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ただのモブキャラだった私が、自作小説の完結を目指していたら、気付けば極悪令嬢と呼ばれるようになっていました  作者: 渡辺純々
第五章 常闇のドラゴンVS極悪令嬢

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反撃の狼煙

残酷な描写、暴力的なシーンが含まれています。

苦手な方はご注意ください。

直後、私の背中に鞭が打たれた。あまりの痛みの鋭さに、思わず「きゃあっ」と悲鳴をあげる。そして、痛みが引く前に再び鞭が背中を襲い、私は本能のままに悲痛な叫び声をあげた。


「グフフ、可愛い声で鳴くのぉ。もっともっと聞かせろ!」


私の悲鳴でご機嫌になった首領は、容赦なく鞭を振り下ろす。何度も、何度も。男達はそんな苦痛に歪む私の顔を見て楽しんでいるようだった。


どのくらい打たれていただろう。もはや背中の感覚はなく、燃えているのかというほどの激しい痛みが身体中を支配していく。声は枯れ、全身に力は入らず、意識も朦朧としてきた。


もういっそ、早く死んで楽になりたい。


そう心が折れかけた時、男達によって再び身体全体に水をかけられた。背中の傷口に水が入り、染み込む痛さに意識が覚醒し声なき悲鳴をあげる。それを聞いた後、首領は指示を出して私の身体を再び前に向けさせた。


「はあ、はあ……っ。つい興奮しすぎてやり過ぎた。あぁ、最っ高に気持ち良かったぞい」


恍惚の表情で首領は呟く。だいぶご満悦になったのか、彼は重たい身体をゆっさゆっさと揺らしながらここまで来ると、私の髪を引っ張って顔を上げさせた。


「あぁ、良い表情だぁ。生気を失ったその瞳がたまらんの」


「お願い……何でも、するから……命だけは、助けて……」


「命乞いか! いいのぉ、いいのぉ。あのクソ生意気な強気のじゃじゃ馬を調教してやったぞい。実に愉快、愉快」


首領は愉快そうにガハハッと豪快に笑う。その後で、私の腹部に拳を叩き込んだ。一発ではなく、何発も、何発も。まるでサンドバック状態。脇腹や鳩尾付近など、身体のあらゆる所を殴られていく。コルセットをしていない分その衝撃と痛みは凄まじく、終いには吐血してしまった。


「はあ、はあ……っ。これは、お前に殺された仲間の分……ふうっ」


首領は殴った右手をヒラヒラさせた後で、顔全体に流れ落ちる汗を拭う。その後で私の首を絞め始めた。


「残念だが、お前はここで死ぬ。最っ高の屈辱と苦痛をその身に受けながらな。それが、ワシら常闇のドラゴンに歯向かった人間の末路よ」


「がっ……はっ」


「死んでから後悔するが良い」


首が解放され、突然大量に入ってきた空気に肺が驚き、対応しきれず激しく咳き込む。そして、首領は何か指示を出すと、そのまま椅子に戻っていった。彼が座るのと同時に、私を吊るしていたロープが外れる。立つ力と気力の残っていない私は、なす術もなく床に倒れ込んだ。そんな私をジェスが見下ろす。


「首領、俺はこいつに左目の借りがあります。だから、こいつに一番の屈辱を与えてぇ」


「ほう。それで?」


「一番大切にしてるであろう、こいつの処女を最っ低な方法で奪いてぇ。ダメっすか?」


「ほほう、処女をな」


首領は無い顎を撫でながら「ふむふむ」と考え込む。そして、虫唾が走るような笑みを浮かべた。


「許可しよう。そいつが凌辱される様を眺めるのも面白そうだぁ」


「ありがとうございます!」


ジェスの表情が一度明るくなる。その後で、怖気が走るような笑みを私に向けた。


「これでやっと借りが返せるな、アンジェリーク」


「や……めて……っ」


私の懇願も虚しく、ジェスは男二人に指示を出して私を押さえつける。あまりの恐怖にパニックになった私は、痛む身体もそのままに必死に抵抗した。


「クソ、大人しくしろ!」


「こいつっ」


「何やってんだ、テメェら。こういう時は、指の一本や二本折れば大人しくなるっつの」


言った通り、ジェスが私の右手の人差し指を反対に逸らしてボキリと折る。全身痛いはずなのに、その激痛は鮮明に痛覚を刺激して、私は「ぎゃあっ」と悲鳴をあげた。


「良い顔すんじゃねーか。もう一回見せろよ」


そう笑った後、次は中指を折られた。鈍い音が鼓膜に張り付き、私から対抗する気力を奪っていく。ジェスが言った通り大人しくなった私を見て、男達はニヤニヤ笑いながら私の股を広げた。


「俺が終わったからって気ぃ失うなよ。お前はこの後、ここにいる全員に輪姦されるんだ。一日じゃあ足んねーなぁ!」


周囲から歓声と笑い声が起こる。私はそれをどこか遠くに聞いていた。


「その後で、生きたまま左目くり抜いて、両手足切断して。そんでそこら辺の糞尿と一緒に捨ててやる。最っ高の最後だろ。えぇ? 笑えよ」


「………っ………」


「あ? なんだって?」


ジェスが私に耳を近付ける。私は最後の力を振り絞って言葉を紡いだ。


「くたばれ……クソ、野郎……っ」


「なっ」


ジェスの頭にカッと血が上ったのがわかった。彼は近くにいた男から弓矢を奪うと、それを私の怪我をしている左太ももに突き刺した。


「っあぁ……!」


「テメェ、マジムカつく……っ。せっかくこの俺様が殺すの我慢してやってんのによ!」


グリグリと刺さった弓矢を押される。そして苦痛に歪む私の顔を、ジェスの左手が動かないように押さえつけた。


「やっぱ、その左目は先に潰す。俺が味わった痛みと屈辱を思い知れぇ!」


ジェスが私の左目めがけて弓矢を振り下ろす。そして、もう少しで突き刺さるという、まさにその時。突然地面が激しく揺れた。


「な、なんだ!?」


「地震か!?」


ジェスだけでなく、ここにいる全員がバランスを崩すほどの大きな揺れ。そう、滅多に地震が起きないはずのこの国で起きた、大きな地震。


それは、私にとって反撃の狼煙だった。


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