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第40話 手紙

『親愛なるお父様、お母様。

 そしてレオ。お元気でしょうか。


 私は本日、オリビア学園に無事に入学することが出来ました。


 ここまで無事に連れて来てくれたアランおじさんとイレーナさんにはとても感謝しています。

 

 あと、高速馬車を手配してくれてありがとうございました。


 砂漠はとても過酷な環境でしたが、道中は何も問題なく砂漠を渡ることができました。

 そういえば、初めてデスイーターというサソリの魔物と、デザートウィングという鳥の魔物に遭遇しました。


 アランおじさんが弓矢であっという間に倒してしまったので、怪我とかはしませんでしたので安心してください。


 ちなみにイレーナさんは活躍できなかったと少し拗ねていました。でもアランおじさんは接近戦ならイレーナさんの方が強いと慰めていました。


 カルルク帝国の首都ベラサグンは砂漠とは違い、街全体が大きな川のほとりに広がっているため、街の中の至る所に水路がたくさんで、小さな船がたくさんありました。

 

 砂漠の多い内陸になぜここまで水があるのか不思議でしたが、今朝、遠くで見た山脈から水が無限に流れてくるそうでした。山脈というのは凄いですね。海じゃなくても水がでるのですから。


 ベラサグンはその豊富な水で物を運ぶのに小舟を使っているそうです。

 グプタではあんなに小さな船は見たことがなかったので驚きました。

 それに船の上でバザーをしていたのはとても新鮮で楽しかったです。


 さて、今はですが、無事に入寮の手続きを終え一息ついたので手紙をしたためております。

 いよいよ明日から授業が始まります。


 他にもいろいろと書きたいことはことはありますが正直入学式は退屈でした。


 学園の大きな広間は素敵ではあったのですが、学園長先生の言葉は難しく、私には半分も理解できなかったように思います。


 お母様は私が居眠りをしたと思っているでしょうが。安心してください。

 ちゃんと起きていました。頭が少し休憩していただけですので。


 残念ながら今はクラスのお友達は居ませんが、明日の最初の授業で自己紹介をするそうです。

 皆に受け入れてもらえるように頑張りたいと思います。


 それとは先んじて、寮で一緒に過ごすことになるルームメイトとは仲良くなれそうです。


 ルームメイトの方は同い年のソフィアさんという金髪の縦ロールがとても似合う女の子です。どうやら彼女は貴族のお嬢様だそうです。


 通常は貴族の方は一般人とは別室になるのですが、私の場合はグプタの代表という扱いですのでカルルクの身分制度には関係ないそうです。


 それでも、少し不安でしたがソフィアさんはとても気さくな方ですので、上手くやって行けそうです。


 では、そろそろ消灯の時間ですので。また来週お手紙を書きます。


 ――ルーシーより』


 筆をおき、一息つく。


「あら、ルーシーさん。お手紙はもう終わったのかしら?」


「はい、ソフィアさん。今終わりました」


 金髪縦ロールのお嬢様、ソフィアは青い瞳に釣り目の美少女。そしてやや勝気な性格である。

 ルーシーが今まで出会ったことのないタイプの女の子だった。

 しいていえばルカさんの若いころはこうだったのではと想像はできる。


 それでもルーシーは上手くやっていけるだろうと漠然と思った。どこか既視感があるのだ。

 

「では、ルーシーさん。さっそく、私の明日の自己紹介を見ていただきたいわ。魔法の披露はさすがに寮内では無理ですが前口上だけでも。……客観的な評価をくださいましっ!」


 そう言うと、ソフィアは椅子から立ち上がり、深呼吸をする。


「我が名は闇の貴族令嬢ソフィア。我は深淵をのぞくもの……。聞け、深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ! 我が父、偉大なる英雄王は――」


 片目を手の平で隠し、謎のポーズを取るソフィア。謎の演説はまだ続く。

 ――っ! ルーシーは驚愕した! だめだ。このままではルームメイトがひとりぼっちになってしまう。


「ソ ソフィアさん。それはだめ! カッコいいけどそれはだめよ! 消灯まではまだ時間がある。今から自己紹介の内容を考え直さないと。

 ……えっと。まず、なぜ駄目なのかの説明を。えっと、あれ、なぜ駄目なんだっけ。イレーナさんはカーストがどうとか。それとこれと――ああ。時間がない!」


 こうして、ソフィアの挨拶の手直しは消灯後も小さな蝋燭の明かりの中で静かにつづいた。


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