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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0294.うさちゃん

「話が逸れたウチャ。こっちがヴァンちゃんに、こっちがニコちゃんになのウチャ」


 差し出された五角盾の形のピンバッジは、四つにスペースが区切られ、模様は盛り上がっている。右上には星、右下は三日月、左上は太陽、左下はウサギさんの顔だ。ヴァンちゃんが貰ったのは真ん中の宝石が赤で、僕は黄色だ。


 お礼を言って胸のポケットに付けてみる。


「どうでしょう? 似合いますか?」

「よく似合っているウチャ。ヴァンちゃんは帽子に付けてくれたウチャね。うん、とっても似合うウチャ。ウチャの見立てはバッチリウチャ!」


 今度は僕達がカハルちゃんに見せに行く。


「二人共、カッコイイね。良い物が貰えて良かったね~」


 えへへ、カッコイイだって。照れていると、ダーク様が顔を近付けて来る。


「カハル、よく見ろ。ウサギの顔になっているぞ」

「あ、本当だ。可愛い~」


 くっ、ダーク様め……。もうちょっと、カッコイイに浸らせてくれてもいいのにとチラッと目をやると、ニヤッとされる。確信犯⁉


「ダーク様、今日お預かりしたものは、一週間後にお渡しできると思います。もっと急いだ方がよろしいですか?」


「いや、それで十分だ。俺が自分で取りに来るから預かっていてくれ」

「畏まりました。商品をご覧になりますか?」

「そうだな……。いや、また今度にしよう。そろそろ昼を食べさせないとな」


 時計を見たダーク様がお断りしている。道理でお腹が空いている訳だよ。


「また遊びに来て欲しいウチャ。いつでも歓迎するウチャ」

「こんなに良い物をありがとうございます。また皆で来ますね」

「うさちゃん、ありがとう。これ大事にする」

「聞いたウチャか⁉ うさちゃん……可愛い響きウチャ~」

「ああ、はいはい。扉の前から退こうね」


 頬に手を当ててクネクネしているヴィーちゃんが、ギンさんに退けられている。


「じゃあな。また来る」

「ヴィーちゃん、ギンさん、ありがとう。またね~」


 二人で通りに出て見送ってくれる。何度も振り返って手を振りお別れした。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「カハル、遅かったじゃん。心配したんだぞ」


 ヒョウキ様が珍しく怖い顔で、カハルちゃんの顔を覗き込む。


「ヒョウキ、ごめんね。ダークと一緒にお出掛けしてたの」


「悪かったな。カハルが俺の無くした物を届けてくれたんだが、壊れていてな。修理してくれる店まで付き合って貰ったんだ」


「そっか。ダークと一緒だったなら安心だ。飯は食ったのか?」

「いや、まだだ」

「じゃあ、一緒に食べようぜ。――メイド長、ダークの分も用意できるか?」

「はい、大丈夫です。皆様の分も合わせてお持ちします」

「おう、悪いな。頼む」


 ヒョウキ様がいつもの顔に戻って、カハルちゃんの頭を撫で、指輪に気付く。


「あれ? 今日の朝から指輪してたか?」

「ううん。さっき、ダークと一緒に行ったお店でウサギさんに貰ったの」

「ウサギさん? それ名前か?」

「名前はヴィーちゃんだよ」

「そっか。じゃあ、ニコ達のピンバッジもか?」


 ヒョウキ様って人の事をよく見ているんだな。驚きながらも頷く。


「へぇ、良かったじゃん。近くで見せてくれよ。――うん? これって『レネット』のじゃねぇか?」


「よく分かりますね! 行った事があるんですか?」


「行った事はないけどウサギの職人と凄腕が居るって有名なんだよ。あの店で作られた物には必ず薔薇がどこかにあるんだと」


 薔薇なんてあったっけ? と思っているとヒョウキ様が裏を見せてくれる。


「ほら、ここに彫ってあるだろ」

「本当だ。カハルちゃんのはどこにあるんですか?」

「リングの内側に彫ってあったぞ」


 眠っているカハルちゃんに、もう一度嵌めてあげようとしているが、上手くいかないようだ。


「だーっ、カハルの指って小さくて細いから超怖い!」


 成程。僕がやってあげようと腰を上げると、ダーク様の方が立ち上がるのが早かった。お任せしちゃおう。


「俺がやろう」

「マジで? 助かる~」


 ダーク様があっさりと嵌めている。先程のでコツを掴んだのかもしれない。


「ダーク凄いな。もしかして、沢山の女性に――」

「そんな訳があるか。その口は碌な事を言わないな。うん?」


 ぐいーっと両頬を引っ張られている。相変わらず学習しない人だ。それとも、スキンシップに飢えているのだろうか?


「ひてて、はなふぇ~」

「失礼致します。お食事を――」


 メイド長さんが、「またですか? はぁ、残念な方……」的な言葉を飲み込んだように見える。


 黙々と素早く用意を整え、退室しようとした所でカハルちゃんの指輪に気付く。


「あら、可愛い。ふふふ、寝顔も可愛いですね」

「ですよね~。僕たちのピンバッジも見て下さい」

「あら、お二人も素敵ですね。他のメイド達にも見せてあげて下さい。きっと喜びますよ」


 言われた通り、ご飯の後に見せに行ったら、メイドさん達にぐるりと囲まれ大撮影会になりそうになる。もちろん、救世主はメイド長さんだ。


「あなた達、嫌われる覚悟は出来ていますか?」


 その一言で包囲網はあっさりと解かれ、メイドさん達はスゴスゴと去って行った。やはり、ボスは強い。


ニコちゃん達も良い物を貰いました。カッコイイと言われて良かったね、ニコちゃん。

ヒョウキがやきもして探しに行こうかと思っている所で帰って来たカハル達です。ダークが一緒で一安心です。でも、その後は安定の残念王様でした。まともな感じが長続きしませんね~。


次話は、クマちゃんがドラゴンに会いに行きます。


お読み頂きありがとうございました。



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