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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第一章 鏡の魔物
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0035.最強の金属

「カハルちゃん、武器はいつ作る?」

「今、作っちゃおうか。材料もあるし」

「ここで作る?」

 

 驚くヴァンちゃんに笑い掛けると、フェイさんを見上げる。


「フェイ、金属と鱗を頂戴」

「少々お待ち下さい」

 

 言った直後にフェイさんの姿が掻き消え、あっという間に戻って来た。その手には、フェイさんの鱗だろうか? 暗めの赤い大きな鱗と少し黒がかった銀色の金属の塊がある。そして、その金属から微かに柑橘系の匂いがした。


 も、もしかして……最強の金属と呼ばれている――。


「フォルタル……」

 

 ヴァンちゃんが僕の思った通りの金属の名前を口にする。


「よく知ってるね。これを使った武器を持っているの?」

 

 僕達はブンブンと首を振る。あんな高価で貴重な金属を持てる訳がない。一国の王ですら、そうそう手に入れる事など出来ない。そもそも加工するのが最も難しいことでも有名なのに。


「――どこで、それを?」

 

 ヴァンちゃんが唾を飲み込みながら質問する。


「これですか? 私の住処の周りにゴロゴロと転がっていますが……」

 

 驚きに口が塞がらない。ゴロゴロ? どういう事?


「うん、いっぱいあるよね。フェイが住んでいる場所は、人が立ち入れる所じゃないからだよ。きっと」


「そうですね。ドラゴンがいっぱい住んでいますし」

「もしかして、インフェテラに住んでいたりなんて……ははっ、そんな訳――」


「おや、よくご存じですね。その中の火山の一つに、私の住処があるんですよ。あの辺り一帯は、私がカハル様に直々に頼まれて管理しています」

 

 尋ねた仲間が完全に固まった。インフェテラは沢山の火山があり、噴火が絶えず、マグマが大地を流れ続けている場所だと聞いている。人や動物が生きる事は到底出来ない場所だ。そんな所なら、確かにこの金属が大量にあってもおかしくない。


 カハルちゃんにとっては珍しい金属ではないのだろう。僕達の反応に首を傾げながら、フォルタルと鱗に手を置く。


「じゃあ、始めるから離れてね」

 

 そう言って、カハルちゃんが手に力をグッと入れた瞬間、二つの素材がぐにゃりと形を崩した。あっという間に液体状になった二つが混ざり合い赤い光を放つ。


「フェイ、力を加えて貰ってもいい?」

「はい」

 

 フェイさんの手の平から炎が噴出する。それを空中で混ぜ合わせながら、カハルちゃんも手の平から黄緑色の癒しの光を注ぐ。


 じっと見守る僕達の前で眩い光が三メートル近く立ち上る。眩しさに目を閉じて耐えていると声が聞こえた。


「できたー。フェイ、ありがとう」

「いえ、お役に立てなのなら何よりです」

 

 徐々に慣れてきた目をシパシパさせながら金属を見る。その色はカハルちゃんの召還した剣の色とよく似た赤色になっていた。


フォルタルの柑橘系の匂いは、オレンジっぽい匂いです。

加工すると消えちゃいます。


次話は、武器を作ります。


お読み頂きありがとうございました。

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