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ただのモブキャラだった私が、自作小説の完結を目指していたら、気付けば極悪令嬢と呼ばれるようになっていました  作者: 渡辺純々
第四章 植物博士と極悪令嬢

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相当危険な内緒話(ロ)

「それにしても、いったいどこのどいつが彼女達の命を狙ってるんでしょう」


「うーん、ヒントはいっぱいあったと思うんだけど……」


 ジルの問いにアンジェリーク様も思案にふける。


 そう、ヒントはいっぱいあったはず。思い出せ、彼女達にまつわるありとあらゆる話題を。


 その時、アンジェリーク様のメイド服を見てとある話を思い出した。


「ヘルツィーオ……」


「え?」


「もしかして、彼女達の命を狙っているのは、ヘルツィーオ軍なのではないですか?」


 グエンの目が大きく見開かれた。そして、彼の首が重力に逆らうことなく上下運動を行う。どうやら当たりのようだった。


「ヘルツィーオ軍だと!? どうしてわかった?」


「メイド達が話していたんです。イネスに水を持って行った時、エマの荷物からヘルツィーオ軍のエンブレムが見えたと。実際にヘルツィーオに行ってエンブレムを見たことのあるメイドの話ですから、あながち間違いではないかと」


「なるほど。奴らはヘルツィーオの軍人だったというわけか」


 ギャレット様の眉間にシワが寄る。エマは魔法が使えていたから、その時点でその可能性にも気付くべきだった。ただ、彼女達があまりにも軍人らしくなかったため見落とした。きっと、彼は今私と同じことを考えているのだろう。


「私としたことが。常闇のドラゴンに賞金を懸けられる相手という時点で、ロイヤー子爵を疑うべきでした」


「あの姉妹が、ヘルツィーオの軍人だったなんてね。そんな風には見えなかったのに」


「ジルやルイーズですら私兵なのだから、べつにおかしくはないだろう」


「そりゃそうですけど……」


「あとは、彼女達が子爵に何をやらされたか、ですね」


 私が核心を突くと、みな再び神妙な顔をして黙り込んだ。すると、見かねたグエンがヒントを出す。


「天然ドリルがカルツィオーネに来てから、何か変わったことはなかったか?」


「あんたね、私はアンジェリークって言うの。その呼び方やめなさい」


 グエンは返事を返さない。質問に対する答えにしか返事を返さない気だ。アンジェリーク様もそう感じたのか、ため息をついて諦めた。


「アンジェリーク様がカルツィオーネに来てから変わったこと……」


「私達孤児と出会った」


 ルイーズの答えに、グエンは「そうか」と反応を返す。明らかに違うのだろうが、彼女はまだ子どもなので優しくしたのだろう。そのままの流れでジルが口を開く。


「ロイヤー子爵んとこのヤニスに襲われた」


「それも関係している」


「殿下達がカルツィオーネのクレマン様を訪問した」


「それも関係している」


「カルツィオーネに来てから色んなことがありすぎて、どれがどれだかわかんないんだけど」


「確かに、あなた様は世界一のトラブルメーカーですからね」


「嫌味言われたっ」


「言いたくもなります。ヤニスに襲われた件といい、私のために殿下達を敵に回すような発言をしたり、山火事の中ジルやルイーズを助けに行ったり。それに盗賊にまで命を狙われるなど、こんな貴族の令嬢聞いたことありません」


「嫌味が説教に……」


 まだ何か言いたそうなアンジェリーク様の言葉を遮り、グエンが「それ」と口を挟む。


「それとは……盗賊の件ですか?」


「違う」


「じゃあ……山火事?」


 アンジェリーク様の答えにグエンが頷いた。


「彼女達は山火事に関係してるの?」


「ああ。お前達は、あの山火事はどうして起こったのか知ってるか?」


「ええ。一応仮説は立てています」


「自然発生的なものじゃなく、誰かが放火した可能性が高いって……」


 すべてを言い終わる前にグエンが頷く。そして、アンジェリーク様と私とギャレット様はハッと息を呑んだ。


「え……ウソでしょ?」


「なるほど、そういうことでしたか。それは相当危険ですね」


「これは、彼女達に直接話を聞く必要がありそうだ」


 ギャレット様の凍てついた瞳が森の遥か先を睨みつける。その方角には、ダルクール家のお屋敷があった。


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