0037.魔力
僕の手裏剣は、ヴァンちゃんの武器と作り方はほとんど変わらない。でも、宝石が小さすぎて魔法陣が入れられないなぁ。どうするんだろう?
「ニコちゃんは籠手を装備してね。これを使って投げれば、強力な攻撃が出来るよ」
おぉ、カッコイイ。僕はホクホクと大量の手裏剣と籠手を貰う。
「ニコ、良かったな」
「うん、ヴァンちゃん。早速、練習しないと」
「その前に魔力の流し方を教えるね。皆も覚える?」
「僕達は出来るので、パチンコを練習します。命中率を上げとかないと」
「そっか。じゃあ、二人共こっちに来て。今から、二人の魔力を動かすよ」
カハルちゃんは僕とヴァンちゃんの手を握り、僕達の反応を見る。
最初は特に何も感じなかった。首を傾げながら自分の手を見る。暫くすると何だか手がムズムズしてきた。んん?
「もう少し大きく動かすよ」
その声と共に、明らかに体の中で何かが動くのが分かった。思わずビクッとして、尻尾がピンとなる。
「分かったかな?」
「カハルちゃんの手の方に向かって何か動きました」
「俺も分かった」
「じゃあ、次は二人の身体に巡らせるからね。気持ち悪かったら言ってね」
体の中に血の様に巡る何かがある。本当に僕にも魔力があるんだ。
「分かったみたいだね。じゃあ、今度は二人が私に魔力を渡すようなイメージでやってみようか」
難しい顔をしてヴァンちゃんが集中している。僕もやってみよう。カハルちゃんに渡す、渡す……。うーん、行かない。体の中をグルグル巡っているだけだ。よし、もう一回。
「んっ、行った⁉」
「うん。ヴァンちゃん、少し動いたよ」
「おぉ、やった。もっと動かす」
ヴァンちゃんは、いつも身に付けるのが早いなぁ。うらやましい……。
「ニコちゃん、疲れちゃった? 今日はもう止めとく?」
「いえ、まだまだやります」
「そう? 無理しちゃダメだよ。じゃあ、もう一回、私が動かすね」
「お願いします!」
うーん、集めて押し出す感じにすれば出来そうな気が……。堰き止めて、カハルちゃんに流す!
「うわっ、ニコちゃん、いっぱい来たよ。そんなに流して大丈夫⁉」
「ほへっ?」
僕は力がすこーんと抜けて座り込む。
「ニコ、大丈夫か? 横になるか?」
「何か力が抜けちゃって。魔力はうまく流れたと思うんだけど」
「うん。というか、私に魔力を大量供給しちゃったんだよ。ニコちゃんに今から少しずつ戻すね」
どうやら、体の中の魔力を殆ど渡してしまったせいらしい。魔力って難しい。
ヴァンちゃんは器用ですね。
ニコちゃんも力が抜けてしまいましたが、一回で流すの成功です。
次話は、新たな白族が登場です。
お読み頂きありがとうございました。




