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第39話 入学当日

 朝が来た。


 ルーシーは買ったばかりの新しい真っ白なシャツに袖を通す。

 そして、めんどくさいボタンをとめる。たまにボタンをかけ違いしてしまい余計に時間が掛かってしまった。

 ごわごわとした襟がうっとおしい。


 普段はワンピースを来ているルーシーにとっては最初の難関だった。


 そして、黒いプリーツスカートを穿く。次に黒と赤を基調としたネクタイを締める。


 最後に胸元に金色のオリビア学園の紋章の刺繍が入った黒いブレザーを着る。

 ……ふぅっと、服を着るのにこれほど時間がかかるのかと溜息をついていたが、側にいたイレーナの反応は良かった。


「ルーシーちゃん、素敵ね。故郷のご両親にも見せてあげたいわ」


「むー。この服めんどくさい……私は毎朝これを繰り返すんですか?」


「そうね、ルーシーちゃんはワンピースばかり着てたし……でも慣れれば普通よ? 鎧に比べれば全然簡単なんだから。

 でも本当に良く似合ってる。さあ。今日は特別の日だから。髪の毛も整えましょう。せっかく綺麗な灰色の髪なんだから。くせっけがあったら台無しよ、さ、座って?」


 ブラシを手にイレーナはルーシーを椅子に座らせ髪を梳かし始めた。


 髪が整うと鏡の前に立つ。

 目の前の鏡に映る自分はまるで別人のようだ。


「……そっか、身だしなみって大切だったんだ」


 ルーシーは毎朝、身だしなみについて小言を言っていた母のことを思い出した。

 グプタで見知った友達と会う時は考えもしなかったことだった。


 しかし、これから初対面の同年代の子たちと生活することに不安を感じていたルーシーは、不思議と何とかなると自信が沸いてきた。


 身だしなみを整えるというのはこういう事だったのだ。


「よし、完璧。じゃあ行きましょう!」


 バシッとオリビア学園の制服に身を包むルーシー。

 学園前まではアランとイレーナがしっかりと随行してくれた。


 アランも普段の服ではなく黒いスーツ姿に黒メガネの出で立ち、イレーナも黒いドレスでばっちりと決めていた。

「パパ、その格好はなに? まるで悪の組織みたいよ」


 イレーナとて人のことは言えないが。それでもアランの格好は強烈だった。


「そっすか? それでも俺っちの顔は客観的に見て醜いっす。お嬢の晴れ舞台を汚すことはできやせん。それに俺っちはこのメガネけっこう気に入ってるっすよ?

 まあ、仕事柄、黒メガネなんてもってのほかっすが。お嬢はどうすっか?」


「うん、とてもカッコいい。アランおじさんにとっても似合ってる」


 それは、とても堅気の者とは思えない姿ではあったが……。


 アランは普段、目立つ行動は良くないと言っていたのに、すっかり目立ってしまっている。

 それとも自分がわざと目立つようにしてルーシーを守るためだろうか。

 そんなことを思いながら馬車に乗り魔法学園に向かう。



 馬車を降り、少し歩くとついに魔法学園に到着した。


 学園の門は巨大な大理石でできており、その上に学園の紋章が刻まれていた。

 

 門の前には、新入生やその家族たちが集まっている。生徒たちは新しい制服を着て、興奮と期待に満ちた笑顔で語り合っていた。

 幼馴染だろうか。もしジャンとアンナが同じ年齢だったなら。ああいったこともあったのだろう。


 少し寂しい気分がした。


 そんな気分を察したアランがルーシーの肩をポンと叩くと。

「じゃあ、お嬢、俺っちとイレーナはここまでっす。あとはお嬢がしたいように頑張るっす。う、……うえ、ひっく。……俺っちはお嬢が立派に成長して――」


「ちょっとパパ! ここで泣かないでよ! 周りの目があるし。……じゃあ、ルーシーちゃん、ここでお別れよ。頑張ってね」


「はい、アランおじさんに、イレーナさん。私、頑張ります!」


 門をくぐるとそこは美しい花園が広がっていた。鮮やかな色とりどりの花々が風に揺れ、朝日の光を浴びて輝いている。

 ルーシーは花々の香りを感じながら、ここが新しい始まりの場所であることを感じた。


 学園のシンボルとも言える高い塔が、遠くからでもはっきりと見えた。

 ルーシーは両頬を叩くと気合を入れる。


「よーし、呪いの……いや。魔法使いルーシー。頑張るぞ!」


 第三章完。


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