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屈辱

優越感にたっぷりと浸っている目の前の男は私にケーキと紅茶を勧めた。

何れにも手をつけないでいると

「毒なんて入っていないさ」

と言ったが、そうじゃない。


私は精一杯背筋を伸ばす。

できるかぎり上品に。

こう言う時こそ、隙を作ってはいけないからだ。


「私をどうするおつもりですか?」


ロイドは両手を組んで、頬杖をつく。

「そうだな、本題に入ろうか。セレン、君には私と添い遂げるか死ぬか…どちらか選んで欲しいんだ」

わざとらしく精一杯切なそうな表情と仕草で言った。


それを受けて、私はわざと少しだけ微笑む。

「そのどちらもお断りしますわ」


がん!という音がして、思わず肩が跳ねる。

テーブルを拳で叩きつけたようだ。


「どちらか選べと言ったはずだが…」

力んだ拳をそのままに、はらりと乱れた髪の隙間から、射抜くように睨まれた。


「……では、もし添い遂げるとなった場合は?」

「カイエン君を開放してあげよう」

パッとのけぞって、両手を広げた。


「…死ぬと言ったら?」

「カイエン君は王太子殿下と仲良く死んでもらおう。筋書きはこうだ。セレン殿に一目惚れした王太子を激怒したカイエン殿が殺害。ことの重大さに気づき、セレン殿をも手にかけカイエン殿は自ら自害…我ながらなかなか傑作だ」

うんうんと言って自画自賛する。


「では、どちらも断ると言ったらどうなるのでしょう?」


突然ロイドの長い腕が伸びてきて、私の首を絞めた。

「……そうなったら君を殺してしまおう。屈辱の限りを尽くした後で。それからカイエン君も王太子も殺してしまおう。考えろ…セレンは馬鹿じゃないだろう?」

「ぐっ…」

もがき、手を引っ掻くと、ぱっと離された。

「ゴホッゴホッ…うっ」

「苦しかったのだな、かわいそうに…お茶を飲ませてあげよう」

ロイドはカップを雑に持ち上げると、ぐいっと紅茶を口に含み、顎を掴まれ口移しされた。

「〜〜〜っ!!」

ぼたぼたと、ぬるい紅茶が滴る。

顎をつかまれたまま、まじまじと見られる。

歪んだ表情でフンッと笑った。

「そうだ、ケーキも食べさせてやろう」

クリームがつくのも気にせず片手で掴み、乱暴に頬張ると、強引に唇を奪われ口内に押し込まれた。

「っっっ!!!!!」

ぐいぐいと手で押しのけるが、却ってそれがロイドを煽ってしまった。

深くなるくちづけに抗い、なんとかロイドを離した。

「王族だろうと、こんなことは許されませんわ…」

袖でごしごしと口を拭く。


「ここには君と私しかいないからね。一歩外に出てごらん、君が何を言ったって、それはただの妄言だ」

それよりも、と言って続ける。

「紅茶とクリームまみれじゃないか」

私は腕をぐいと引っ張られ、そのまま引き摺られるように天蓋のベッドへと放り込まれた。


「かわいそうなセレン。私は君を愛しているよ。もう君には私しかいない」


ああ、荒くなる吐息が耳にかかる。


ーー不快だ。

続きは明日15時ごろ投稿します。


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