0041.またしても、失敗
午後になった所でダーク様がフェイさんと一緒に大きな荷物を持ってやって来た。
「全員集まれ。これから手分けして魔法粉を袋に詰めろ。ニコとヴァンはカハルと一緒に魔力の練習だ。いいな?」
僕とヴァンちゃんはカハルちゃんと手を繋ぎ、少し離れた所に移動だ。
「じゃあ、先に武器に魔力を込めちゃうね。すぐ終わるからね」
トウマが気になるのか寄って来た。
「こんな武器、持ってたっけ?」
「カハルちゃんが作ってくれたんだよ。しかも、最強の金属フォルタルだよ!」
「なんだと⁉ これ全部か?」
「そう、籠手も手裏剣も全部だよ」
僕がどうだ、と胸を張ると背中をバシッと叩かれる。
「ずるいぞ、ニコ。ヴァンの武器もそうか?」
「そう。かっこいい」
ヴァンちゃんが嬉しそうに頷くと、トウマがガックリと項垂れる。
「俺って、タイミング悪いのか……」
「君も欲しいの?」
カハルちゃんが魔力を込め終わった武器を返してくれながら、トウマに尋ねる。
「えっと、まぁ、はい……」
こんなに歯切れ悪く話すトウマは初めて見た。女の子苦手なのかな? 首を傾げている僕にトウマがコソコソと話し掛けてくる。
「おい、ニコ、創造主様だぞ。なんで、そんなに普通に話してんだよ」
「えー、カハルちゃんはカハルちゃんだから?」
「ニコに聞いた俺が馬鹿だった……」
ヴァンちゃんとカハルちゃんは、マイペースに手を繋いで魔力の練習中だ。僕も練習を頑張ろう。
「次は、ニコちゃんね。魔力を動かしてみよう」
「はい、カハルちゃん」
ヴァンちゃんは順調のようで、僕にあっさりと順番が回ってきた。よし、僕も今日こそ成功させるぞ!
魔力の流れを感じて――渡す!
「うわっ、ニコちゃん、流し過ぎだよ。止めて、止めて」
「ほへぃ……またしても、失敗……無念」
ガクッと力の抜けた僕をヴァンちゃんが支えてくれる。
「ニコ、大丈夫か?」
「はぁ……。何でうまくいかないのかなぁ?」
「力み過ぎじゃないのか? それに飴玉一個渡すぐらいのイメージでいいんだぞ」
「なるほど。僕はカハルちゃんにドバーッと魔力が流れていくイメージだから失敗しちゃうのかも。ヴァンちゃん、ありがとう。明日、試してみるね」
「うむ。ニコはしばらく休んだ方がいい」
「じゃあ、その間に魔力をちょっとずつ戻すね」
カハルちゃんと手を繋ぎながら、皆の様子を眺める。せっせと魔法粉を袋に詰めていく横で、ダーク様とフェイさんが瓶を何十本も取り出している。何だろう? あの薄墨みたいな液体。魔法粉の材料かな。
トウマもいつか貰えるかも?
ヴァンちゃんはイメージが上手ですね。
ニコちゃんは常に全力! です。
次話は、仕掛けを造ります。
お読み頂きありがとうございました。
 




