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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第二章 新生活の始まり
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0075.早く受け取って下さい

 無事に魔法道まで戻り、次の国へ到着。


「魔国の方ですね。お疲れ様です。今日はどのようなご用件でしょうか?」

「お疲れ様です。会計の方に書類をお届けに上がりました」

「お名前は分かりますか?」


「えっと、メモが付いているので読み上げますね。『赤髪の部長補佐、今すぐに書類を寄越しなさい。私の本気の説教が聞きたいですか?』だそうです。誰か分かりますか?」


「ぶふっ、はい、直ぐに呼び出します。メモをお貸し頂けますか?」

 

 笑いだすのを必死で堪えている。有名な人なのかな?


「――お待たせしました。全速力で参ります、だそうです」

「はい、ありがとうございます」

「メモをお返し致しますね。そこの椅子へ腰かけてお待ち下さい」

 

 うんしょと、よじ登り待っていると、ダダダダッという音が聞こえてくる。


「お待たせ致しました! 申し訳ありません、何卒ご容赦をっ!」

 

 部屋に入って来るなり、がばっと頭を下げ早口でまくし立てる。


「あの、顔を上げて下さい。書類の確認とサインをお願いします」

「えっ?」

 

 やっと顔を上げてくれたので、椅子から飛び降り目の前まで行く。そんな僕をまじまじと見た後、一言。


「……からの?」

「えっ、からの?」

「他にも誰かいるんじゃないの⁉ 怯える俺を楽しそうに見つめる誰かが!」

 

 あちこちに視線を走らせながら怯えている。普段どんな目に遭っているのだろうか?


「僕だけです。確認して頂けたら、また僕がミナモ様にお届けする事になっているので、お願いします」

 

 なかなか受け取って貰えない書類を差し出す。


「君がっ⁉ 天は俺を見捨てていなかった! 直ぐ済むから、ちょっと待ってね。居なくなっちゃ駄目だからねっ」

 

 そう言うと、近くの計算機を使い猛然と計算し始めた。おー、速い。指が踊っております。


「よし。あのさ、悪いんだけど、この書類も関係している物だから一緒に渡して貰えるかな?」


「はい、分かりました。ここに記入をお願いします」

「了解。――出来たよ」

「はい、確かに。ありがとうございました。これで失礼致します」


「あっ、待って待って。今度から君が来るの?」

「多分、その筈です。もう一人、僕と同じ種族の子が来るかもしれませんけど」

「そうなんだ? 助かるよ。これで恐怖の日々が終わる……」

 

 本当に普段、どんな目に遭っているのだろうか?


「あの、差し出がましい事を言うようですが、お仕事をちゃんとしていれば、ミナモ様は非常に優しい方ですよ」

 

 周りにいる土の国の兵士さん達が、うんうんと頷いている。良かった、僕の認識は間違っていない。


「君は知らないんだよ! あの氷の様な微笑も、身を切り刻むような数々の言葉も。怖くて眠れなくなる程に追い詰めて来る容赦の無さを!」

 

 ヒョウキ様とお話している時の状態を言っているのだろうか? あれよりも凄いの? うーん、想像がつかない。まぁ、いいか。帰ろう。


「そうなんですか。僕もそうならないよう気を付けます。では」

「うん、気を付けてね。またね」

 

 手を振って見送ってくれる姿に会釈し、魔法道へ入る。



「お疲れ様です。ニコちゃん」

「お疲れ様です。ミナモ様、こちらの書類を預かって来ました」

「ありがとうございます。少々お待ち下さいね」

 

 待っている間にカハルちゃんに目をやる。よく寝てるみたいだ。寝顔にほっこりしていると声が掛かる。


「お待たせしました。これで問題ありませんので、続きの配達をお願いしますね」

「はい。行ってきます」

「行ってらっしゃい。気を付けて」

 

 よし、サクサク片付けよう。レッツゴー!


赤髪の部長補佐さん、全力疾走です。

可愛らしい白族で喜ばせてからの、魔国のキレた官吏もしくはミナモが出てくると思っています。

ミナモは理由なしに叱ったりしません。本当の本当に優しい人ですよ~。


次話は、配達を終えての反省会です。


お読み頂きありがとうございました。

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