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ただのモブキャラだった私が、自作小説の完結を目指していたら、気付けば極悪令嬢と呼ばれるようになっていました  作者: 渡辺純々
第四章 植物博士と極悪令嬢

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絶賛城門修復中

 街へ下りて、北の森方面の城門を目指す。すると、そこは今絶賛修復工事中だった。付近では、大工の棟梁であるヘルマンさんが、大きな声を出して周辺の従業員に指示を飛ばしている。その彼が、私達を見つけて片手を挙げた。


「お、アンジェリーク様じゃないか。みんなしてどこへ行くんだい?」


「北の森の入り口付近まで。ジルとルイーズがミネさん達に薬草を採ってきてほしいとお願いされたみたいなので、それで一緒に」


「おー、そうか。あの辺なら今魔物が少ないから、行っても大丈夫だろう。まあ、ロゼッタさんも一緒なら怖いもんなしだろうけどな」


「はい! 師匠はお強いので心配いりません」


 ルイーズが胸を張って答える。ヘルマンさんもルイーズがロゼッタに師事していることは知っているので、「そうかそうか」と笑いながら頷いていた。


「それで。ギャレット様まで一緒に薬草採りですか?」


「いや、北の森付近で不審者を見かけたと聞いたのでな。今から確認しに行くところだ」


「不審者? それなら街の人間も何人か目にしたって言ってましたよ。フード被った挙動不審な奴が、北の森周辺を彷徨いてるって」


「やはりそうか。もしかしたら、そいつが殿下達に危害を加えようとしているのかもしれないからな。早めに対処しておく必要がある」


「さすが近衛騎士様ですね。これなら不審者が何人来ても心配なさそうだ」


「はい! ギャレット様はお強いので心配いりません」


 今度はジルが目を輝かせてそう答える。すると、ヘルマンさんは「そうかそうか」とカカカッと笑った。


「城門どうですか? 修復まだまだかかりそうですか?」


「んー、そうだな。まだまだ終わりそうにねぇな。破壊された規模がでかいし、なにより人手がまったく足りねぇ。他にも火事で家失った奴らの家も建ててやりたいのに、これじゃあいつになるかわかったもんじゃねーよ。まったく、魔物の奴ド派手に壊してくれやがって」


 ヘルマンさんが悪態をつく。ロゼッタはというと、静かにヘルマンから視線を逸らしていた。


「ほんと最悪ですよね、その魔物。きっと性格が悪かったんですよ」


「魔物も生きるのに必死で、手加減できなかったのでしょう。これは致し方ない結果かと」


 私の目とロゼッタの目が交錯する。まるで見えない火花が飛んでるみたいだ。しかし、ヘルマンさんはそんな私達に気付かない。


「しかも、もうすぐ祭りだからその準備もしないといけないし。今が一番大変だよ」


「お祭り? 近々お祭りがあるんですか?」


「そっか、アンジェリーク様は初めてか。いや、もうちょっとしたらここで収穫祭やるんだよ。この辺じゃうちが一番遅いんだけどね」


「収穫祭!」


「今みんな必死で準備してるよ。楽しみに待っててくださいな」


 そう言って、ヘルマンさんは白い歯を見せて笑った。


 なるほど、お祭りか。これ以上ないってくらいデートの定番じゃない。これにエミリアとレインハルトを参加させて、いい雰囲気作ってやる。


 思わず拳に力を込める。そんな私を見て、ジルとルイーズが不思議そうに首を傾げていた。


「とりあえず、城門が完成するまでは自警団員達でこの辺見回りしてますんで。何かあればすぐ教えてください」


「わかりました。お仕事頑張ってください」


「おう! ありがとう」


 現場へと戻るヘルマンさんを見送り、城門の外へ出る。祭りの準備と聞いた後だからか、畑仕事に勤しむ人達まで、なんだか忙しなさそうに見えた。


「ジルとルイーズは、お祭りのこと知ってたの?」


「はい。でもお金が無かったので、毎年みんなで見て回るだけだったんですけど」


「今年は、私とエミリアお姉ちゃんのお給料がありますし、ジルもお手伝いで臨時収入が入ったから、孤児院のみんなに三人で奢ろうって話してるんですよ」


「三人で……なんて良い子達なのっ」


 思わず二人をギュッと抱きしめる。ジルはちょっと恥ずかしそうだったけど、ルイーズは「えへへー」と嬉しそうに笑っていた。


「私も奢ってあげたいけど……」


「やめた方が良いでしょうね。なんで孤児院の子達だけ、と他の者が恨めしがるだけでしょうし」


「こういうのは、平等にやらないと後々面倒だからな。いざこざに発展するくらいならやらない方がいい」


 ロゼッタとギャレット様が冷静に否定する。たぶん、二人もその顔つきから奢ってあげたいんだと思う。特に懐いてくれてるジルやルイーズなんかには。それでもそう否定するということは、それが一番争い事にならない解決策ということなんだろう。そう自分の中で結論付けたので、あえて反論はしなかった。


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