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第103話 帰省⑬

 昼、太陽が最も高く昇る時間。


 夏のグプタが最も輝く時間でもある。

 老若男女問わず、ビーチは人々で賑わう。


 だが、この日のグプタのビーチはある意味で戦場となった。

 グプタの情報網は伊達ではない。わずか半日でビーチには見物客がひっきりなしに集まっていた。

 それに伴い、ドリンクや軽食等の屋台が集まる。


「さすが、グプタ警備隊長クロード殿、俺はすっかりアウェイって感じですね」


「いや、カイル殿、本当にすまない。さすがにこれは想定外だ。誰がこんなに客を呼んだのだろうな、まあ心当たりと言えば。ベアトリクス様だな……」


「さーて、皆の者! 我らグプタ最強の剣士である警備隊長クロード・バンデルに対するのは、あの有名な英雄王カイル・レーヴァテイン! 魔獣王を倒したとされる剛剣の腕はいかに!

 さてさてどちらが強いか、皆は誰を応援するかの?」


 観客たちに大きな声で語りかけるのはベアトリクスだ。

 まるで試合の解説者の様な立ち振る舞いだ。


 声を大きくする機能を持つ魔法機械、マイクを片手に実に楽しそうだ。


「当然! 我らの隊長クロード様が勝つ! 勝つということで、皆さん! グプタ名物の海老カツサンド、食べて行ってくれよな!」


 屋台のおじさんの大きな声が響く。商魂たくましい。

 そう、今、東グプタのビーチは一大イベントを開催中なのだ


 ルーシー達は水着に着替え、ビーチに集合するが。


「なんだこれ! 間に合ったのは良いけど。なんだこの人混みは!」


 普段の三倍くらいの人で賑わうビーチはグプタの出身でもさすがに経験が無かった。


「うん、姉ちゃん。僕も侮ってた。さすがは英雄王カイル様だね。でもこれだと試合が良く見えないや」


「ルーシー! レオ! こっちよー!」


 なにやら人混みの奥から呼びかける声が聞こえる。


「お母様だ。それにシャルロットさんやルカさんも居る。みんな、とりあえずあそこに行こう」


 大きなパラソルの下にはビーチチェアに腰掛ける母親たちを見つけた。

 テーブルにはトロピカルなドリンクが人数分。


 朝見たときは二日酔いの様子だったがすっかり元気になったようだ。


「あら、ルーシー。ビキニなんて初めてじゃない? これもあれかしら? 噂のニコラス皇子様の影響かな?」


 まだその話を引っ張るのかと、少しうんざりだったが、それでも否定し続けなければいけないだろう。


 お父様が暴発して、外交問題になりかねない案件だと思ったからだ。


「お母様、残念ですがレオの影響です。レオが目をつぶって選ぶものですからこれになりました。

 でもこれはこれで有りなのではと思いまして。店員のお姉さんも良くお似合いですって褒めてくれましたし」


 ルーシーの言葉にクリスティーナは思う。

 店員は例え似合ってなくともお似合いですと言うだろうと……。


 だが、同時に我が娘ながら中々に女として魅力的であるとも思ったのだ。


「なるほどね。それにしてもソフィアさんとセシリアさんも色違いでお揃いのビキニだなんて……レオ、だめよ?

 女性の水着選びはもっと真面目にしないと。そんなんじゃ彼女は出来ないわよ? そうだ、今度、練習のためにお母さんと一緒にお買い物に行きましょうか」


「母上、僕はもう女性の買い物に付き合うの嫌だよ。僕だってもう大人の男なんだ」


「ふっ、レオよ。お前は大人の男性を勘違いしてるぞ? お父様だったら私の買い物に喜んで付き合ってくれる。それが大人というのだ。お前も喜んでお母様の買い物に付き合うとよい、はっはっは」 


 レオンハルトもまだまだ子供だなとルーシーは一人頷く。


 一方、ソフィア親子は。


「ちょっと、ソフィア。あんた、その黒ビキニ、ちょっと大胆過ぎじゃない? もしかしてあんたも彼氏が出来たんじゃないの?

 それにしても懐かしいわね。確か私が初めて着た水着もそんなだったわね。

 あの頃はカイルも私も、このグプタで初めての海を楽しんだわ。ほんと懐かしいわねー」


「クリスティーナさん、シャルロットさん。そんな事よりも、今、クロードさんとカイルさんはどうなっているんですか?」


 もう一人のビキニ女子。セシリアはビーチ中央にいるクロードとカイル。そして二人と真剣に話をしている母セバスティアーナの姿を見た。 


「戦いはこれからよ。いま、決闘のルールを決めているんじゃないかしら。

 ま、当然、木剣でやるんだろうけど、木剣だって危ないし。魔法を使うのか使わないかでも変わってくるしね」


「あの、お母様、お父様の持ってる剣ってあれ……木剣ですか?」


 クロードが持つのは紛れもなく十二番の魔剣、魔封じの剣だ。

 ルーシーの言葉にクリスティーナも驚く。

 

 同時にシャルロットもカイルの持っている剣に驚きを隠せない。


「え? カイルの持ってるの。九番の魔剣、ノダチだわ。ちょっと、本気で戦うつもり?」


 パラソルの下でのんきにくつろいでいたご婦人たちに緊張が走ったのを確認したベアトリクスは上機嫌に会場に大きな声で告げる。


「ふっふっふ。まさかここまで盛り上がると思わんかったからの、だが皆のもの安心せよ。この海のドラゴンロードの目の前で殺し合いはさせん。さてセバスティアーナよ。例の西瓜を……」


 セバスティアーナはベアトリクスの合図と同時に、大きく熟れた西瓜に向かって自分の持っている剣で勢いよく切りつける。

 だが西瓜は剣が当たった瞬間に水しぶきを上げただけで傷一つなくそのままの状態であった。


「これは海のドラゴンロードの権能の一つ。水のバリアで包まれた者は致命傷を一度だけ回避できるのだ。ということは皆の者分かるか? 今日、ここにいる全員は頂点に立つ剣士同士の本気の戦いが見れるということだ!」


 ベアトリクスの言葉の後、会場は大いに盛り上がる。

 本気の戦い。しかも実戦形式の戦いが見られるとあっては興奮せざるを得ない。


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