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ただのモブキャラだった私が、自作小説の完結を目指していたら、気付けば極悪令嬢と呼ばれるようになっていました  作者: 渡辺純々
第四章 植物博士と極悪令嬢

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エミリアの護衛

 場が落ち着いたところで、マルセル様が話を元に戻す。


「殿下方の領地視察の件についてはまた今度じっくり話すとして。盗賊団の件については話し合いを重ね、これから慎重に動いていくということでよろしいでしょうか」


『異議なし』


「それからエミリア」


「は、はいっ」


「君の回復魔法は、その希少さとレインハルト殿下を助けたということで、もう貴族社会どころか国中に認知が広まっている。当然、これから君を利用しようと企む輩も動き出すだろう。だから気を付けろ。常闇のドラゴンのように、悪意ある奴は手段を選ばない」


「はい、心得ておきます」


「本来なら、国で保護するべきなんだけど」


「レインハルト殿下のお気持ちは嬉しいのですが、私はなるべく孤児院のあるカルツィオーネを離れたくはないのです。せめて、学問所へ行くまではこのままでお願いします」


「君ならそう言うと思ってたよ。だから、国王陛下には保護を待ってもらうよう伝えてある」


「本当ですか?」


「ああ。ただし、君はアンジェリークのように無茶をする性格らしいから。ここにいる間は俺が君を守ろう」


『なっ』


 レインハルト殿下のお言葉に、この場にいた全員が言葉を失った。


「いけません! 私はただの平民です。そんな人間が殿下に守っていただくなどあってはならないことです」


「そうです、殿下。確かに彼女は回復魔法の使い手ではありますが、わざわざ殿下が護衛に回るほどの人物ではございません。もう一度お考え直しください」


「何度考えたって俺の答えは同じだよ。彼女は俺の命の恩人だ。この恩を返すのは今しかない」


「しかし……っ。ラインハルト殿下もお止めください」


 ギャレット様がそう訴える。しかし、ラインハルト殿下は首を横に振った。


「レインハルトは、こうと決めたら頑固だから止めるのは無理だし、もとより止めるつもりもない。好きなようにやればいい」


「ありがとう。お前ならそう言ってくれると思ってたよ」


「俺も自由に生きてるからな」


 殿下二人が顔を見合わせてフッと笑う。しかし、当のエミリア本人はまだ納得できていないようだった。


「自分の身は自分で守ります。殿下の手を煩わすなんてもっての外です」


「では聞くけど、いったいどうやって守るのかな?」


「それは……っ。アンジェリーク様からも何か言って差し上げてください」


「え? いいんじゃない、レインハルト殿下に護衛に付いてもらえば」


「えぇっ!?」


 エミリアが一際大きな声で驚く。お父様とマルセル様は、大人として私達を見守るように事の成り行きを傍観していた。


「エミリアは、私の家族同然のロゼッタの命を救ってくれた、いわば命の恩人。だから私は、よりエミリアのためになる方を選ぶわ。国の保護を断った今のあなたはとても危険な状態。ダークウルフの群れに素手で立っているようなものなのよ」


「素手で……」


「だから、レインハルト殿下という抑止力にもなる強力な盾を持っておくのは悪いことじゃないわ。非常に悔しいけれど、あなたを守るのにレインハルト殿下はうってつけなのよ」


「アンジェリーク様まで……」


 これは面白い展開になってきた。まさか、レインハルトからエミリアの護衛を買ってでるなんて。そうなれば、より二人の距離が縮まるのは必死。こんなチャンス逃してなるものか。


 そんな私の邪な心を、ロゼッタも理解したのだろう。彼女もエミリアを追い詰めていく。


「国に保護を求めるか、レインハルト殿下の申し出を受け入れるか。二つに一つです。あなたが決めなさい、エミリア」


「ロゼッタさんまで……」


 みんなの顔を見渡した後、エミリアは一度考え込む。しばらくして、深いため息をついた。


「……わかりました。私ごときがおこがましいとは思いますが、レインハルト殿下に護衛をお願い致します」


「ああ、任せてくれ。君は必ず俺が守る」


 普通に考えれば、国のイケメン王子に、俺が守る、と言われたら嬉しいはずなのに。


 エミリアはというと、申し訳なさそうに会釈を返すだけだった。この子、ほんとに恋愛できるのかな。ちょっと不安になってきた。


 まあ何はともあれ、これで二人の距離が縮まってくれれば。


「これは若さゆえか。羨ましいな、マルセル」


「ええ。本当に」


 お父様とマルセル様はというと、微笑ましそうに二人を見つめていた。


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