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ただのモブキャラだった私が、自作小説の完結を目指していたら、気付けば極悪令嬢と呼ばれるようになっていました  作者: 渡辺純々
第四章 植物博士と極悪令嬢

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ブラジャー

 部屋に戻ってすぐ、私はベッドにダイブした。そして枕を頭から被って、今にも火が出そうな顔を隠す。


「あー、やっちゃった! 私のバカーっ」


 猛烈な恥ずかしさが襲ってきて、思わず足をバタつかせる。すると、ロゼッタが冷静にそれをたしなめた。


「お行儀が悪いです。はしたない。というか、あんなに大勢の殿方がいる前で、上半身を曝け出す行為自体、呆れて物が言えませんが」


「わかってる、わかってるわよ。でも、あの時は本当に頭に血が上ってて、冷静な判断ができなかったの! 呆れるぐらいなら止めてよっ」


「無理をおっしゃらないでください。あそこまで言われて憤るであろうことまでは容易に想像できましたが。まさかその流れで服を脱ぎ捨てるという破廉恥な行為に及ぶとは、この私ですら予測できませんよ」


「破廉恥な行為って言うのやめて! 余計恥ずかしくなるっ」


 ひーっ、と今度は枕に顔を埋める。ロゼッタの深いため息が後頭部に落ちた。


 服を脱ぐばかりか、裸同然の格好で説教かますなんて。これが前世なら、公然わいせつ罪で捕まるよ。


「まあ、せめてもの救いは、胸だけは隠せていたというところでしょうか。ブラジャー? でしたっけ。付けておいて正解でしたね」


「ほんとそう。私のワガママ聞いてくれて、いつかちゃんとケイトさんにお礼言わなきゃね」






   -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・






 コルセットは動きにくいから、訓練の時は付けたくない。でも、何も無しだと胸が落ち着かなくて動きにくい。


 そう散々ロゼッタに文句を言っていたら、ミネさん達に話がいって、それじゃあ針子であるケイトさんに相談してみようということになった。


「簡単に言うと、このコルセットの胸の部分だけを切り離してほしいんですけど」


「胸の部分だけをねぇ」


 こんな感じで、と前世のブラジャーを思い出しながら描いた絵を見せる。すると、ケイトさんはそばに置いてあるコルセットと私の絵を交互に見比べた。


 絵心無しの私の絵でちゃんと伝わるだろうか。そうドキドキしながら答えを待つ。すると、ケイトさんは一度頷くとニヤッと笑った。


「面白そうじゃないですか。カルツィオーネいちの針子としては腕がなりますよ」


「じゃあ、作ってくれるんですか?」


「当たり前じゃないですか。なんたってアンジェリーク様のお願いなんだから。断るわけないでしょ」


 そう言ってウインクしてみせる。その強気な顔が頼もしい。


「ありがとうございます! やった、これで窮屈なコルセットから解放されるっ」


「言っておきますが。これはあくまで訓練の時だけですからね。お客様が来る時や、社交会ではきちんとコルセットを嵌めてくださいよ」


「わかってるわよ。そうだ、せっかくだからロゼッタも作ってもらったら? 何も身に付けないより絶対楽だから」


「結構です。私は今のままで十分ですから」


「そんなこと言わずにさあ、作ってもらおうよ。私一人だけだったら心細いじゃん。これ、主人命令」


「はあ?」


 ロゼッタが不機嫌そうに眉根を寄せる。そんな私達を見て、ケイトさんがクスクス笑った。


「作る側としては、色んな人の意見を聞いて反映させたいから、ロゼッタさんにも是非付けてもらって感想を聞きたいんだけどね」


「それは……」


「あんた、街を救ってくれたお礼にって、ケイトさんにタダ同然で剣士用の制服作ってもらってるんでしょ? しかも、私とお揃いで。そんなあんたがケイトさんのお願い断るわけ? 人としてどうなの?」


「言い方に悪意を感じます。というか、悪意しか感じません」


「だって、ほんとのことだもん」


 私がそう言うと、ロゼッタは黙ってしまった。私が言っていることは正論だと思っているのかもしれない。


 少しして、ロゼッタは観念したという風に、不機嫌なため息をついた。


「わかりました。命令なら仕方ありません。ですが、不快に思ったら即座に付けるのをやめても良いという許可をください」


「もちろん。そこまで鬼じゃないわよ」


 ということで、ロゼッタも下着を付けることになった。ついでに、ドロワーズという半ズボンみたいな下着も動きにくかったので、ショーツの絵を描いてこれもお願いした。


 それが、シャルクから帰ってきてすぐのこと。すると、三日後には試作品が出来上がっていた。そして今はそれを付けて、より良い物になるよう何回か試作を重ねている。


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