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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第一章 鏡の魔物
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0044.容赦ない変化

 瞬く間に日々は過ぎて行った。訓練したり、魔法粉を詰めたり、合間に皆で遊んだり。そんな中で僕とヴァンちゃんは、カハルちゃんと特に仲良しになった。

 

 僕とヴァンちゃんは今まで本気の訓練を出来る相手が、村にお互いしかいなかった。だけど、カハルちゃんは、そんな僕らを軽くいなす。嬉しくなった僕らは毎日戦いを挑んだ。時には二人掛かりで向かうが、あっという間に負けてしまう。でも、この訓練のおかげで、新しい武器にすっかり馴染んだ。


 だが、魔力特訓の方は芳しくない。細かい操作が向いていなのか、いつになっても大量供給しか出来ない。一方、ヴァンちゃんは風の盾を出す事と小さな炎を武器から打ち出す事に成功している。流石、ヴァンちゃんだ。

 

 そんな訓練の合間にカハルちゃんとお話をする。好きな食べ物や昔の戦い、本体のある日本の話。飽きることなく、ずっと聞いていられる。短い時間だけれど、カハルちゃんの存在は僕の心を大きく占めた。ヴァンちゃんも同じなのか、口を開けば僕らはカハルちゃんの話ばかりをしている。こんな日々がずっと続いて欲しいと願うが、三週間後に容赦なく変化は訪れた。



 ガタガタッと小さな音がした。振り向くと小さく鏡が振動している。


「ダーク様に報告してくる!」

 

 仲間が一人走り出す。残っている僕達は『祈りの歌』を歌う。


「――どうだ、静まりそうか?」

 

 呼びに行った子を腕に抱えて、ダーク様が移動の魔法で現れる。鏡は最後にガタッと大きく動き、完全に静止した。


「カハル、どうだ?」

「今夜、復活すると思う」

 

 ざわっとなる僕達を見回し、ダーク様が口を開く。


「作戦を確認するぞ。ニコとヴァンは魔物への直接攻撃。命中率の高い三人は攻撃支援と仕掛けの作動。他の者は攻撃支援だ。とにかく奴に沢山の傷を作れ。その方が魔力を搾り取れる。魔物の魔法陣への誘導は俺が行う。魔法陣が起動したら絶対に中に入るなよ。いいな? よし、各自準備始め!」

 

 頷き皆が慌ただしく準備に入る。ダーク様は鏡に闇の力だろうか? 表面に黒い糸をびっしりと張っている。一方、カハルちゃんは魔法陣の前に手を付き、「隠蔽」と囁いている。一瞬、魔法陣が消えた様に見えた。目を擦り見直すと確かにある。見間違いかな? 首を傾げた僕とカハルちゃんの目が合う。


「ニコちゃん、どうかした?」

「魔法陣が一瞬見えなくなった気がして……」

「見間違いじゃないよ。幻影の魔法で魔物には見えなくしたんだよ」

 

 こんな大きい物が見えない⁉ しゃがんでも背伸びしても見える。どういう仕組みなんだろう?


「ニコ、変な動きをしてどうした?」

「ダーク様、魔法陣見えますか?」

「見えるが、どうかしたか? ――あぁ、幻影の魔法か。この魔法もカハルにしか使えない物だ。ちゃんと魔法は掛かっているから安心していいぞ」

 

 ほー、と頷きながら僕も沢山の手裏剣を装備していく。魔法粉も持ったし、後は籠手を装備すれば完了かな。皆も準備出来たみたいだ。


「ダーク様、お食事をお持ちしました」

「すまんな、急がせて。全員集まれ。腹が減っては戦ができぬと言うからな。食べたら、しばらく体を休めろよ。俺は各所に指示を出してくるから、しばらく抜けるぞ。何かあったら通信の鏡で知らせろ」

 

 ヴァンちゃんに鏡を渡すと、優雅なのに物凄く速い歩きでダーク様が部屋を出て行く。


 サンドイッチをもぐもぐと食べながら、カハルちゃんとお話する。


「カハルちゃん、戦いの間中、起きていられますか?」

「うん、大丈夫。夜なら意識をこちらに集中できるから」

「それなら良かったです。それだけが心配で……」

「ありがとう、ニコちゃん。二人共、絶対に勝とうね」

「はいっ」

「ふふぉー」

 

 ヴァンちゃんは口いっぱいにサンドイッチを頬張りながら拳を突き上げた。


短い平和でしたね。

カハルの魔法はお決まりの言葉などはありません。

「隠せ」でも「見えなくな~れ」でも大丈夫! 今回は格好良くです。


次話は、鏡の魔物と再戦です。


お読み頂きありがとうございました。

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