0042.血ぃっ⁉
タイトルのように血が出て来ます。苦手な方はご注意下さいm(__)m
「うわぁ、よくあれだけ用意したなぁ……」
「そんなに驚くって事は、高い材料なんですか?」
「値段というか……あれ、全部ダークの血だよ」
「血ぃっ⁉」
あんなに大量に抜いたら死んじゃうんじゃ⁉ 慌ててダーク様の顔を見るけど、いつも通りの色白のカッコイイ顔だ。本当、綺麗な顔だなぁ――って違う違う、見惚れている場合じゃない。具合が悪いのを隠しているだけかもしれない。確認しないと。
「カハルちゃん、ダーク様の所に行きましょう」
「いいけど、ニコちゃん立てる?」
よいしょっと立ち上がり、少し歩いてみる。うん、大丈夫そうだ。頷いてみせ、カハルちゃんの手を引きトコトコ歩いて行く。
「ダーク様、具合悪くないですか?」
「うん? ニコ、急にどうした? 具合悪くないぞ。徹夜の事を気にしているのか? 俺は世界からエネルギーを吸収して生きているから、寝なくても食べなくても問題ないぞ」
「えっ、凄いですね! 超人じゃないですか! 後で詳しく聞かせて――って、今はそれよりもですね、それ、全部ダーク様の血だってカハルちゃんが」
「ああ、それで心配してくれたのか。これは一気に抜いた訳じゃなくて、ちょっとずつ採血して保管しておいたものだ。俺の血は色々と使い道があるからな」
僕がホッと胸を撫で下ろしていると、ダーク様が頭を撫でてくれる。
「この血で何をするんですか?」
いつの間にか横にいたヴァンちゃんが質問する。
「鏡の魔物から、魔力を絞りつくす仕掛けを造る。そして、仕掛けを作動させるのはパチンコ部隊だ。――フェイ、さっき説明した通りにやってくれ」
「はい、畏まりました」
フェイさんは人型のまま、背中にドラゴンの翼を出し上に飛んで行く。
「お前達、もう少し下がれ。そこから、しばらく動くな」
ダーク様が、皆に指示を出しながらスペースを作り、フェイさんに合図を送る。
頷いたフェイさんの床に向けた手の平を中心に、空中に巨大な魔法陣が出現する。灼熱の炎を思わせる光が魔法陣を駆け巡り、カッと白く光輝いた瞬間、フェイさんが魔法陣を床に向けて撃つ。
恐ろしい速さで頭上から迫ってくる魔法陣に思わず首を竦めると、気付いたカハルちゃんが励ますように、キュッと強く手を握ってくれた。
ジュッと床が溶け、赤々とした線が刻まれる。結界で守られているのか熱さを感じない。息を詰めて見守っていると、黒々とした線に変わってゆき、フェイさんが空中から下りてきた。
「成功だな。フェイ、助かった」
礼をするフェイさんの肩を軽く叩き、ダーク様が僕とヴァンちゃんを見る。
ダーク、超人でした(笑)。
毎日、採血です。ダークは魔法具を使っているので、痛くもなく針の穴だらけにはなりません。
顔が白いのは貧血ではありません。もともとですので、ご安心を(笑)。
次話は、また血です。ほのぼのの筈が、ホラーな感じに……。
お読み頂きありがとうございました。




