0043.流し込むぞー
またしても血が出て来ます。苦手な方はご注意下さいm(__)m
「その線に瓶の血を流し込んでくれ」
僕達が頷くと、カハルちゃんを抱き上げて魔法陣に向かって行く。
「カハル、ここと、そこと、あそこの三カ所を堰き止めれば、幻影の魔法で完璧に隠せるか?」
「うーん、五カ所欲しいなぁ。でも、リスクが上がるよね。……あぁ、そうだ。三カ所を壊せば他も壊れるようにすればいんだ。ダーク、そこと、あそこも。五角形になるように配置して」
「了解。フェイ、そこの二カ所頼む」
うんしょ、うんしょと流し込む。血の匂いがしないし、色も薄墨で魔力の塊の様に感じる所為か、特に忌避感を感じない。上まで満たさなくてもいいらしいけど、線の深さは約五センチで直径六メートル位の巨大魔法陣なので時間が掛かりそうだ。
「ニコ、俺達も手伝うよ。この瓶の中身を線に流せばいいんだろ?」
「うん、お願いします」
「ヴァン、この中身って何だ?」
「ダーク様の血」
全員、手が止まる。
「えっ、血なの? 大丈夫なの?」
「匂いしないぞ?」
「どうした? 気持ち悪いなら無理に作業しなくていいぞ。まだ時間もあるから、地道に流し込めば終わるしな。匂いに関しては鏡の魔物にばれないように、フォレストに処理して貰った。それと、威力が上がるように色々と加工してある」
「ダーク様、そこじゃないです。体は大丈夫なんですか?」
「俺達、心配なんです」
ダーク様が軽く目を見開き、フッと笑う。
「大丈夫だ。長年少しずつ採血して保管しておいた物だからな。本当にお前達は可愛いな」
全員の頭をわしゃわしゃと撫でて、ダーク様がとても柔らかく笑う。カハルちゃんも、その姿を見てニコニコしている。
「ダーク、良かったね」
「ああ。血だなんて気持ち悪いだろうから、最悪自分で全部流し込もうと思っていたんだがな」
全員で力を合わせ、どんどん流し込む。大量にあった瓶がほとんど空になる頃に、ようやく行き渡った。
「よし、終わったな。だが、寝る場所がないな。どうするか?」
「十分スペースは有りますよ?」
「ニコはいいのか? 血の魔法陣の横で寝るんだぞ」
「? あっ、そうか、触っちゃったら大変ですもんね。寝ぼけて転がっても大丈夫な距離にお布団敷かないと」
「いや、そういう意味じゃないんだが……。嫌な奴は隣の部屋で寝てくれるか」
皆、首を横に振っている。うんうん、気を付けて寝れば大丈夫。
「――俺が気にし過ぎか?」
「うーん、白族の子達は肝が据わっているのかも。ねぇ、フェイ?」
「そうですね。主様の正体を知っても普通に話が出来ますし、私にもすぐ懐いてくれました。非常に頼もしい子達の様ですから、ダーク様もお気になさらなくても良いのでは?」
「そうだな。取り敢えず、ご褒美のお菓子でも渡すか……」
白族、逞しいですね。
ダークの方が逆に戸惑っています。
次話は、三週間後の変化です。
お読み頂きありがとうございました。




