0040.お口チャックです!
休憩から戻ると、お布団が既に敷かれていた。
皆が鏡を監視しつつ、ダーク様とカハルちゃんを囲んでいる。僕も入れて貰おうっと。
「トウマ、行こう」
「ああ。あの女の子は誰だ? ダーク様は子供いなかったよな?」
「ダーク様の子じゃないよ。カハルちゃんと言って、創造主様なんだよ」
「……は?」
意味が分からないという顔をしているトウマを急かして、輪に入れて貰う。
「戻ったか。皆で『祈りの歌』を歌ってから寝ろ。いいな?」
ダーク様に返事をして配置に付く。はぁ、残念。お話出来なかった……。でも、三週間は一緒だもんね。これから、どんどん仲良くなるぞー!
朝、目を覚ますとカハルちゃんの顔が目の前にあった。
……なんで? 嬉しいけどまったく覚えがない。僕一人で寝たよね。うーん……。も、もしかして、夜中に寝ぼけて攫って来たとか⁉
「くくっ、はははっ」
抑えた笑い声に驚いて目を向けると、ダーク様が苦しそうに笑っている。カハルちゃんにお布団を掛け直して、ダーク様の所に行く。
「ニコ――くくくっ、全部、声に出ていたぞ」
聞かれていた! 恥ずかしいっ。でも、真相を確かめておかないと。
「何で、カハルちゃんが僕のお布団に居るんですか?」
「攫ったんじゃないのか?」
ニヤニヤと笑いながら言ってくる。
「ニコ、朝からどうした?」
「あっ、ヴァンちゃん。朝起きたら、僕のお布団にカハルちゃんが居たんだよ。僕が寝ぼけて何かしたのかダーク様に聞いているんだけど……」
「あぁ、それなら、ダーク様が隣に寝かせていたが」
「えぇっ、そうなの⁉ 全然気付かなかった……」
「抱っこしたままだと、カハルが苦しいからな。俺から一番近くに寝ていたお前の布団に寝かせたんだ。確認してから寝かせようと思ったんだが、まさか数秒で眠りに落ちるとは思わなかった。なぁ、ヴァン」
「ん。ニコは寝つきがいい」
と、取り敢えず、僕が何かしたわけじゃないらしい。はぁ、良かった。安堵した僕はダーク様に近寄って耳打ちする。
「さっきの攫って来たは忘れて下さいね」
「さて、どうするかな?」
「しーっ、です。お口チャックです!」
「しょうがない。俺の独り占めにしておこう。――皆、起き始めたな。さてと、俺は執務をするか。後でまた来るから儀式をしておけよ」
ダーク様は僕とヴァンちゃんの頭を撫でると、カハルちゃんを抱き上げ部屋を出て行く。よし、僕もお布団を片付けるぞ!
ダークが、皆を起こさないように頑張って笑いを抑えています。
本当は久し振りに大きな声で笑いたいほど、ツボに入りました。
ままなりませんね……。
次話は、魔力の練習、再びです。
お読み頂きありがとうございました。




