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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第二章 新生活の始まり
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0072.郵便屋さん

 お菓子を食べ終わったら仕事再開だ。今度は何をするのかな?


「あっ、そうだ! ミナモ様、お釣りです」

「ありがとうございます。ですが、それは明日のおやつ用に持っていて下さい」

「でも……」


「遠慮しないで下さい。おやつは城で用意させて頂きます。実はお二人に作ってあげたいと料理長が張り切っているのです。ですが、明日は外出する予定なので、そのお金を使って下さい」


「えっと、では、ありがたく頂戴します」

「はい、そうして下さい。さぁ、ヒョウキ様、執務にお戻り下さい」

「えーっ、もうちょっと話したいんだけど」

「却下です。彼等にはこれから諸国に書類を届けて貰う予定ですので」

 

 おっ、次の仕事は郵便屋さんですか? ワクワクする僕らの横でヒョウキ様がごねている。あー、そろそろ雷が落ちそう……。


「そんなに制裁がお望みなのですね? 分かりました。今からシン様にご連絡を――」


「待った! 気が変わった。あぁ、シゴトガシタクテショウガナイ。バリバリヤルゾー」

 

 途中から片言になっている。本当にこの人がトップで大丈夫なのだろうか?


「お二人共、すみません。お待たせ致しました。まずは、この腕章をお渡ししますね」

 

 魔国の紋章と複雑な魔法陣が刺繍されている。手を通し、左の上腕部にピンで留める。うん、大きさも問題なさそう。


「良かった、大きさもぴったりですね。その腕章を付けている者は、城の関係者の専用魔法道を使えます。書類を届けに行った国でも、それを付けていれば城内の許しを貰った部分なら自由に移動できます。許しが貰えない場所にいる担当者は門の受付で呼んで貰って下さい。後は、この紙にサインを貰って来て下さいね」

 

 紙を受け取り確認する。どの城の部署の担当者か、届ける書類の枚数、書類の固有番号、サインする欄等がある。これは何だろう?


「ミナモ様、この色や記号が付いている物は何でしょうか?」


「それは、書類の重要度と緊急度を表しています。赤が最重要、黄が重要。二重丸が特急、丸はその次に緊急度が高い物です。今回は初めてですから届けて頂きたい順番に並べてあります」


「今後は、これを目安にお届けする順番を俺達が決めて良いという事でしょうか?」


「はい。何故かといいますと、届けた相手から更に書類を届けて欲しいと依頼されたり、誰々に戻して欲しいなど臨機応変に対処して頂かなければならないのです。右の方に空欄が並んでいますよね? そこに新たに預かった書類や届ける相手などを書き込んで、サインをして貰って下さい。届けた相手にも必ずサインをして貰って下さいね。分からない事は通信の鏡で聞いて下さい。どんなに小さい事でも構いません。一件終わる毎でもいいです。一番まずいのは、『そうだろう』や『まぁ、いいか』です。難しいですが、お願いできますか?」

 

 何ともやりがいがある仕事だ。ヴァンちゃんもやる気に満ちている。


「「やります」」


「ありがとうございます。非常に助かります。この仕事を主にやってくれていた方が引退してしまいまして。他の官吏たちが何とか協力して回していたのですが、そろそろ限界だったのです。今回は初めてですので、そこに書いてある分だけを届けて頂ければ終了です。では、鞄を支給しますので、そこに書類と筆記用具を入れて下さいね。通信の鏡は持っていますか?」

 

 頷いて鏡をミナモ様に見せる。にっこりと笑って頷き、書類を渡してくれる。


「右上に書類の固有番号が書いてあります。それと、先程説明した緊急度などに応じて付箋が貼ってあります。――筆記用具もお渡ししますね。他に質問などはありますか?」


「取り敢えず、やりながら都度お聞きしてもいいですか?」


「勿論です。本当は最初だけでも一緒に行ってあげたかったのですが、仕事が立て込んでしまいまして……。申し訳ありません」


「大丈夫ですよ。もう遠慮なく、どんどん聞いちゃいますから。ねっ、ヴァンちゃん」


「うむ。いっぱいこなして早く慣れる」


「ふふっ、二人共ありがとうございます。では、魔法道へご案内しますね。――ヒョウキ様、さぼらないで下さいね」

 

 さくっと釘を刺し、顔を引き攣らせたヒョウキ様を冷たく一瞥した後、ミナモ様が笑顔で僕達を促す。はい、大人しく付いて行きます! 逆らうなんて滅相もないっ。……ブルブル……怖ろしや。


お次の仕事は書類配達です。

魔国が全ての国を束ねているので、書類がどっさりです。

片言王様は、仕事に関しては定評があります。ミナモがバンバン尻を叩いているお蔭ですかね。


次話は、魔法道を使って別の国にひとっとびです。


お読み頂きありがとうございました。

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