幸せの宝物
「見つかった!」
探し続けて3時間、ようやく見つけたものは、
ぼくらの宝物になった。
◆◆◆
お父さんが、僕と妹に一枚の地図をくれた。
「探してごらん。」
それは100年前の地図。
今と家の位置が違うのか、住所がおかしい。
目印になる木も、今はない。
でも・・・
「ここの公園は昔のままだよ。」
印が付いた公園は、近くの公園だった。
僕らは、宝を探しに、まず公園を目指した。
丸い池、小さな丘、遠くに見える海岸線。
もしかして・・・。
地図が示した場所は、自分の家だった。
◆◆◆
家の庭で、目印を見つけ、二人で掘り始める。
「見つかった!」
それは、布の袋に入った2つのビー玉だった。
お父さんが横から話しかけてきた。
「良く見つけたね。えらいぞ。」
「これはお母さんが小さいとき、お父さんがラムネのビンから取ってあげた宝物だよ。」
「もらっていいの?」
「ああ、なくなったお母さんのためにも、二人に持っていてほしい。」
「お父さんとお母さんの思い出だもの。大切にするね。」
◆◆◆
妹が結婚することになった。
僕はビー玉を妹にあげた。
「お兄ちゃん、いいの?」
「うちのお父さんとお母さんみたいに、幸せになってほしいんだ。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
お父さんが横から話しかけてきた。
「おめでとう。そして、幸せになるんだよ。」
「ありがとうお父さん。」
手を振る妹の手には、二つのビー玉が光っていた。