0069.売店に到着
「メイド長、すみません。よろしくお願いしますね」
「はい、畏まりました。二人共、行きましょうか」
「「はい」」
メイド長さんの後をトコトコと付いて行く。人の案内に慣れているからか、僕達に目を配りつつ無理のない速さで歩いてくれる。
「この城は沢山の仕掛けがございます。命に関わりますので、慣れるまでは必ず誰かに案内を頼んで下さい」
思わず周りを見回す僕達に、メイド長さんが淡く微笑む。
「この辺りは問題ございません。安心して下さい。ここからは階段が続きますので足元に御注意下さい」
下に降りていくようだ。段差が大きいので、ぴょんぴょん跳ねるように降りていると、メイド長さんがハラハラしている。
「私が抱き上げましょうか? 足を踏み外したら大変です」
「大丈夫ですよ。こいう状況には慣れていますから。それに、僕達すごく重いです。武器をいっぱい仕込んでいるので」
「えっ? 武器ですか?」
「はい、僕達は護衛任務に就くことが多いので、常に大量の武器を所持しています。なので、女性に持てる重さじゃないです」
踊り場に着いた所で、メイド長さんが試しに持ち上げたいと言うので、両手を広げる。
「失礼致します。――っ⁉ これは……予想以上に重いですね。確かに私の力では、お二人を運ぶ事は出来ませんね。それにしても、その状態で飛んだり跳ねたり出来るなんて、お二人は凄いのですね」
えへへ、褒められた。僕とヴァンちゃんは思わずニンマリする。その後も、メイド長さんとお話しながら一番下まで降りた。ここには随分とお城の人達が居る。
「メイド長、その可愛い子達はどうしたんですか?」
「臨時で雇われている白族の子達です。来たばかりですから、色々と手助けしてあげて下さい」
出会う人が皆、興味津々で僕達を見て同じ質問をし、メイド長さんが毎回、丁寧に答えを返す。どの人も快く頷いてくれる此処なら安心して働けそうだ。
無事に辿り着いた売店は、こじんまりとしているけれど品数が多い。お客さんはおらず、女性が一人で忙しそうに品出しをしている。
僕達に気付いた女性が、はきはきとした口調と笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい。メイド長、可愛い子達とお買い物?」
「はい。この子達のおやつを買いに来ました」
「あら、いいわねぇ。二人共、好きなお菓子は何かしら?」
「サブレ好き」
ヴァンちゃんが動物の形の小さなサブレがいっぱい入った袋を指さす。
「これにする? 大きいのが二枚入っているのもあるわよ?」
ほら、これと女性が見せてくれると、ヴァンちゃんの視線がウロウロする。
「うーん……やっぱり、動物の形のにする」
「はい、これね。君はどれにするの?」
「僕はマシュマロが欲しいです」
「マシュマロは三種類あるのよ。白いのとカラフルなのとチョコレートが入ったやつ。どれがいい?」
「カラフルなのを下さい」
「はい、これね。他に欲しい物はある?」
うーん、ヒョウキ様とミナモ様は何が好きかな? 詳しそうな人に聞いてみよう。
見た目は小さな子ですが、獣族は身体能力がずば抜けているので、重いのもへっちゃらです。
ヴァンちゃんはサブレなどサクサクしたものが好きで、
ニコちゃんはモチモチしたものが好きです。
次話は、来店記念に良い物を貰います。
お読み頂きありがとうございました。




