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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第二章 新生活の始まり
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0057.プロローグ

 カハルちゃんと会えなくなって三ヶ月経った頃。


 昼間なのに世界が闇に包まれ、僕を囲む世界がミシミシと軋んだ音を立て始めた。村の皆も不安そうに顔を見合わせている。稲妻が空に青白い線を刻んでいくのを見上げる僕の横に、ヴァンちゃんが来た。


「ニコ……もしかしたら……」

 

 僕はコクリと頷き、ヴァンちゃんが続けられなかった言葉の先を思い浮かべる。『リセット』が始まったのかもしれない。


「カハルちゃん、どうか無事で……」

 

 僕の呟きは雷鳴に掻き消される。拳を握り、空を睨み上げているヴァンちゃんも僕と同じ気持ちなのだろう。


 ミルンさんも通信の鏡を手に持ち、外に出て来た。そこには次々と各地に散っている仲間達から報告が届く。


「空が真っ暗になっています。動物たちが次々に走って……。私も避難します!」

「海が……沖に向かって凄い勢いで潮が引いて……」


「木々が次々と倒れていきます――ち、違うっ、地面が消失していく……。嘘だろ……そんなこと……」


「早く逃げなさい! 呑み込まれない内に!」

 

 ミルンさんが鏡に向かって叫ぶ。この村の付近だけではなく、世界規模で起きているようだ。


 ふと森に目を向けた僕は息を呑んだ。一部分が消えている。僕の様子に気付いたヴァンちゃんの顔が険しさを増した。


「そ、空にヒビが……」

 

 ミルンさんの動揺した声に振り向く。指さす方向を見て息が止まった。卵の殻にヒビを入れた時のように空が割れている。少しずつ小さな欠片を振り撒きながら空が落ちていく。あまりの衝撃に頭が真っ白になった僕の手をヴァンちゃんがぎゅっと握る。


「ニコ、最後まで一緒だ」

「――うん……」

 

 村の皆も家族や近くの人で手を繋ぎ合っている。もう、周囲の崩壊が酷すぎて逃げる事は出来ない。僕は空いた手で浮かんできた涙をぐいっと拭くと、ヴァンちゃんに、ニコリと笑い掛ける。


「ヴァンちゃん、今までありがとう。楽しかったよ」

「あぁ、俺も楽しかった。ニコと同じ時を生きられて良かった。ありがとう」

 

 ヴァンちゃんの目に映る最後の僕が、どうか笑っていますように。そう胸の内で願った時、世界は真っ白な光に包まれた。


第二章の始まりです。

いきなり世界の崩壊からとなっています。


次話は、大事な人を思い出します。


お読み頂きありがとうございました。

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