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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
293/390

0292.参ったな……

第一部の設定に世界地図を載せたので、よかったらご覧くださいね。

取り込んだら白字がちょっと見にくくなってしまいました……。が、画面拡大でお願いします!

皆様の優しさに頼りきりの作者で申し訳ありません。「未熟な美音だもんな~」という感じで温かく見守って頂けると嬉しいです。今後も、こんな作者と作品をよろしくお願いしますm(__)m

「ただいまー」

「お帰り。無事に魔力を流せたみたいだな」

「うん。今日ってダークは来る?」

「うんにゃ。今日は魔物退治がないから城でのんびりするんだと」


「そうなんだ。用があるからちょっと行って来るね」

「おう、忙しいな。気を付けて行けよ」

「はーい」


 お次は闇のお城へ、ゴー!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「おや、カハルさん達ではないですか。こんにちは」

「あ、ルキアさん、こんにちは。ダークは執務室ですか?」

「いえ、ご自分のお部屋で本をお読みになっています。お呼びしましょうか?」

「大丈夫。忘れ物を届けに来ただけだから、行って来るね」

「それは、ありがとうございます。ご一緒したいのですが仕事が立て込んでいまして。私は、これで失礼しますね」


 足早に歩く宰相様を見送り、ダーク様のお部屋へと向かう。そして、「せーの!」と三人で同時にノックする。


「――ん? 誰だ?」

「カハルでーす」

「ニコでーす」

「ヴァンでーす」


 ダーク様が笑いながらドアを開けてくれる。


「仲良し三人組か。ほら、入れ」


 マントを羽織っておらず、黒いシャツを肘まで捲り、下は黒いズボン姿だ。こんなリラックスした姿のダーク様は初めて見たかも。


「揃ってどうしたんだ?」

「海の社で拾い物したの。これ、ダークの?」

「ああ、あそこに落としたのか。道理で探しても見付からない筈だ。ありがとな」


 やはり、ダーク様のものだった。ヴァンちゃん、お手柄だ。


「うん。見付けたのはヴァンちゃんだから褒めてあげて」

「そうなのか。偉いぞ、ヴァン」


 撫でられてニンマリしたヴァンちゃんが、いつものように抱き上げられるのを待っている。だが、すぐに後ろを向いてしまった。


「茶でも淹れるか」


 あれ? とヴァンちゃんと一緒に首を傾げる。いつもなら必ずしてくれるのに。


「俺、怒らせた?」

「違うよ、ヴァンちゃん。今ので確信した」

「え、何をですか?」


 お茶を淹れようとしているダーク様のズボンをカハルちゃんが引っ張る。


「何だ、カハル。火傷したら大変だから離れていろ」

「お茶はいいの。ダーク、座って」


 首を傾げながらも従ってくれる。僕達も近くの椅子によじ登ってダーク様を見つめる。


「単刀直入に言うね。ダーク、胸を怪我しているでしょう」

「ん? 何の事だ?」

「とぼけても無駄だよ。さっき、ダークの体に触ったら瘴気を感じたもん」

「参ったな……。カハルに隠し事は無理か」


 諦めたダーク様が、シャツのボタンを外してガーゼも取る。そうして露わになった白い左胸の上部には一本の傷があった。五センチ程の傷で、そこまで深く切り裂かれてはいない。だが、通常なら赤い筈の傷口は、ジュクジュクと黒い泡が弾けている。死に対する恐れを感じた僕は、思わずヴァンちゃんの手を探す。


「ニコ、大丈夫。カハルちゃんが居る」


 ギュッと力強く握ってくれたヴァンちゃんが励ましてくれる。


「そ、そうだよね! 治りますよね?」

「勿論。大丈夫だよ、ニコちゃん」


 カハルちゃんが手を翳すと傷口がみるみる塞がり、気持ち悪い泡も消えていく。


「すまんな、楽になった」

「もうっ、ダーク、すぐに言わないと駄目でしょ! 熱まで出ているじゃない!」

「悪かったから、そう怒るな」


 「フーッ!」と威嚇している猫の様なカハルちゃんに、ダーク様が苦笑して手を伸ばす。


「ダーク、先に服着て。体が冷えちゃうよ」

「おっと、そうだな」


 ボタンを留めたダーク様が腕まくりも元に戻している。珍しいなと思っていたけど熱の所為だったのか。


「何で黙っていたの? 私が怪我していない? って聞いた時に言ってくれれば良かったのに」


「うん? あの時は逃がしてしまった魔物が居るかもしれないと焦っていたし、その後は全土を探して貰っただろう。それにな……何よりも、白族の村へ行くのを楽しみにしていたカハルを引き止めたくなかったんだ。ただでさえ待たせてしまったしな」


 涙目のカハルちゃんが、ダーク様の腕を軽くパシッと叩く。


「気を遣い過ぎだよ。白ちゃん達の村は逃げないけど、ダークの命は一つしか無いんだよ。瘴気を纏った傷口かどれだけ危険か、ダークならよく知っているでしょう? 死んじゃったら……うっ、ぐすっ、どうするの?」


「すまない。頼む、泣かないでくれ。……困ったな」


 本格的に泣き出してしまったカハルちゃんを胸に抱き寄せて、ダーク様が天を仰ぐ。


「心配掛けた責任はきっちり取るべき」

「そうです。カハルちゃんを泣かせた罪は大きいんです!」


 腰に手を当てて言うと、溜息を吐いたダーク様が、カハルちゃんの背を撫でて落ち着かせようとする。だが、その手の温かさにホッとしたのか、余計に泣きじゃくってしまう。


「あー、どうしたら泣き止むんだ? 今度からちゃんと言うから。な?」

「ほん……と?」

「ああ。隠し事はしない」


 ギュッと抱き付いたカハルちゃんは、泣きながら眠ってしまった。


「――はぁ、焦った……。カハルに泣かれると、なけなしの良心が痛むな」

「なけなしなんですか?」


「そうだ、俺は悪い男だからな。必要だと思ったら、これから先だって、いくらでも嘘を吐く。……カハルを守れるのならなんだってする。今回だって、これからフォレストの元に行くつもりだったんだ」


「じゃあ、余計にヴァンちゃんのお手柄ですね。悪いダーク様はカハルちゃんに叱られた方が良かったんです!」


「おぉー! 俺、役に立った」


 二人でバンザーイとしていると、半眼で見られる。でも、へっちゃらだもんね~。


「僕達だって怒っているんですからね!」

「そうだそうだ」

「はぁ、分かった、悪かった……。お前達はまだ時間はあるのか?」

「へ? ありますよ」


「よし、では俺に付き合え。お前達が拾ってくれた宝飾品を直しに行かないとな」

「行きます! 楽しみだね、ヴァンちゃん」

「うむ。闇の国を探検」


 カハルちゃんが起きたところでお出掛けだ。


ダークが怪我していましたね。こっそり治そうとしましたが、ばれてしまいました。

カハルに泣かれてタジタジのダークですが、決意は変わりません。

そんな悪いダークを阻止するヴァンちゃん、お手柄ですね。それぞれがカハルの為に動いています。


次話は、新たなモフモフが出て来ます。


お読み頂きありがとうございました。


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