 無数の建造物を隔てた向こう側に辛うじて見える、路地とも言える往来。

 そこは街の人間の目が、あまりつかない場所だ。そんな所に警ら兵が居ることも不思議だが、さらに騎士が居るという事が疑問を増やしていた。

「だとしても、僕たちは見習い以下で一年だ。戦争が起こっても参加することはできない……と思う」

「だと、良いんだけどな」

 そう返すと、不意に背中を力一杯叩かれた。肺の中の空気が全て吐き出されて、その勢いで思わずベランダから落ちそうになる。彼は両腕でベランダの柵を掴んで身体を支えてから、怪訝な表情で振り返った。

「な、何すんだよ!」

「ジャンくんはみんなを不安にしたいわけ? ふつう、男の子ならたくましくて頼り甲斐のあること言うでしょ?」

 叱責するのはレイミィで、どうやら背中を叩いたのはその尾っぽらしい。常ならば渦巻いている尾が今は足元まで伸びているのを見れば、そう理解するのに時間要らなかった。

「まあどうせ何も起こらないんだから、少しくらいそういう雰囲気を楽しんだっていいだろ?」

「ダーメーよ。怖いのは嫌いだもの」

 テポンは背中の、縮小する羽根をパタパタとはためかせながら注意する。

「浅はかな貴様にはわからないと思うが、他人を気遣うというものは重要なんだ」

 クロコが続けるように言う。

 ジャンはバツが悪そうに肩をすくめて、「わかったよ」とベランダから離れて部屋へと戻っていった。


『――皆様に、お知らせがあります!』

 声は幾度かそう繰り返してから、続けた。

『この街に、”はぐれ”が近づいています! 危険ですので、再び”放送”があるまでは決して外に出ないでください! この街に――』

 広場から響く声は、拡声器を介して街中に響いていた。

 柱の根元にある専用の装置に声を吹き込めば、音声を増幅して拡声してくれるその機械は、そうそう使われない。使う必要な時が無いのだ。

 だから、その必要がある状況とは――。

「まさか、ね」

 テポンが脂汗を額に滲ませる。

 勉強会は、その声のせいで一時中断となって、されどそれぞれは何も出来ずに部屋の中で立ち上がっていた。

 はぐれが近づいている。

 だが、以前の獣人の際であればこういった放送は行われなかった。

 ならば、今回に限ってなぜそれがなされるのか。

 その敵が、今回初めて街を襲いに来るから。あるいは、既に交戦してはるかに格上であることが判明したから。または、途方も無いほどの集団を率いているから。

 以上のどれかであり、以上のそれらでもある。飽くまで、一つだけである可能性などは無いし、そう希望的観測ばかりしていられるほどの状況などではないのかもしれない。

 特に異人種は、そういった緊張や状況を過敏なまでに感じ取っていた。野生の勘、とでも言うのだろうか。

 故に何よりも緊迫して動けずにいるのは、ジャンを除く全ての友人らだった。

「姉さん、これは……」

「大丈夫よ。騎士が動いてるんですもの」

「そうだよ。おれたちは養成学校の学生だけど、それだから戦えって訳じゃない。国を守る人がいる。おれたちはその人たちを信じるだけでいいんだ」

 隣に座っていたサニーの頭を撫でながら、ジャンは無責任にそう告げる。

 もしかしたらとんでもない軍団が襲ってくるのかもしれない。”はぐれ”というのは嘘で、隣国からの進軍かもしれない。あるいは、伝説とも謳われる凄まじい実力の持ち主が敵対しているのかもしれない。

 考えればキリがないそれらを、まずは払拭しなければならない。ジャンはまずそう思って、飽くまで落ち着いた様子で涼しそうに口にする。

「どちらにしろ、おれたちには何も出来ない」

 一番不安そうに眉をしかめていたアオイに目を配りながら、できるだけ優しい口調にする。

 クロコは、応じるようにそれに続いた。

「正確には、足をひっぱることしかできない、だがな」

「ははっ、耳が痛いな」

「……確かに、そうかもしれないけれど」

「不安なのはおれたちだけじゃない。この街に住むみんながそうだ。だから……でしょう?」

 言い聞かせるような言葉に、テポンはまるで仕方なく納得したように肩をすくめて、椅子へと腰をかけた。

「まだひよっこ以前の、卵だものね。今はただ燻っていましょうか」



 首まで丸い首襟が伸びる綿の衣服一枚を纏う女性は、薄い紫がかった髪をそよかぜになびかせながら、深い溜息をついていた。

 側頭部で対になる、ねじれるツノが特徴的な女性はミノタウロスと呼ばれる牛族である。その持ち前の怪力とタフさが強みであり、どれほどの小柄でも彼女が背に担ぐような身の丈ほどの戦斧は容易に扱える。

「あなたは、いったい誰なのでしょう?」

 見知らぬ来訪者は殺気立っていた。

 不躾に、この一ヶ月の間に森に来た者を全て差し出せと告げてから、彼女の鋭い眼光はミノタウロスの女性に張り付いて離れない。

 エクレルはそう訊いてみると――背後に控える五人の警ら兵が一様に剣を構えた。

 両手にハサミを持ち、パールのような尾を持つ女性。衣服は質素に、胸を隠す布を巻き付け、無造作に腰に布を巻くだけの格好だ。が、それ故だろうか。

 むき出しの野性味が、十分すぎるほどに肌に感じられた。

 ”はぐれ”はだからこそ強い。

 この世界に来てから徐々に忘れつつある野生というものを持っている。そして本来の鍛え方で維持しているその戦闘能力は、下手に型通りに鍛錬した騎士や警ら兵を、容易に超越する場合がある。

 だからはぐれは厄介だ。

 この世界に馴染めないのに、この世界に居座っている。

 エクレルは答えない彼女に、深い溜息を漏らした。

「アナタの要望には答えられません」

 そう答えれば彼女はどう動くだろうか。

 それは、想像するまでもなかった。

「自然を穢すヒトを出せ。さもなくば……」

 ハサミを、まるで拳を構えるように持ち上げる。尾はいきり立ち、頭部を超えて前面にもたれかかってきた。

 ――サソリの怖いところは、その尾から注入される猛毒にある。それは変幻自在に変異する打撃技、あるいは鞭のようにしなやかに力強く、素早く捕食対象に迫り、そのハサミで捕らえて突き刺すのだ。

 一度ハサミに捕まれば逃げることなどほぼ不可能。その上、ダメ押しとばかりに毒に侵されれば……。

「同種であろうとも、わたしは戦闘をも辞さない」

「なら……」

 彼女に応じるように、エクレルは背負う戦斧を背中から引きぬいて肩に担ぐ。同時に、それは背後の警ら兵たちへの抑止にもなるような姿だった。

「私がアナタの目論見をはずしましょう。みなさんは、どうか手を出さないでください」

 得も言われぬような威圧が、それまでの温和な様子からは想像もできない程に放たれていた。剣を構えた彼らはそれぞれ顔を見合わせてから、声も出さずに剣を収め、身を引く。それはこの状況ではどちらにせよ、足を引っ張ることしかできないだろうと考えたが故でもあった。

 だが、果たして彼女を傷つけぬままで退かせることが出来るだろうか。

 彼女はにわかに不安になる。

 はぐれだから強いが、はぐれだから悪だという方程式は存在しない。そういった存在が村や街を襲う理由は、彼女が口にしたように、人間による自然破壊を許せなかったりした場合が多いからだ。こればかりは生きていくことに必要なものだから防げないし、どうすることもできない。

 だからどうにかして、一旦退避してもらいたいのだ。

 どうにかして話し合いの場を設けられさえすれば……彼女の考えは、ごく平和的なものだった。

 たとえソレが、途方も無い夢物語だとしても。

「どうしたのです? わざわざここまで来たのに、待つつもりですか?」

 斧、と言っても典型的なバトルアックスではない。柄の両脇に半月の刃を備える武器ではなく――それは片刃の剣のように、あるいはカマの刃を折り曲げて柄に沿わせたような外観を持っていた。

 樹木の幹をそのまま使用したかのような柄、まず先端――つまり鍔として大きな箱状の金具が叩き込まれる。そこから伸びるように装着される片刃である刀身は柄の半分よりやや長い程度の長さを持つ。逆側の峰打ちたる部分は平たく台形状に広がり、鋼鉄で覆われている。つまるところ、ハンマーのように扱えるわけだ。

 それを構えるだけで威圧感が尋常ではないというのに、大きく振り上げれば、どれほど使用者の身が無防備に晒されようとも、踏み込めば己の上半身が吹き飛んで居るような錯覚を覚えてしまう。

 だが――サソリの娘は大地を弾いた。

 瞬く間に肉薄する彼女に対して、構わずエクレルは戦斧を振り下ろす。

 虚空を切り裂いて、間もなく大地を砕く。

 衝撃は腕に伝わり、やがて四肢に伝播して全身を震わせた。大地に亀裂が入り、すぐさまその巨体ゆえに前方の視界が遮られた。

 斧の影から、土煙を切り裂いて不意気味にハサミが切迫する。

 エクレルは予想通りの行動に思わず頬を緩めながら、

「はっ!」

 まるで重さなど感じさせぬ動きで斧を、横薙ぎに振るう。共に槌の部分で横腹を穿たれたサソリ娘は、身体をくの字にへし折り、確かな手応えをエクレルに与えながら吹き飛ばされていく。

 だが、彼女もただでは食らわない。

 その最中に翻る尾は鋭く木製の柄に突き刺さったかと思うと――焼き尽くされるように煙を上げ、腐食するように黒く変色し、柔く、脆くその部分が重さに耐え切れずに砕けて、斧の部分は振り抜いた柄に置き去りにされていた。

 彼女と共に減速しながら大地を抉り、その影に巻き込んだ女性を潰しきる事もなくやがて止まる。

 弾くと、されど持ち上がること無く反転して、鈍く大地を叩いて倒れた。

 サソリの女性は、その表情に怒りを携えたまま、されど侮ること無く、確かにエクレルの実力を読み取っていた。

「アナタはなぜ我々を襲うのです?」

 武器は失せた――わけではない。

 今度は柄を棍棒のように構えて、対峙する。

「ヒトはあまりにも穢し過ぎた。そう思うのは、なにもわたしだけではないだろう」

 紅く染まる瞳でエクレルを睨み続けたまま、一拍、息を吸い込む間だけを置いて、彼女は続けた。

「このままならばいずれ、立ち上がる者も居る。国を利用する者さえもな。わたしも、そうすることはやぶさかではない」

「共存を諦めたならば、から帰れば良いでしょう? アナタはわざわざ気に食わない世界で生活をして、気に食わないからと自分の思うように変えようとするのが正しいと思っているのですか?」

 彼女はたまらず反論した。

 穢していると感じるのならば帰れば良い。

 もとより、この世界はヒトの地だ。彼らの世界を、彼らがどうしようと構わない。それが例え、滅亡や破滅に傾く事になったとしても、口添えすることが出来たとしても強制的に、その決定に干渉する事は異人種には許されない。

 あくまで訪問者である限り、共存を目的としている限り、その存在が完全に許されない限り、そうする事はできない――というのが、彼女らの暗黙の了解でもあった。

「その考え方、身を滅ぼしますよ」

 低く、底冷えするような声が大気を震わせる。

 サソリの女性はそれを受けて、短く舌打ちをした。

「黙れ。懐柔された貴様らに何が分かる。ヒトの政治などに翻弄され、ヒトの争いに巻き込まれ、ヒトに侮蔑されながら後ろ指さされて生きながらえ、寿命や、異質な力のせいで畏怖され――なぜそれでも貴様らはこの世界に固執する。滅んだほうがいい。我々が、新たに作りなおせば良い。違うか?」

「慢心、環境の違いですね」

 話にならない、とエクレルが肩をすくめて嘆息する。

 それと同時に、敵は再び駆け出した。

 エクレルも応じて大地を駆け、棍棒と化したそれを肩の高さまで引き上げて、弦を引いた矢のように後ろへと大きく引き、解放。投擲された棍棒は、その刹那に尾から吹き出した黄色い液体に触れ、飲み込まれて――醜悪な腐臭を発生させながら、変色し、溶けていく。

 にわかに動きが緩慢になるエクレルへと、踏み込んだサソリの女性が鋭くハサミを振り上げる。

 その刹那。

 彼女が、エクレルが動いたと認識するよりも早く、その手は力強くハサミの元となる腕を掴んでいた。構えるハサミも同様にして、怪力ゆえに反抗できず、動けない。

 ピクリと、頭の後ろで弾む尾を見るや否や、エクレルはそのまま足の側面で彼女の足を纏めて払うと、瞬く間に姿勢は崩れて地面に沈む。

 うつぶせにして、両手を後ろで組ませて馬乗りになる。慣れた様子で組み伏せたエクレルは、大きく息を吐いて、額から流れる汗を拭った。

「アナタも、ヒトに迫害された口ですね?」

 乱れた赤髪をそのままに、サソリの娘はそっぽを向いて黙り込んだままだった。

「アナタなら、迎えてくれるヒトが居れば、わかってくれるでしょう。今の私の……私たちの気持ちが」

「ヒトと、共存しろと? このわたしにッ!?」

「応じなければ首を折ります」

 そっと首筋に手を添わせると、びくりと肩が大きく弾んだ。

 どれほど強気な態度をとっていても、やはり怖いものは怖い。彼女はそれがわかって、どこか安堵したように微笑んだ。

「ふ、ふざけるな! わたしは――」

「口答えするなら腕を折ります」

「ひっ……わ、わたしは……ッ!」

「腰折りまーす」

「わ、わ――わかった……言うとおりに、すれば良いんだろう……?」

 怯えた声で、すっかり全身を萎縮してしまった彼女はぐったりと倒れこんで、そう告げる。

 彼女の尾も今やいきり立つこと無く、身体に乗っかるままに乗っているだけだった。

「はい。十分ですよ。あ、もちろん強制するつもりはないので、ひとまず一ヶ月ほど一緒に生活するだけでいいです。それでも本当にダメなら、しょうがないって事で」

「……一応訊いてみたいんだが、しょうがなかったらどうなるわけだ?」

「一応反乱未遂ってことで、軽く二、三○年くらいは牢屋暮らしですねー」

「さ、さんじゅう……。わたしは何よりも、貴様が相手だったことがこの人生の中で、一等の不幸だと思う」

 今にも泣き出しそうな顔になって、泣き言のように彼女は言う。先ほどの啖呵や何かを叫んでいた彼女の姿は一切無く、今の格好は何かの冗談のようだった。

 エクレルは穏やかな笑みを保ったまま、思いついたように口にする。

「そういえば、お名前ってなんですか?」

「名前……わたしは――」

 日が暮れ始める時刻。西の空は既に赤らみ、空からは太陽が姿を消していた。

 全身から吹き出る汗に不快感を覚えながら――エクレルは、思いも寄らない拾い物をした。

 そう思いながら、まず最初に報告をしようと、ポケットから小さな白い魔石を取り出して――大事になりそうだった任務は、あっけなく終了を告げた。

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