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エピローグ 2



 午前中の間に美也と宗谷は主人格を変えておいた。授業中に頭痛が起こったのだ。そこからは宗谷に主人格を任せた。

 授業が全て終わり、放課後になると部活動体験に行く生徒が大半だった。まだ正式な入部ではなく、仮入部でもないのだとか。

 部活動など関係ない宗谷たちはさっさと家に帰ることにした。校門をくぐると、赤い制服に身を包んだ、見慣れた二人の女生徒がいた。


「お待ちしていました、夏目さん」


「今日は何か約束してたか?」


「お茶にでも行きませんか?奢ります。もちろん貸しとは別なので」


 エレナと亜希に連れられて、学校からほど近い喫茶店に行った。時間的にお客は少なく、三人の他にお客は二組しかいなかった。


「報告したいことがあるので、お茶に誘いました。また護衛の依頼、とかではないのでご安心ください」


「それは良かった。あと、別に奢らなくていいからな?」


 三人はケーキセットを頼んだ。ただし宗谷たちはコーヒーで、エレナと亜希は紅茶。


「夏目さんもすでに知っているかもしれませんが、イギリス以外のローマ及びその他の組織は日本での魔術調査を禁止されました。ただ、立ち退きまでは勧告されませんでした」


「日本にはいられるんだな?」


「はい。……結局、イギリスだけが得する結果になりました」


「俺のせいでな」


 宗谷はコーヒーを飲みながらそう言った。イギリスのナイトが解決したという事実と、美也がルーベニックの魔術刻印を消してしまったことが原因だ。


「でも、夏目さんが何もしなかったらエレナも無事じゃなかったかもしれない!それこそ抗争が起こって、たくさんの人が傷付いたかもしれなかった!夏目さんが悪いわけじゃ……」


「依頼しておいて失礼ですが、夏目さんのせいでローマは不利になりました。それでも、最悪の事態は避けられましたから。そのお礼がしたかった」


「利害が一致していたんだ。それなら手を組むのが一番いい」


 結局、宗谷たちの家族にも被害が出ず、問題も不問とされた。アッキヌフォートは戦闘中に破壊してしまったというように飛鳥は報告してくれた。不可抗力ということでその件も不問とされた。


「そうだ。ファイの容体はどうだ?」


「あの後すぐ入院して、手術しました。傷痕は残るそうですが、命に別状はありません」


「見舞いに行かなくていいのか?」


「……実は昨日、見舞いに行ったまま病院で寝てしまって、今日学校に遅刻しました」


「間抜け」


 宗谷は容赦なく言葉を叩きつけた。だが、裏を返せばそれだけ嬉しかったということだろう。


「……どうせ、間抜けですよ。それで、昌也様から伝言を預かってきました」


「伝言?」


「お爺ちゃんは、日本のローマ正教の魔術師は夏目宗谷個人に協力するって言ってました」


「逆もまた然り、だろ?ホント、喰えない爺さん……」



   



 二人と別れて家に帰ると、ベランダに魔術鳩がいた。魔術鳩は宗谷の手に乗ると、手紙に変わって消えた。

 その手紙を見ると、イギリスの女王から宗谷たちに向けての内容だった。


『親愛なるイギリスのナイトへ。

 この度は事件の解決、ご苦労様でした。

 結果として、日本をイギリスが魔術的に独占できる状態になったのは一重(ひとえ)にあなたのおかげです。

 そんなあなたにお願いがあります。

 もう間もなくしたら、私の孫娘が社会勉強を兼ねて来日します。その時にあなたに護衛をしてほしいのです。

 そして、その時にアッキヌフォートを渡してください。

 では、仕事と孫娘をよろしく。


                             あなたの仕える国の女王より』


 短い文だったが、驚愕する内容が書かれていた。他の全員を誤魔化せても、遠く離れた最強の魔術師は騙せなかった。


(―何でバレてるんだよ……?)


「さあな……」


 宗谷はポケットから白い木を出した。それを机の上に置くと、大きくなり、見たことのある弓になった。

 美也が二つに斬り、その後消えたはずのアッキヌフォートがそこにはあった。




とりあえずここまで。

「陰陽師の当主になってモフモフします(仮)」と少しだけ設定を被せた部分があるので、その説明的なもので載せただけでこれ以降は更新しない予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど。よく設定が練り込まれている。 [一言] モフモフとの接点は楽園とエデン、後は痣かな? となるとあちらで痣が出ている少女は大分特殊な立ち位置にいると。テクスチャ変えられるって言って…
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