表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/10

第9話 お年頃なんです……

 

 自分の身体を取り戻したロクサスはマーリンに大声で主張する。


完全憑依(かんぜんひょうい)はしばらく禁止にします! 怖いので、普通の憑依だけにします!」


〈えぇ~! まぁ、いいか~ロクサス君が初めて身体を重ねた女性は私になったわけだし〉


「誤解しか生まない言い方はやめてください……というか、貴方のせいでミーナが! ミーナが!」


「ロクサス様……うへへ……」


 なおもミーナはロクサスの腕に抱かれたまま、幸せそうな表情で気絶し鼻血を流している。


〈これで少しくらいは自分の子孫に良い思いをさせてあげられたかな~〉


「何を訳の分からないこと言ってるんですか! 一体、何をしたんですか!? 鼻から血も出ちゃってますし!」


 ミーナの状態が理解できず心配しているロクサスに、ヒミコは呆れた様子でため息を吐く。


〈じゃあ、憑依してマーリンの治癒魔法を使ってやれば良かろう。それで鼻血は止まるはずじゃ〉


「で、でも俺……魔法なんて使ったことないですよ!?」


〈大丈夫じゃ、憑依すれば英霊と同じように能力を使用できる。ほれ、やってみい〉


 ロクサスはヒミコの言う通り、身体の中に居るマーリンの英霊を憑依してみた。


 ――直後、魔法の使い方がまるで今までずっと使ってきていたかのように自然と脳裏に浮かぶ。


(凄い……! これが憑依!)


「……地の精霊よ、母なる大地よ、傷つきしこの者に癒しの力を……【ヒール】!」


 ロクサスが詠唱し、手をかざすと――ミーナの鼻血が止まった。


「……す、凄い! 本当に僕にも魔法が使えました! ミーナの傷を治せましたよ!」


 そんな様子を見て、霊体のマーリンはロクサスの中で首をかしげた。


〈……初級回復魔法なんか、私の能力があればわざわざ詠唱しなくても使えたよね? 何で詠唱したの?〉


 そう言われて、ロクサスはダラダラと冷や汗を流す。


「え、えっと……それはその……は、初めての魔法でしたし……」


 母親のような優しい表情でヒミコはロクサスのフォローを入れる。


〈マーリン、こやつはその……『男の子』なんじゃ。しかも年頃のな。……察してやれ〉


〈えー! 全然分からない! なんでわざわざ詠唱したの!? ねぇ、なんで~?〉


 純粋な表情でしつこく尋ねるマーリンに、ロクサスは顔を真っ赤にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ