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第一話プロローグ
それは俺が持つ、一番古い記憶。
「大丈夫か?」
瓦礫の山の中で、満身創痍の幼い俺に手を差し伸べてくれたその男の人は、泣きそうなほどに青い空を背景に、にっと笑った。
「あ、あなたは?」
子供特有の高い声で尋ねた俺に、その人は少し考えるようにしてから、こう答えた。
「最強の魔法使いってところかな」
その笑顔は、当時の俺にとっては眩しすぎて。
気づいたら、その人に憧れていた。
こんな人になってみたいと、思うようになった。
どんな敵からでも、困っている人を助けられるような、最強の魔法使いに。
そして、それから四年――