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ただのモブキャラだった私が、自作小説の完結を目指していたら、気付けば極悪令嬢と呼ばれるようになっていました  作者: 渡辺純々
第四章 植物博士と極悪令嬢

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責任取ってよね

「あーもうっ!」


 私は天井に向かって叫んだ。その後で大きな大きなため息をついて、その場にしゃがみ込む。もちろん、顔を膝に埋めて。


「アンジェリーク様、大丈夫ですか?」


 ルイーズの心配そうな声。私はそれに首を横に振って答えた。


「……ロゼッタに頬っぺた叩かれて、もう立ち直れそうにない」


「えぇ!?」


「冗談はその辺にしてください」


 ロゼッタの冷めた声が落ちる。質問に対する答えはどうなのかと、先を促されているみたいだ。わかってるわよ、この鬼畜教官め。


「ルイーズ」


「は、はいっ」


「……忠誠を誓うのはもうちょっと待って。ロゼッタが言ってたみたいに、もう一度ゆっくり命の重さについて考えてほしい」


「はい……」


「それでもなお私に忠誠を誓いたいのなら……」


「誓いたいのなら?」


 私は一度、唇を引き結んだ。そして顔を上げる。


「その時は私も覚悟を決める。あなた達の命を預かる覚悟を。本当は嫌だけど、すっごく嫌だけど。こんなとこで立ち止まってるわけにはいかないから」


「アンジェリーク様……わかりました。考え直していただき、ありがとうございます」


「それからロゼッタ。ちょっとこっち来て」


「はい」


 ロゼッタが木箱から下りた。そしてそのまま私の目の前で立ち止まる。そんな彼女を私は遠慮なくキッときつく睨んだ。


「ロゼッタのバーカ、アーホ、鬼、悪魔、鬼畜、サディスト、変態、嫌味たらし、暗殺者、人でなし、嫉妬しい、恥ずかしがり屋、寝顔だけは天使ぃー……いだだだだーっ」


 急に片方の縦ロールに痛みが走る。冷めた目をしたロゼッタが、私の縦ロールの髪を思いっきり引っ張っていた。


「当てつけで罵詈雑言ですか。いい度胸してますね。なんなら、もう一発頬を叩きましょうか」


「ごめんなさい、ごめんなさいぃーっ」


 ひーん、と泣きながら謝る。すると、ロゼッタはため息をつきながら髪を解放してくれた。


「まったく。人が真剣に心配しているというのに、あなた様はまたそうやって……」


 そう文句を言うロゼッタの言葉が途切れる。何故なら、私が彼女に抱きついたから。


「……あんたが言ったんだから、ちゃんと責任取ってよね」


「責任?」


「忠誠を受け入れて、それでもし心を犠牲にしないといけない時がきた場合は、あなたがそばにいて私を慰めて。これ、主人命令」


 拗ねた声でそう言う。すると、ロゼッタはその小さな腕で私を優しく抱き返してくれた。


「もちろんです。命令などなくても、私はどんな時でもあなた様のおそばにいます」


「絶対よ」


「はい」


 ロゼッタの腕に力が込められる。それだけで、未来のことなのに不思議と安心できてしまう。彼女なら、きっとそうしてくれるだろうと。


「はあ……長い片付けになっちゃったわね。男性陣はもう終わったかな」


「私、見てきますね」


 そう言って、ルイーズが部屋のドアを開ける。すると、目の前に四人の男性の姿があった。彼らは一斉に『あっ』と呟く。その後で慌てたのはノアだった。


「ちちち、違うんだ! わざと盗み聞きしてたわけじゃなくて、これは偶然というか、仕方なくというか……っ」


「このバカ!」


 ラインハルト殿下がたしなめようとしたが、もう遅い。


 沸々と湧き上がる怒りと恥ずかしさを感じているのは、たぶんロゼッタも一緒のはず。私は、とびきり冷たい声でこう言った。


「ロゼッタ、この館ごと燃やし尽くして」


「承知致しました」


『やめろ!』


 男性陣の悲鳴にも似た叫び声が上がったのは言うまでもない。


ブクマ300件突破しましたー!


時々心が折れそうになることもありますが、地道にコツコツと続けてきて良かったです。

正直毎日更新の縛りはキツいですが、それでもこの子達の物語を書いているのは楽しいので、これからもなんとか頑張っていこうと思います。


ダラダラとだるいかな? この話面白くないかな? と悩みながら書いていますが、これからも読んでいただけたら幸いです。

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