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第44話 的当て②

「いでよ! ハインド君!」


『我がマスターの招集により――』


「省略! 声は静かに! あと、もやもや状態でしばらく待機!」


『マスター……いや、今は何も言いませぬ……』


 しょんぼりする姿は、骸骨の姿でもなく、ただの黒い霧のもやもやであった。


「へえ、これがルーシーさんの魔法、近くで見るともっと素敵。私はくだらない的当てよりも、これの方がよっぼど興味があるわ、それにルーシーさんは手加減してるのかしら、これは完全体ではないわね。ま、ここでは無理か。いつか見せてくださいまし」


 ソフィアはハインドの周りをまわりながら、黒いもやもやをじっくりと観察する。


 ハインドはもやもやの状態ではあったが、ルーシーは彼の表情が読み取れる。若い女性に褒められて満更でもない表情をしていた。


 それはそれでいい、ハインドが褒められるのはルーシーにとっても嬉しい。


「ハインド君、その状態で的当てとかできる? 私はちょっと悔しい……」


『はい、我がマスター、初級魔法であるならば何とかなるやもしれません』


 ルーシーにとっては朗報であった。

 実はルーシーはかなりのストレスが溜まっていたのだ。


 お行儀よくしなければいけないのはもちろんだが。今まで彼女は魔法っぽいことをしていない。

 もちろんハインドの召喚は魔法ではあるが、皆とは違うということに劣等感を感じていたのだ。

 まだルーシーは一般的な魔法が使えないから当然ではあるが、それでも、である。


「ソフィアさん、私、少し的当てをしてきます。自分の力じゃないけど良いですよね?」


「そうね、良いと思う。それにハインド君だって、ルーシーさんの力だし何も問題ないと思うわ。……。よし! そういうことなら私もやってみようかしら」


 ルーシーはベンチを立つと、射撃場の前まで向かう。


「あら、ルーシーちゃんにソフィアちゃん、やる気になったんだ。ちなみにあの的は中級魔法に耐えれるようには作られてないからちゃんと加減してね。初日から始末書はいやだし……」


 そう言うと、イレーナは自分が立っている場所を二人に譲る。「お願いだから、的を壊さないでね、振りじゃないから、マジで……」イレーナはすれ違いざまに念押しに言った。


 イレーナさんに迷惑は掛けない。ルーシーはハインドに目配せをする。


 目の前の的、距離にして20メートルはある。


「ハインド君。実体化は出来ないけど。少しだけいい所を見せて頂戴!」


『了解ですぞ。さて、このハインド、過去には的当てで最高得点を取ったことがありましてな。……思い出しましたぞ! たしか唯一ルカ・レスレクシオンより成績が良かったのがこの的当てでありました!』


 ハインドは全身もやもや状態ではあったが、手首のみをかろうじで実体化させアイスニードルを放つ。

 それぞれの指先から5発。

 張り切っているようだ。


 5つの氷の塊は的の中央に当たるとカカカカーンと連続して甲高い音をたてる。


 ガヤガヤとしていた生徒たちの注目は、その瞬間ルーシーに集まる。


「魔法の連続発射! やりますわね。では、このソフィアも一つお見せしましょう」


 ルーシーに注目していた生徒たちは今度はソフィアに集まる。


 ソフィアは少し深呼吸をし、マジックワンドの先端を的に向ける。


「アイスニードル! 続いて、ストーンバレット! おまけにファイアアロー!」


 ソフィアは異なる属性の魔法を連続で放つ。

 いずれも的の中央に命中した。


 生徒たちの反応は様々だ。 

 尊敬の眼差しをするもの、悔しそうな顔をするもの。


 異なる属性の連続魔法は魔力の切り替えが難しい。初級魔法であったとしても簡単にできることではない。


「さっすが、レーヴァテイン家のご息女ね。噂通り。それにルーシーちゃんの精霊魔法もすごいわね。でも生徒諸君も安心して。これくらいなら皆も直ぐに出来るようになるから! そのために先生とこの学園が存在しているのであーる!」


 最後にイレーナ先生の言葉で初日の魔法学科での授業は終わった。



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