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第10話 父親

「ルーにレオ、こっちに来なさい。一月見ないうちに随分と成長したな」


「もう、あなたったら、たった一月でそんなに成長するわけないでしょ」


「いや、クリス、お前はずっと一緒にいたから分からないのさ。ほら二人とも父さんの側においで」

 二人の父親、クロードは椅子から立ち上がると、一歩前に出て姿勢を低くして両手を広げる。


「レオ! ここは姉である私が優先よ! わかるでしょ」


「姉ちゃん、言わなくても分かってるって」


 弟は当然として姉に父とのスキンシップを譲る。

 ルーシーは勢いよく父親に飛び込む。


 クロードは久しぶりに娘を抱きしめる。そして頭をなでながら、ゆっくりとその場に直立するように促す。


「お、ルー、また身長が伸びたな。それにお前はますますクリスに似て美人になった。そう、思い出す、俺が初めてクリスに出会ったときの姿にそっくりだ。母さんもルーに似てお転婆だったんだぞ?」


「もう、お父様、そんな話はどうでもいいです。 ほら、私は腕を広げています。私はまたドラゴンみたいにお空を飛びたいです。……でも、私は前より太ってますけど……」


 レオンハルトはこの姉の二面性にちょっと引いている。二重人格とは言わないが……なにか姉を恐ろしい存在だと思ってしまう。

 普段のドラゴンロード発言よりも、このあざとい態度の方が現実味があって恐ろしかった。

 姉は間違いなく美人だし、近い将来、いろんな男たちが彼女を取り囲むだろう。


 何かとんでもない存在になってしまうのではないか。

 

 普段から姉を見ている弟の正直な感想だった。


 そんな弟の心配をよそに、ルーシーは両腕を真横に広げ。父親が抱き上げるのをキラキラとした笑顔で待っている。


「ふふ、ルーよ、子供のうちは太るとか気にしないことだ。お前は大人に向かって成長してる。身長が伸びているのだ、体重だって増えるさ。それに俺は騎士だぞ? 女性を持ち上げられなくてどうする」


 クロードは両手を広げたルーシーを軽々と持ち上げグルグルと宙にまわす。


「どうだ、ルー。グプタは楽しいか? いじめられてないか? いじめられたら俺にいうんだぞ? 父さんはお前の騎士だ」


「あはは、私は空を飛んでる、ドラゴンみたいに」


 しばらく、父と娘のグルグルは続いた。

 そして、数回転の後、地面に着地したルーシーは姿勢を正して父に言った。


「お父様、私はいじめられていません。眷属……いえ、弟がいますから」


 ルーシーはレオンハルトにウインクをして父親から離れる。


 レオンハルトは、姉のあざとい動作に呆れる、が、姉は父親が大好きだからしかたない、それに独占するわけでもない。

 それとなく弟を引き立ててくれる。


 今度はレオンハルトの頭をなでるクロード。

 

「父上、姉ちゃんは大丈夫です。僕がいつも見てますから」


「レオ、良い心がけだ。お前は俺に似ている。髪の色だけではない。きっとお前は良い騎士になるだろう。だからお前には少し厳しくしている。分かってくれ」


「ちょっとクロード、貴女はルーシーばかり甘やかして、いくらルーシーが私に似てるからって良くないわ。レオはとってもいい子に育ってるのに……そこまで厳しい事いうなんてレオが可哀そうよ」


「ふ、クリス、そういうお前はレオに甘いだろ? 俺に似てるからって」


「もう、それはしょうがないでしょ。で……クロード、ここにはいつまで居られるの?」


「そうだな、西グプタの魔物はしばらくは問題ない。大規模な討伐作戦が成功したからな。しばらくは東グプタで新人教育をするさ。だから現場に行く機会は減るだろう」


「そう、よかった。あのね、じゃあ、クロード、その、久しぶりになんだけど、デート……いえ、皆でお出かけしましょうよ」


 母、クリスティーナは出かけた言葉を飲み込んだ。

 その様子を見ていた子供たちは顔を見合わる。


「姉ちゃん、今でしょ?」


「レオ、分かってるわ。まかせなさい」


「お父様、お母様。私たち明日はアンナちゃん達と遊ぶ約束があって、そのお出かけは参加できないの……」

「そうか、残念だな、じゃあ、予定は……」


「父上、せっかくですので。母上とお出かけなさってはいかがですか?」

 

「……ああ、そうだな。レオの言うとおりだな。クリス、明日はどこに行きたい?」


 ルーシーとレオンハルトは事前に打ち合わせをしていた。

 

 母は父が帰るのをずっと楽しみに待っていたのを知っているからだ。

 そして毎晩、父の無事を祈っている姿を見ていた。


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