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記憶の残滓と絶望の覚醒

崩落するオリジン・ラボの最深部。セレスに連れ去られたノアを追い、カイとリアは瓦礫の迷宮を突き進んでいた。背後からはバルト中将の機械化軍団が、容赦のない掃射で壁を削り取っていく。


遺された「声」

行き止まりに追い詰められた二人の前に、一台の旧式端末が起動した。そこに映し出されたのは、かつての親友、本物のゼノのホログラムだった。


「カイ、リア……。この記録を見ているということは、世界はまた『選別』の時を迎えたのだな」


ゼノの遺した言葉は衝撃的なものだった。セレスの一族は、単なる科学者ではなく、人類が滅びた後に「完璧な神」を創り出し、自らがその臣下として君臨することを悲願としていたのだ。


「ノアは兵器じゃない。彼は、人類が抱いた『愛』という不確実な奇跡を、計算式に変換するための器だ。リア、お前の瞳とノアの心がつながる時、世界は再編される。だがそれは、個としての『私』を失うことでもある……」


ノアの慟哭と究極の変貌

一方、さらに深層の祭壇では、セレスがノアに「鍵」を強制接続していた。 「さあ、ノア。不完全な感情など捨てなさい。あなたは私たちが創り上げた、唯一無二の神になるのよ!」


ノアの脳内に、一千万人分の苦悶のデータが流れ込む。細胞が組み変わり、背中から白銀の光の翼が突き出した。


「ア、アアア……ッ! リア……カイ……助け……て……」


ノアの瞳から、金色の血のような涙が流れる。 「ダメよ! ノアを壊させない!」 駆けつけたリアが、セレスの腕を掴んで引き剥がそうとする。しかし、セレスは冷酷な笑みを浮かべ、リアを突き飛ばした。


「遅いのよ、リア。彼はもう、あなたたちが触れられる存在じゃない。……バルト中将、やりなさい!」


その瞬間、天井を突き破ってバルトの要塞「リヴァイアサン」から巨大な捕獲アームが降り注いだ。バルトはセレスさえも裏切り、ノアという「神の器」を独占しようとしたのだ。


絶望の中の誓い

「セレス! お前も所詮は駒に過ぎなかったんだよ!」 バルトの哄笑が響き、ラボに高熱のビームが撃ち込まれる。


カイは、衝撃で吹き飛ばされたリアを間一髪で抱きとめた。 「リア、立て! 嫉妬も裏切りも、今は全部忘れるんだ。あいつを……俺たちの仲間を、あんな化け物たちの道具にさせてたまるか!」


カイの言葉に、リアは強く頷いた。セレスとの接吻への疑念、裏切られた悲しみ。それらすべてをエネルギーに変え、リアの魔眼が、これまでにない紅い輝きを放つ。


「カイ、私をノアの懐まで運んで。私が見せてあげる……機械には一生計算できない、私たちの『本気』を!」


カイは、中破したジェイ・フィフティーンのブースターを無理やり点火させた。機体は真っ赤に焼けて悲鳴を上げている。 標的は、神へと変貌しつつあるノア、そして彼を奪おうとする巨大要塞。


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