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第15話 闇の執行官

『闇の執行官ハインド。マスターの命に従い参上しました。我が闇の魔術の奥義の全ては、偉大なる呪いのドラゴンロード・ルーシー様の物。さあマスターなんなりとご命令を』


「……うむ、ご苦労」

 

 ルーシーは王様がへりくだる臣下に取るように横柄な態度を取る。

 そして満面の笑みだった。


 今度は成功した。

 やや自己紹介が長いのは欠点だが、これをしないと意味がない。

 格好をつけなければ、初見で圧倒しないと骸骨を召喚しただけの根暗だと思われてしまう。


 そんなことを考えながら。

 目の前の骸骨に命令をする。


「さっそくだが。我は問わねばならぬ。お主の能力の全てをな……」


『はいマスター、ではまず……。あれ? 思い出せません――』


 ぼふんっ!


 骸骨は煙となって霧散した。


「ち、まぬけな回答で集中力が途切れてしまったではないか!」


 まだ魔力はある。

 しかし、やりすぎて魔力が枯渇してしまうと意識を失ってしまう。

 おかげで昨日は二度寝してしまって母に怒られたのを思い出した。


 だが今日はまだ余裕がある。

 再び意識を集中する。


「いでよ!『ハインド君』!」


 再び出現する骸骨。怒っているようだ。

 少しだが無表情の骸骨の顔から表情を読み取れるようになっていた。


『酷いですマスター。話の途中で消されると。記憶に齟齬が出てしまいます』

 ハインドが言うには。現世に呼ばれている間だけ意識があるようだ。


「面倒くさいやつめ。そういうのは心の中でコミュニケーションが取れるものだろうが」


『お言葉ですがマスター、平時からマスターと心の中で会話なんてしてたらそれこそ面倒くさいのでは?

 それにプライバシーが無くなってしまいますよ。お互いほどよい距離感でいたいものです』


 たしかにその通りだと思った。

 お風呂やお手洗い中に話しかけられても困る。

 それに普段から一人でぶつぶつと会話してたら変な奴だと思われてしまうだろう。


「ハインド君の言う事ももっともだ。……で、肝心の能力を忘れたとはどういうこと?」


「どういうことでしょう。……おそらくマスターに呪いを掛けたときに失敗したのが原因かと。呪い返しにあってしまった結果……と、推察します」


「呪い返し? なるほど呪いとはそういう物なのか。しかし、まさかの無能だとは。……我でなければ追放しているところだぞ?」


「はは、ルーシー様、ありがたき幸せ」


 ペコっと頭を下げる骸骨。

 気軽な態度は良いのだが。


 何か違和感を感じるルーシー。

 とりあえず無能なのは置いといて格好だけでもつけたいところ。

 それに、千年牢獄であった時のハインドはカッコよかった。


「うーむ。なんか違う。ただでさえ表情のない骸骨だし、棒立ちだと格好がつかないのかもね。

 ……そうだ! 私が手の甲を差し出すから。ハインド君は跪いて手の甲に口づけをするとかどう? カッコよくない? 唇が無いから出来ませんとか言わないでね?」


『はは、お任せを。レディーに対する礼儀作法は心得ております。……最も実践したことはありませんが――』


 ぼふんっ!


 再び煙となり霧散する骸骨。


 今度は魔力切れだ。

 

「ハインドくん……。君って奴は本当に無能なんだね……」


 だが、彼は唯一の眷属で大切にしないといけないと思った。

 

 まだ朝は早い、朝食までには少し時間があるためベッドに横になりながらハインドの今後を考えるのだった。

  

 元々ルーシーには魔法の才能はなかった。

 魔法とは先天的な才能であり、遅くとも10歳までに体内に魔力が生まれなければ一生魔法は使えないというのが世界の常識だ。


 ルーシーは10歳で年齢的にはぎりぎりといえるが才能が無いのは確かだった。

  

 だが、ハインドの掛けた、闇の魔法『死に至る呪い』を受けた影響で魔力が発現したのだ。


 ハインドは『死に至る呪い』が失敗したと思っているが、実際は魔法の発動は成功している。

 呪いはルーシーの魂を包み込んだ、しかしルーシーの魂に存在する呪いのドラゴンロードの魂の残滓の影響で、呪いは無効化され逆に飲み込まれてしまったのだ。


 ハインドは呪い返しによって自分の能力が無くなったと思っていた。だが事実はハインド自身がルーシーに取り込まれたのだ。


 ルーシーはそのことを知らない。

 闇の魔法の知識もない。


 さらにいえばルーシーは『千年牢獄』でハインドと出会ったと思っているが、もともと千年牢獄は独房であり、対象は一つの魂で複数を収容することはない。

 墓標で会った時からルーシーの魂の中にはハインドはいたのだ。


 奇しくも『千年牢獄』という精神世界でハインドの魂と向き合い、眷属に迎えることで後天的に魔力を得ることになったのだ。


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