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ただのモブキャラだった私が、自作小説の完結を目指していたら、気付けば極悪令嬢と呼ばれるようになっていました  作者: 渡辺純々
第三章 二人の王子と極悪令嬢

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悪女、参戦する

「ルイーズは、ココットさんの所へ戻って指示を仰いで。もしかしたら、殿下付きのたくさんの兵士がここへ来て、ご飯食べるかもしれないから」


「わ、わかりました!」


「ジルは、ミネさんヨネさんに声をかけて。ここを救護所にするのなら、シーツとかタオルとか、用意するものは鬼のようにあるだろうから。指示を受けたら手伝ってあげて」


「はいっ」


 そんな私の指示に、二人とも緊張した面持ちで返事をする。そして、すぐさま駆け出していった。


「素直って素晴らしい。私の周りにもっと増えないかしら」


「主人自身がひねくれていらっしゃいますから、おそらく増えないでしょうね。類は友を呼ぶとも言いますし」


「相変わらず、嫌味は川の流れのようにするりと出てくんのね。そんで、クレマン様の指示出しは終わったわよ。これからどうすんの?」


「とりあえず、ダルクール男爵の目を盗んで、クレマン様の元へ向かいましょう。ちょうど、あちらも出陣の準備に取り掛かっているようですし」


「それはいいけど。それで?」


「クレマン様に、私達も参加する旨を伝えるのです」


「でも、それじゃあ男爵達に私がアンジェリークだってバレるじゃない」


「幸い、傭兵や自警団員も参加しております。それに紛れてしまえばよろしいかと」


「なるほど。ダルクール男爵だって、自身が連れてきた傭兵の顔はわかっても、カルツィオーネの領民の顔まではわかんないもんね」


「そういうことです。それで私達は主にエミリアを守りましょう。これでクレマン様も動きやすくなるはずですから、許可を得やすいかと」


「わかった。じゃあ、早速クレマン様の所へ行きましょう」


 そうして、ダルクール男爵の目を盗んで屋敷内に戻り、クレマン様に私達も参加したい旨伝えると、クレマン様は大きなため息をついた。


「アンジェリーク、君もか」


「はい、私もです。殿下達の危機は、この国の危機。是非私達も連れて行ってください」


「しかし……」


「ダルクール男爵が、私達二人のことを快く思っていないのは知っています」


「聞いていたのか」


「わざとではありません。偶然です」


 いけしゃあしゃあと言うと、ロゼッタの片眉がピクリと反応した。


「私達は自警団員になりすまし、そして、主にエミリアを守ろうかと思います。そうすれば、あなた様は何も気にせず殿下達を守りに行ける。私はただの足手まといですから、戦場へ行って場を混乱させることもないですし、万が一そうなっても、私には自称人類最強の護衛が付いています。連れて行っても、クレマン様の重荷にはなりにくいかと」


「よくもまあこんな手を考えたものだ。これはロゼッタの入れ知恵だな?」


「そうです。あたかも自分が考えたかのようにアンジェリーク様はおっしゃっていましたが、すべて私が考えたものです」


「君も行った方が良いと考えているのか?」


「まさか。正直、アンジェリーク様をわざわざ危険な場所へお連れするのは反対です。ですが、我が主人は大変頑固ですから。一度行くと決めたらきかないので、仕方なく知恵を絞って安全策を打ち出しました」


「そうか。君も大変だな」


「そうご理解いただけるだけでも、心が救われます」


「私の悪口言ってストレス発散しないでよ」


 ぶーっと頬を膨らませてみる。しかし、ロゼッタはまるで効かないというようにツンとすましただけだった。


「というわけで、クレマン様。私達も参加しますので」


「元より拒否権は無いのだろう? だったらもう好きにしなさい。その代わり、絶対に死ぬな。ロゼッタ、君もだ」


『承知致しました』


 私達二人の返事に納得したのか、クレマン様が一度頷く。その後で、近くを通ったミネさんに何かを頼んだ。


 戻ってきたミネさんが持ってきたのは、二着のフード。それをクレマン様はロゼッタと私に掛けてくれた。


「ちょうど君達は男装もしているから、こうして顔を隠しておけばバレる心配は少なくなるだろう」


「確かに、アンジェリーク様の髪型は独特ですからね」


「唯一無二のオシャレ髪といって」


「それに、顔の怪我もまだ万全ではないのだろう? そんな顔を殿方に見られるのは嫌だろうからね」


 そこまで言って、クレマン様は悪戯っぽく笑った。


 この気遣い、まさに紳士! マジで惚れてまうやろっ。


「さあ、おしゃべりもここまでにしよう。ここからが本番だ」


 クレマン様の顔つきが軍神のそれになる。私もロゼッタも、一気に身が引き締まった気がした。


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