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プロローグ
人間はふとした瞬間に究極の選択を迫られる。
お昼ご飯はカレーライスにするかラーメンにするか、
とか、仕事をとるか恋人をとるか、とか。
事の大きさや悩む時間は人それぞれ違うがどんな悩みでもいつかはどちらかを選択しなければいけない。
しかしその選択をする事で得たものは
良くも悪くも大きく、
その犠牲は二度と同じものとして戻ることはない。
そうやって人間は選択し
なにかを犠牲にしながら生きていく。
時に耐えられず逃げ出したくなるけれど、
その事実に立ち向かうのか、
それとも逃げるかどうかさえも選択しなければならない。
そう、人間は選択することからは逃れられないのだ。
――荒みきった心を写したかのような
寒空を見あげて白くため息を吐けば
それに呼応するかのように
冬の代名詞である真っ白な雪が
ヒラリハラリと舞い降りてくる。
いつか、誰かが言っていた
「雪は空が落としたホコリ」という言葉を思い出す。
確かに白い雪が空に反射して灰色に見えるから
そう言うのも分からないこともないなと
その時はその言い分に納得した。
しかし、最期に見た雪はホコリと言うには
酷く美しく輝いてみえた。