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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第二章 新生活の始まり
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0071.敵に回してはいけません

「ただいま戻りましたー」

「おぅ、お帰り。いいもん買えたか?」

「はい、面白い飲み物が買えました」

「面白い? おっ、ラムネじゃん。久し振りに見たなぁ」

「私も久し振りに見ました。懐かしいですね」

「一口くれ」

 

 ヒョウキ様に渡そうとして、ヴァンちゃんが止まる。


「毒見……」

「んー? 平気だぞ。毒の耐性強いからな。それに、減っているって事は既に飲んだって事だろう。毒見されてるじゃん」

 

 確かに。でも、僕達が口を付けたものでいいのだろうか? ヴァンちゃんも同じ事を考えているのか止まったままだ。


「ヒョウキ様が我が侭で、すみません。ヴァンちゃんは既に口を付けてしまっているのを気にしてくれているのですよね? 大丈夫です。そんなに繊細に出来ていませんから。嫌でなければ一口だけ分けて下さいませんか?」


「おい、ミナモ、俺を何だと思っているんだ。俺だってなぁ、誰でもいい訳じゃないんだぞ。好みってものが――おっ、くれんのか? ありがとな」

 

 ヴァンちゃんが、そっと瓶を差し出すと、ヒョウキ様が破顔して受け取る。


「うん、美味いな。ミナモも飲むか?」

「では、一口だけ。――ふふっ、シュワシュワですね。ごちそうさまです、ヴァンちゃん」

 

 ミナモ様が笑顔で瓶を返すと、自分と同じ感想で嬉しかったのか、ヴァンちゃんもニコニコしている。


「皆様、お茶をお淹れしましたので、お召し上がり下さい。私は、これで失礼致します」


「おぅ、メイド長、悪かったな」

 

 いつの間にかテーブルには買って来たお菓子が並べられ、お茶まで用意されている。メイド長さんって凄いと見ていると、にっこりと微笑まれる。おぉ、笑顔の威力が半端ないです。眩しいっ。照れている僕の頭をそっと撫でると、ヒョウキ様達に礼をして去って行く。


「さて、食べるか」

 

 ヒョウキ様がカハルちゃんを抱っこしながら椅子に座る。早く一緒におやつが食べられるようになるといいなぁ。


「――もぐもぐもぐ。ヴァンちゃん、このサブレ美味しいねぇ」

「うむ。大当たりだった。ニコ、ブルーベリーのラムネ飲んでもいいか?」

「もちろん。はい、どうぞ」

「――うまい」

 

 視線に気付き顔を上げると、カハルちゃんが僕を凝視している。食べたいのかな?


「どうした、ニコ? おっ、カハルが起きてるな。どうした? ニコに触りたいのか?」

 

 カハルちゃんは反応を示す前に、また目を閉じてしまった。

 

 僕に触りたいと思ってくれたのなら、僕がカハルちゃんを触るでもいいよね。椅子から降りてカハルちゃんの小さい手をナデナデする。はぁ、可愛いなぁと思っていると、眠ったままのカハルちゃんが僕の手を握る。思わず笑み崩れると、ヒョウキ様が噴き出す。


「ぶふぉっ、ニコ、顔がグズグズだぞ」

「ひ、酷いです! そんな言い方をしなくても――」

 

 僕の言葉の途中で、ミナモ様が席を立つと、ヒョウキ様の片頬を思いっきり引っ張る。


「そんな酷い事を言うのは、この口ですか?」

「いででででっ、いだい、いだい! はなふぇっ」

 

 ヒョウキ様の抗議をまるっと無視して、ミナモ様が冷たい笑顔で更に引っ張る。


「――っ、いっ」

 

 大声で叫びそうになったヒョウキ様が、咄嗟に口を手で覆い言葉を呑み込む。


「カハルさんを起こさないようにという配慮は出来るようですね」

 

 手を放すとミナモ様が申し訳なさそうに僕を見る。


「ニコちゃん、すみません。嫌な思いをさせてしまいましたね。今、お仕置きをしておきましたが、足りない様でしたら――」


「い、いえ、もう十分です。お気遣いありがとうございます」


「そうですか? ニコちゃんは優しいですね。何か嫌な事があったら言って下さいね。直ぐに対応しますから。ヴァンちゃんもですよ?」

 

 僕達は高速でコクコク頷く。ミナモ様は絶対に敵に回してはいけないと、真っ赤になったヒョウキ様の頬を見ながら頭に刻み込んだ。


おしおきは容赦なくです。足りないと言われたら、何をするつもりだったのか……。

やはり、ミナモさんが最強ですね。思わず敬称をつけてしまう恐ろしさ……。


次話は、新しいお仕事を頼まれます。


お読み頂きありがとうございました。

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